S男#2 - 32話

私がソファで寝っ転がって幸せを感じている間、朝ごはんを手際よく作る。
ベーコン、バターの溶ける匂い、トーストが焼ける匂い。
家では私が料理全てするので、誰かが私のために作ってくれるのに悪い気もするし、感謝しかない。彼は尽くして幸せを感じる人なんだと思う。
私も尽くしたい人なので、お互いに愛を与え合う。

彼が紅茶を持ってきてくれる。いつもビデオ電話で見ているマグだ。
Thank you. というと、おでこにキスをしてくれる。
Breakfast is almost ready.
紅茶を飲みながら雨が降っているのを眺め、ジャズを聞く。
いつもなら、子供たちが喧嘩したり、TVを見たり、主人がゲームをしている音を聴きながら、朝ごはんを家族のために作り、ほぼ座ることなく週末の朝も忙しくしている。

幸せでしかない。
彼が朝ごはんを持ってきてくれる。
一緒に並んで座って食べる。breakfast sandwich だ。
全部いい感じに調理されていて美味しかった。
何よりも、彼が私に作ってくれたという事実が一番嬉しい。

SMセックスを目的として出会った2人が、今では愛し合い、彼は私に朝ごはんを作る仲になっている。人生、ほんと何がどうなるか分からない。
私はセックスだけを欲していると思っていたが、本当は、愛を欲していたんだと思う。
主人からは、同居人、子供の母としか扱われていない気がする。私は、まだまだ女性として、スキンシップを欲しているし、愛のある言葉がほしい。
そんな私にsは期待以上のものを与えてくれる。

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