よく、発表した作品が炎上した際、免罪符として

”表現の自由”

を掲げる絵描きの方や、絵描きの擁護ファンがいる。
が、実際はそんなに便利な言葉ではない。
気ままに発表をする事と、表現の自由は全くの別物。と、僕はデザイン学校時代に、長年業界に身を置いている先生に教わった。

まず、イラストレーターやデザイナーは、ものを”作る前”に、「その作品は社会的モラルに反していないか」を考える。
また、その作品は「日本国で発表するにあたって、法に則しているのか。」
が重要になってくる。

ギリギリを攻めなくては、作品の価値が出ない・もしくは作品の主題が通らない場合は、法とモラルの二点の内側をえぐるような構成を立ち上げる。
名作と呼ばれる多くの芸術やデザインは、深読みしないと真意がわからなかったりするのは、このあたりが関係しているのかもしれない。
芸術家ぶって小難しい作品を好んで作っている訳じゃないのだ。
無論そういう人もいるけど。。。
そういう裏読みや、深読みが芸術などの面白さでもあるので、そこに魅力を見出したクリエイターはそれを味として作品を作り続けている。

■表現に対する責任

発表するに当たっては、すべての責任をクリエイター本人が負うのが原則だが、他者が関わっていると、そういうわけにもいかない。
自身以外の他者・企業・出版社が関わっているような展示会や媒体などで、大きな反発を受けたなら、謝罪と作品の撤回を行わないといけない。

なので、今回問題になった愛知トリエンナーレのように、複数人で、しかも公金を使用して作品を出すようなイベントでは、そのような問題のある作品の展示は、基本的にしない方が無難である。
そういうアレなテーマの作品ばかりを集めての展示会で、大バッシングを受けたのなら、その展示会の責任者がしっかり責任を持って謝罪、作品の撤回を行うのが表現に対する責任である。

自身が自費で借りたスペースや、自宅のガレージに用意した個展で発表するならば、全ては自分のテリトリーとなるわけで、その場合ならば、どのような作品を展示しても良いだろうとは思う。
それならば表現の自由を存分に堪能できるというものだ。

件の愛知トリエンナーレ「表現の不自由展」の作品は、芸術でも何でもないと僕は思う。芸術品として何も練られておらず、ダイレクトに不快感を感じさせる。
その辺を考えると、表現が不自由な展示会として名前はあっているのかも？

■献血イラストの件について。（モラル論）

絵柄というものは、個々のイラストレーター・漫画家が長年の修練を重ねて培ってきた癖（人体デフォルメ）みたいなもの。
個人的には、絵柄に関しては特に問題は感じなかった。が、あの作者の作風が献血事業に合うかどうかは、ちょいと疑問。（特にあのキャラのセリフは個人的にちょっと不快）ただ、それを言い出したら、何もできなくなるので、割愛する。

今回、あの件を問題視をし始めた方は、絵柄・・特に胸の強調を問題視しているのだが・・・。
なにか別の意図があり、難癖をつけている感じなのではないかと、僕個人は思っている。
・・・というのも、オタクジャンルがメジャーなものになってからというもの、あの手のセクシー美少女なイラストなんて、いたるところに溢れているじゃないっすか。（良いか悪いかは別として。）
僕の住む札幌だって、いたるところにミニスカートで、今にもパンチラしそうな緑髪の少女が飾られてますよ。（笑）

こんなありふれたモノに対して、なぜ今更、ケチをつけだしたのか・・・・自分なりに考えてみた。※あくまでも個人的な想像と見解なので、違う意見をお持ちの方はご自身の意見を尊重してください。

１、献血という行為に対し、必要以上に神聖なイメージを抱いていて、その手のイラストをコラボするのが許せないという、日本人の多くが先天的に持っているクソマジメジャパニーズ病を患っている。

２、自分の思考軸を今ホットになっているジェンダー論に置きすぎて、アレルギー反応を起こしている。

３、目的自体が「イラストの撤回」には無く、それとはまた別の目的がある。つまりは「男性向きの巨乳絵」を踏み台にした別工作を目的としている。※今回の件に異を唱えている方々の趣向を確認した上での感想。

また、異を唱えている方に、「男性器が強調された少年絵を出されたら嫌だろう」的な事を言っている方が居るが、なぜコラボレーションをしているのかを理解した上で異を唱えた方が良いだろう。
多少挑発的で、不愉快なイラストであっても、需要があり、結果的に話題性があり成果が上げられるから、手間をかけてコラボレーションしているのだ。
・・・・ﾏﾃ・・・股間強調した美男子のクリアファイル、ひょっとしてほしい？？・・ってか、そんな股間強調男子が出てくる人気マンガってあるか？

子供を連れて行った時、目につくからダメ！という意見もあったが、そもそも16歳以下は献血ができないので、このあたりはモラルに反しているとは言えないだろう。
また、萌えどころか、エロマンガか？と思わせるような言い回しの絵（広告など）が、世の中の様々な媒体で使われている（※）ため、何をいまさら・・というのが、個人的な意見。

※どこを見てもエロっぽい絵ばっかりというのは、個人的に良い事とは思ってはいない。
絵描きが性的対象を描く時は、必ず製作者の性癖などが出る。（わかりやすい例では、男性の描く美少女は胸・お尻の大きさ、女性の描く男性は、首筋・小さなお尻・節ばったセクシーな手など。それがその絵の魅力にもなる。）
なので、自身の性に合わない絵が目に入った時に「うわ・・」となる時がある。ただ、ここまで需要があって経済が回るなら、それはそれでアリかなと。

昔のように、ただの白地に赤字で「献血をしましょー」的なポスターでは、献血してスッキリしたい層にしか届かず、血が足りない。
手っ取り早く、最大集客を狙うならば、巨乳でも何でも、それを使わない手は無いのではないだろうか。

無論、股間を強調した美男子の絵に需要があるならば、それでもOKデス。
・・・個人的には大いに笑えるので、そういうファイルもぜひ配ってください。