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歯医者で抜いた歯をスッと戻す話Season3 Episode1

例のアレ、またやって来ました。

このタイトルと「例のアレ」をご存じない方は、是非過去のエピソードからご覧ください。(じゃないと何の話かわかんない感じに仕上がってしまってる気がします)

一体何本、ひどい虫歯があるのか。わかります。呆れちゃいますよね。そんな風に呆れた方は、良かったら、上の「おおきなかぶ」のプロローグにあたる、このあたりからご覧ください。

さて、もう3回目ですっかり慣れましたから、今回はもう、抜かれながら頭の中で下書きしちゃう所存です。

もう三回目なんだけど、何だかこれまでよりも緊張しちゃってる。

なぜならば

まず、過去の2本よりさらに元の状態が悪い。はっきり言ってズタボロ、ここまでして、この歯を保存しようとする必要あるかしら、っていうくらいズタボロ。ですから、抜く途中で折れたら戻せないでおなじみのこの手術、無理かもしれない。さらに、折れはしなくても、あまりにひどすぎて戻せないってこともあるんじゃないかと思います。そうなると、はじめて(親知らず以外で)自分の歯を本格的に一本失うということになります。悲しい。自業自得だけど。

さらに、それほど状態が悪いということは、埋まってる側の状態も悪いだろうし、例の「掻把」、またすごくやられちゃう気がしてる。

そしてもう一つは、今回初めての下の歯なんです。過去二回は上だった。以前別の歯医者で親知らず抜いたときに、下の歯は上の歯よりガッツリ骨にはまってるので抜けにくい、痛い、腫れやすいと聞いております。

二重の理由で絶対めちゃくちゃ痛いと思う。よみがえる一回目の夜の苦痛。

こわいなーこわいなー。
やだなーやだなー。
(夏なので稲川テイスト盛り込みました。)

しかし、患部のコンディションが非常に悪い。非常に悪いからこそ、歯を失う覚悟を決め、決断いたしました。(成長ゼロ)

「今回は下の歯なので、麻酔の効く範囲が広いです」

えっ、えっそういうもんだっけ?どどどどどどどのくらい?どのくらい?

「広いってどのくらいですか?」(落ち着いた素振り)

「左下4分の1くらいですね」

そっか。まあそんなもんか。

まず一本麻酔を打ち、その麻酔が効き始めたころに、二本目を追加。

イッタイ。2本目結構な痛さ、一本目の効果はどこへってくらいの痛さ。

イタタタタタタ……あ…効いてきました。

ではいざ、顔に布をかけられ、拷問の開始です。

何かされてます。全然わかんない。麻酔すごくきいてる。すごい全然わかんない。しいて言えば、歯と歯の間になんか挟まれてるみたいな気配がしなくもない。

「ちょっと力加えますね。」

ぐっ。力が加わりました。なんか押されてる。それ以外わかんない。全部空想で言うなら、顎の骨を押さえながら歯を動かそうとしてるみたいな?

そしてなんかちょと違うことしてる気配…。

「あ、外れるね。」

え!なになになになに!何外れちゃった?もうダメ?試合終了?

ぐっ。力が加わりました。

あ、続けるんだ。ぐっ。ぐっ。ぐっ。何度か、いろんな方向から、ぐっ。してる気配。でも何だろう。歯が抜けそうな、「根っこに伝わってる」みたいな感じ、あんまりしないけど大丈夫ですか?

ユサササササユサササササ

あ、これは知ってる。前のユサユサユサユサの小さいやつです。今回は随分小刻みなユサなんですね。元の歯がズタボロだからなのかな。下の歯だからなのかな。

ユサユサユサユサユサユサユサユサユサ

来ました!ユサユサ来ました。歯の根元にユサが伝わってる感覚もちゃんとある。それでも過去二回より振れ幅がずいぶん小さい。ユサユサユサユサ、ユサユサユサユサ。

グルングルングルングルングルン。ユサユサユサユサ。

ハイハイハイハイ。グルングルンね。知ってる知ってる。いつものアレでしょ?

