NTT東日本の注力戦略 農業とIOWN
NTT東日本の近年の状況
NTT東日本が農業や次世代通信など新規成長分野の挑戦を進めています。
固定音声通話の減収が続き、新しい収益の柱を作る必要があるとして、NTTは2025年度までに新規成長分野が連結営業収益に占める割合を5割にまで高めるとしています。
NTT東日本の近年の業績は、新型コロナウイルス禍におけるリモート特需で光回線が伸びました。
しかし、最近ではオフィスに戻る人が多くなり、その勢いが落ちています。
そのため、今まで以上に新規成長分野を伸ばさないといけないという状況となり、 NTT東日本は挑戦をしているのです。
得意分野での開拓
NTT東日本の挑戦の一つに法人サービスがあげられます。
これは法人に端末やセキュリティー、顧客管理システムなどのサービスを通信回線とまとめて提供し、何かあればすぐにサポートへ駆けつけるものです。
今まではWi-Fiとサポートなどのセットを行っていましたが、このサービスはもっと顧客に踏み込んだ内容となっています。
企業活動に不可欠の通信分野で顧客の取り込みを行うことはNTTの強みを生かせる分野だと思います。
新分野の開拓
農業分野への挑戦
NTT東日本は陸上養殖や再生可能エネルギーといった新分野にも注力しています。
特に農業ではあらゆるモノがネットにつながるIoT機器を使い、農業法人向けにデータ農業を提案しています。
現在はグローバル経済の発展やバイオ燃料の需要の急増などによる食糧事情の変化に対応する必要があります。
日本の農業は、体質の強化と環境への配慮を図りつつ、安全でおいしい農産物を提供し、美しい農村を守ることを求められています。
そこでNTT東日本は農業分野において地域に密着した体制による農業地域の情報インフラ整備、圃場センシングソリューションによる生産管理の効率化など、農業のICT化を進めています。
例えば、IoTを活用して農業環境の高度な制御を行ったり、AIを活用して生育データなどを分析し収穫の予想を行ったりとICT技術と農業を組み合わせることで効率化にもつなげられるのです。
IOWNの活用
NTTが注力しているもう一つの領域がIOWNです。
IOWNとは最先端の光技術を使って、豊かな社会を創るための構想です。
電力効率が100倍に向上することでスマホは充電を意識せずに使い続けられるようになると予想されています。
また、データ伝送容量が125倍に向上することでオンラインゲームの配信アップデートが一瞬で終わらせられます。
また、遅延もほぼないという技術になります。
この低遅延を生かし、NTT東日本はリアルタイムで遠隔地をつないで映像を配信するイベント向けに提供しています。
またIOWNは街づくりにも利用でき、例えば渋谷ではIOWNを使って高度なバーチャル空間をつくることを目指しているそうです。
NTT東日本は東急不動産とともに「職・住・遊」を融合した渋谷型都市ライフを目指すとしています。
例えばIOWNサービスを備えた次世代オフィスでは、複数オフィスの拠点間をIOWNサービスでつなぎ、高画質・大画面でお互いの会議室を結び、まるで対面しているかのようなオンラインミーティングが可能です。
また、多言語のミーティングにおいてもお互いの発言がリアルタイムで自動翻訳されることなどが期待できます。
商業施設においては、IOWNサービスをサービスセンターなどの拠点とリアルタイム通信の手段として活用することで、商業施設内に様々なロボット・デバイスを配置することが可能になります。
その結果、遠隔地から接客が可能になるとともに、自動翻訳付きリモートコンシェルジュやリアル着せ替えカメラなど、次世代の商業施設体験が至る所で味わうことができるのです。
さらに、IOWNは拠点と拠点を大きなスクリーンで繋ぐことが可能です。
こうした技術を活用したスマートジムなど、渋谷での生活を便利で充実したものにする次世代サービスを、身近な施設で気軽に体験することもできるのです。
以上のようにNTT東日本は固定電話・光通信を手掛けるだけでなく新たな領域にも進出しています。
決してお役所のような企業ではなく、むしろ時代に合わせた稼げるビジネスを展開している柔軟な企業と言えるでしょう。
今後もNTT東日本は新たな領域に進出し、私たちの生活に新たな便利さや楽しさ、ワクワクといった価値を提供してくれると考えています。
NTTグループについては以下の記事で詳しく書いていますので読んでいただけると幸いです。
また、高配当株への投資を考えている方にはぜひ読んでいただきたい書籍を紹介させていただきます。
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