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東日本大震災の教訓と経験

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東日本の現場で考えてきたことを、まとめています。
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#コラム

復興のなかの復興事業

この文章は長い年月のかかる事業に向かう人たちに向けて、書いています。話のきっかけは、先日携わっていた堤防の一部が完成したためです。2018年5月に竣工したので、東日本大震災からは7年と2ヶ月ほど経過しています。 この堤防に関して四つの話題です。 ・ まとめ;基本方針は大切にしよう ・ 計画の前提としての堤防方針(基本方針) ・ 新しくつくられた堤防空間(基本計画・実施設計) ・ 土木の時間と建築の時間(雑感) ー 大切なのは基本方針 今回、出来上がった空間は官民

コミュニティを特定しよう

コミュニティとは何だろうか。最近、コミュニティデザイン、という言葉もこの10年くらいで頻繁に聞こえる様になってきたが、それがなんとなく市民参加や、誰のものかわからなかったりするのでモヤモヤしていた。先日話を聞いて、「あ、これか」と感じたことを書いていく。 コミュニティは、もはやカタカナ言葉として通じる言葉になっているが、日本国語大辞典によると、以下の様に書いてある。 村落、都市、地方など、地域性と共同性という二つの要件を中心に構成されている社会のこと。特に地縁によって

モニュメント、慰霊碑をどう考えるか

「その眺望は多方向的である。それは奥行きとして知覚される。動く人間がこのなかに入れば、どの場所にたってもそこが中心となる。ここと決められた眺めの場所はなく、どの眺望も全て対等であり、移動し続ければ限りなく変化していく。想像力はこれを無限の大きさに変貌せしめる」イサム・ノグチ,ある彫刻家の世界,p169,1969 Isamu Noguchi「Black Sun」1969, Seattle これは1904-1988年、日米のハーフとして生まれ戦時から戦後を彫刻家という職能に

備前焼きの魅力

岡山の星さんの備前焼きの工房へ。 備前焼きは登窯で釉薬を一切使わず「酸化焔焼成」によって堅く締められた赤みの強い味わいや、「窯変」によって生まれる偶然の美学により生まれます。 全然知りませんでした。 写真は焼成の際に二つの器を重ねた下にあった器です。簡単に説明します。それぞれの器がくっつかないように器の間には藁をしきます。藁は炊き上げする赤松よりも高音で溶け出し、それが器にうつります。 そこで生まれるのが火襷と呼ばれる赤い文様です。 写真は内側から、火襷の後、器がおいてあ

自分らしい暮らし 選択性の高い復興住宅

#公営住宅 #選択 #東日本大震災 #復興計画 目次 1. 半島部での暮らしと状況 2. 選択性の高い復興住宅の概要 3. 選択性の高い復興住宅の結果 4. おまけの感想 1. 半島部での暮らしと状況 東日本の沿岸部、半島部での暮らしは主屋、倉庫、庭、作業場を持ち、家から一歩出たところには海・山・川・畑などの親んできた豊かな自然環境が広がっていた。 時代と供に様々な人が増えていき、その場所での暮らしが育まれ、何世代も前から人が住み続けてきた場所で、何百坪もある土地に伸びやか

事前復興 コミュニティの単位と仮設団地

出来れば、こちらから「事前復興 今ある暮らし」 https://note.mu/jp_fuukeiya/n/n91f38742aa84 上記リンクで、東日本で考えれば集会所単位が最も機動力と組織力の高いまとまりと感じた理由を書いてみたい。 以下は復興事業計画策定において、集会所単位が働く・機能する瞬間に対するメモである。 事前復興的観点で読む人は、復興計画の段取りを想像して読んで頂けると幸いである。 発災後、集会所単位の視点からは以下のことが動きが出す。 s1:避難所へ

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事前復興 今ある暮らし

Q 1:私の家と周辺環境 A 1:家は何坪あり、その家と外部環境との関係はどのようになっているのか Q 2:その一、私たちの住まい「住んでいる町・集落」はどのような生活で担保されているのか A 2:一次産業、二次産業、三次産業、六次化、半◯半◯、四半◯四半◯四半◯四半◯ Q 3:私の家と隣の家の関係はどのくらいの範囲で形成されているのか(集会所単位) A 3:30世帯、100世帯、300世帯、1000世帯 Q 4:集会所単位に在る施設は A 4:八百屋、魚屋、郵便局、コ

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