盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(19) 「シールほえないプロジェクト」開始!

今の私の盲導犬シールは、きまじめで仕事はきっちりこなす優秀な犬です。
ただしちょっとこわがりな性格なので来客のピンポン音などに反応してほえてしまうことがあります。

家に来たばかりのころは、シールがインタホンのピンポン音に反応してほえたら「ノー!」と注意していました。
一頭目の盲導犬スースーも最初のころはピンポン音にほえていましたが、何度も注意するうちにやがて全くほえなくなったからです。

でもシールの場合は少し様子が違っていました。
ほえた時に「ノー!」と注意すると、
「なんでほえてはだめって言うの?」
という反応を見せたからです。
そこで私が勉強中のアニマル・コミュニケーションでシールに話を聞いてみたところ、
「ぼくはこのおうちを守るのが仕事だから、誰かがおうちに近寄ったら、『ぼくがここにいるんだぞ!』と知らせているんだよ」
と話してくれました。
つまり、シールは自分が家を守ることも自分の仕事だと考えて、それで来客にほえていたので、それを「ノー!」と注意されるのが心外だったようです(笑)。

そこで私はシールに
「じゃあ、私がほえなくていいよ、って言ったらほえないようにしてくれる?」
と話してみました。

やがてシールはピンポン音がした時に、私が「ほえなくていいよ」と言うと、そのまま何度も吠え続けることはなくなってきました。

「うちの子は外では盲導犬、家の中では番犬なんだ」と来客吠えを容認するユーザーさんもいます。
私も、家の中でピンポン音にほえた時に「ほえなくていい」と言ったらほえなくなればそれでいいかな、と思い始めていました。

ところが、ある時旅行先のホテルで、シールにハーネスをつけて、部屋から出ようとドアを開けた瞬間に目の前をホテルのスタッフさんが横切り、それに驚いたシールがほえてしまったことがありました。

シールにとって驚きや警戒心を感じてしまう状況だったとはいえ、ハーネスをつけた「お仕事モード」の状態でほえてしまったことは確かです。

今のシールでは、この状況でほえてしまうのはおそらくしかたがないことです。
それでも、こういう状況でほえてしまうのを容認していると、今後旅行に出た時にほえてしまう可能性がこれからもかなりありそうに感じました。

シールと私のコンビはまだこれから何年も続きますし、いろんな所に旅行ででかけることも多いと思います。
そのことを考えると、このようなことが今後起きないようにする必要があり、やはりふだんから「ほえる」という行動そのものを極力減らしてゆかなければいけないな、と思いました。
ではそれをどうやって実現できるのでしょうか?

あるベテランユーザーさんからは、
「ほえては絶対にだめなのだ、ということを、心を鬼にして徹底的にわからせなければだめ。甘い対応をしていたら『ほえ』は決してなくならないよ。」
とも言われました。
その方は自分の盲導犬がほえた時には厳しく叱ることを徹底して続けて、やがて一切ほえなくなった、と言っていました。

たしかにそれは正論だし、私も
「やっぱりそれくらいやらないとだめなのかな」
と思ったりしました。

でも、よく考えてみたらそういうやり方がうまくゆく性格の犬もいれば、うまくゆかない犬もいるだろうな、と思いました。

シールはこわがりできまじめな性格です。一方的に厳しく訓練しようとすると、たた委縮してしまうだろうし、何より大事なのはやっていることの意味を理解してもらうことだと思いました。

以前、ピンポン音にほえたことに私が「ノー!」と謂った時、シールは「どうしていけないの?」という態度を表していました。その時にかまわずにひたすら厳しく「ノー!をつきつけていたら、結果としてはほえなくなったかも知れませんが、シールと私の間の信頼関係はうまく作れなかっただろうと思います。

盲導犬がユーザーの指示やマナーをきちんと守ることはもちろんとても大事なことです。でも、シールと私が「パートナー」であるためには、シールが私を信頼し、私がシールの心を裏切ったりしないと思えることが大切だと思います。
そのためにはシールの気持ちを理解した上で、私がやろうとしていることもシールに理解してもらう必要があります。
私が今勉強しているアニマル・コミュニケーションは、きっとそのことに役に立ってくれるだろうと思っています。

私はいろいろと考えた末、新たなやり方で「シールほえないプロジェクト」を開始することにしたのでした。

#盲導犬
#ほえグセ
#パートナー

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