心の中で常連を気取っていると、先生の少しユサユサが大きくなり始めました。いつもの大きなユサユサの感じ。

ユサユサユサユ…ガックンガックンガックンガックン。

え?先生ちょっと、それ、新しいですね。ガックンガックンガックンって。

基本ユサユサと同じじゃないかと思うんですけど、先生の腕の動きのせいなのか、下の歯だから私の顎がその動きに持ってかれちゃうのか、なんかユサユサの滑らかさがなくて、始点と終点に謎の引っかかりある。

グルングルングルングルン。ガックンガックンガックンガックン。

ほらね、ガックンガックンだって。ウケる。

あ、どうしよう。

なんかちょっと、

ツボに入っちゃいました。

ガックンガックンだって………。やばい。笑ってしまいそう。幸い口開けてるから、バレないと思うけど。ニヤついてきちゃう。

ガックンガックン(フフ…)ガックンガックン(フフフフ)

頭の中で下書きなんかするからかな(フフ)、ちょっと他のこと考えよう。

他のことって何だろう。ガックンガックン(フフ)

「ヨウス」

え?先生今の何ですか?もしかして例の「用意して」ですか?そんなにすぐじゃないけどもうすぐ抜けるよの合図?なんかすごく早くない??

オイオイ先生ェ~、ちょっと抜かれないでいる間に、ずいぶん腕上げたなぁ。

それとも、あれかな、歯がボロボロすぎて、あっさり抜けちゃったのかな。あるいは、頭の中で下書きしてたから時間が短く感じたのでしょうか。

まあそうはいっても「用意して」からもうちょっとかかるもんね、知ってる。

カチャカチャ。

なんか今器具とトレーが触れ合うみたいな音したけど、まさか抜けた?早すぎない?ホントに?

カリカリカリカリ、コスコスコス。

掻把されてる…。抜けてる…。

やっぱりそうはー(やっぱりそうかーのテンションで)、これやられると夜痛いんだよね。

「これ噛んどいてくださいね」

あれ?もう掻把も終わり?結構状態悪かったと思うんだけど、そんなもんで大丈夫ですか?そうですか。

ここからはあの子(歯)が一人(一本)で頑張る時間です。

時間といえば今何時なんだろ。本当に早かった気がするんだけど。壁に時計があるのはわかっているのですが、顔に布がかけられているので見えません。なんとか隙間から見えないかしら。

時計は見えませんでしたが、なんと手術の様子が見えます。細かい作業だからか、大きな画面にその様子が映し出されていて、それが見える。初めての経験です。あちゃー。なんだかやっぱり重症そう。何とかなるんだろうか。先生!どうか、どうかその子を助けてください!!!

それにしてもやっぱり結構手間がかかるんですね。前の2本もそれぞれ一人(一本)でこんなに頑張ってたんだ…。でも今回はレントゲン取られてる気配ない。なんで二回目だけ撮ったんだろう。まあいいけど。

それから、私の歯のクラウンは、中が金属、外が白みたいなやつなんですけど(ググったらメタルボンドって書いてあったけど、なんか違う呼び名で聞いてた気がする)、金属になっちゃってる。「外れる」ってそれのことだったんですね。あなた素顔はそんな子だったのね。

そして大手術を終え、お待ちかねの瞬間がやって来ました。

歯「スッ。」

私(おかえり。)

「クラウンはめるよ」

あ、白いヤツも戻るんだ!良かった。でも今回はやはり、今までより重症だったので、先生のコメントも、

「最善は尽くしました。後は本歯の頑張りしだいです。」(超意訳)

みたいな感じでした。

案の定帰り道からもう少し痛みはじめ、帰ってきてすぐに薬を飲みましたが、地味に痛くて、前回、「2錠までは飲んでいい」と聞いていたのでもう一錠追加しました。でもあんまり変わらない。今のところ、我慢できるレベルではあるけど痛い。

痛い、とにかく歯が痛い。それで頭がいっっぱいになってしまうので、今回は、当日に書きました。果たして無事に成功するのか、それについてはまたいずれ。


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