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【カンムで始めた】誰でも早くできる!ユーザーインタビュー

アドベントカレンダー25日目。

昨日は頼れるCSの要ことTsujiBoyさんの同じ映画を何回も映画館で観た話で熱量がビシバシ伝わる記事でした。トム・クルーズの映画で言うと私はミッションインポッシブルが好きで、来年公開される新作は映画館で見に行こうと決意しました。

今日でアドベントカレンダー最終日ですが、今年もカンムのアドベントカレンダー記事は仕事の話から技術的な話、そしてプライベートまで様々な記事があって読み応えたっぷりです!カンムの社内の雰囲気も分かると思います!気になる方はこちら

さて今日はカンムでやっているユーザーインタビューに関してです。具体的には、2022年の9月から行った『誰もができるユーザーインタビューの仕組み作り』に関して、やったことと結果をまとめます。

この記事はこんな方にオススメです↓↓↓

・リサーチャー、PdM、マーケター
・ユーザーインタビューを始めたい方
・ユーザーインタビューの仕組みを考えたい方
・カンムに興味がある方

この記事を書いている私ですが、カンムに入社するまでは主に生活消費財業界でマーケティングを行っており、ユーザーインタビューで言うと国内外合わせて500人以上経験してきました。※リサーチ会社と行ったものも含む。

今回はこれまでカンムで行っていたユーザーインタビューの良さを維持しつつ、上記の経験と知識を加えてカンムのメンバー全員がインタビューできるような仕組みを作りました。


▷なぜ誰でもインタビューできる必要があるのか

カンムで行っているユーザーインタビューの考え方に関しては、以前COOのachikuがどんな観点でインタビューをしているかをまとめています。


一方でバンドルカードを作ってる2で、バンドルカードで提供する価値について発信しましたが、バンドルカードチームでは「価値交換」「価値制御」「未来価値」という3つの価値を最大化し、それを現利用顧客やまだ利用していない顧客へ伝えようと動いています。

バンドルカードを作ってる2より

提供価値の最大化を行うためメンバーは全員SQLを駆使し決済履歴からデータを抽出して日々問題発見と改善を行っています。

ただデータでは見えない顧客の行動や痛みがあるので、抽出したデータとデータを裏付ける顧客の痛みから解くべき問題を明らかにし、プロダクトや施策に落とし込まなければなりません。

データを裏付ける顧客の痛みを発見するスピードを上げるためにも、バンドルカードのメンバー全員がユーザーインタビューができるようになったほうが良く、2022年の9月から誰もがユーザーインタビューできる仕組みを作りを行うこととなりました。


▷ユーザーインタビューの仕組み作りの考え方

ユーザーインタビュ―の仕組みを考えるうえで大事なところは多岐にわたりますが、今回の仕組みは『誰でも早くできる』『失敗せずできる』という2点に絞って仕組み作りをしました。

▷『誰でも早くできる』インタビューの仕組みとは



誰でもできる状態にするためにはどうしたらよいか?自分一人で考えず周囲から意見を募って考えようと思い、社内メンバーとリサーチ会社に勤めていた方から意見を聞き、以下の2つを『誰もがユーザーインタビューできる状態』と定義しました。

・インタビューの一連の工程が分かる
・社会人1年目でもマニュアル見ればできる

▷▷『インタビューの一連の工程が分かる』とは?

何を・いつから・どの期間で実施すればよいのかが分かればインタビューの一連の工程が分かるようになると考え、スケジュールテンプレを作成しました。

スケジュールテンプレのキックオフ日に日付を入力すればインタビュー実査までのスケジュールが自動計算されます。これによって、いつ何をしなければいけないのか、実施する際の所要期間はどの程度かが一目で分かるようになりました。

インタビュースケジュールテンプレ。
オレンジセルにキックオフ日を入れると各工程のスケジュールが自動算出される。


▷▷「社会人1年目でもマニュアル見ればできる」とは?

この言葉のニュアンスとしては設定が難しいツールを使わず、マニュアルを見たら誰でも絶対にできるようにするというものです。

やったこととしては、各工程の手順書をesa(社内wikiのようなもの)にまとめました。特にインタビューの結果を左右する以下4つは細かくまとめました。

・インタビュー設計
・対象者スクリーニング&リクルート
・インタビューフロー作成
・オンラインインタビュー実査方法

ちなみに最初に自身でまとめた後にメンバーから意見を収集したときに、『オンラインインタビューの設定などの実査方法』を細かくまとめた方が良いという意見が出ました。

と言うのも、カンムのインタビューは現在オンラインを中心に実施しており、以下図のようにzoomとYouTubeを連携させて実施しているのですがYouTube、Zoomそれぞれで複数の設定が必要で、初めての人にとって混乱が生じやすいことが分かりました。

その声を聞いて手順を細かく表記したうえでトラブルシューティングも記載しました。

オンラインインタビューの構図

余談ですが、簡単にするためにバックルームとかいらないのではないか?インタビュールームに議事録を取る人もいてもいいのではないか?などの意見が出ましたが、インタビューの対象者が緊張せず集中して答えられる最大限の環境を作るということが重要なので多少設定が細かくてもこのような構図でのオンラインインタビューを行っています。

手順書を作成すること加えて、インタビュー実査するまでの準備物をテンプレ化し、人によって解釈が変わることなく早い時間でできるようにしました。尚、テンプレ化したものは以下6つ。

・インタビュー設計
・スケジュール
・スクリーニングアンケート質問票
・リクルートの案内
・インタビュー対象者への案内
・インタビューフロー



▷「失敗せずできる」インタビューの仕組みとは



ここは私の中で最も大事な部分で多くの時間を費やしました。

インタビュー実施直後には、ユーザーの生の声を聞いたことや、知らないことが分かったことで満足感を得てしまいます。しかし後日まとめてみると、目的に対して聞きたい意見が出せていなかったり、アウトプットにつながらなかっりという失敗体験を持っている人もいるのではないでしょうか。

そのような失敗の発生確率を最小限にするべく、今回の仕組み作りにおけるインタビューの失敗を「アウトプットにつながらない回答を収集してしまうこと」と「誤った方向に導く回答を収集してしまうこと」と定義しました。


▷▷『アウトプットにつながらない回答を収集してしまう』とは?

インタビューで得た知見がその後のプロダクトやプロモーションなどの施策に落とし込めないという意味合いです。

例えば、バンドルカードを利用する人の離脱要因を把握するということがインタビュー目的の場合。※離脱=バンドルカードの利用を中止すること

インタビューの中で、離脱理由を聞いて「プロダクトが思っていたのと違ったから。○○のように誤認していたから」という意見が出たとします。

ここからは離脱理由が分かりますが、プロダクトを利用するまでのどのプロセスにおいてその誤認が生じたのか、なぜその誤認に至ったのかまで分かりません。それらの部分まで分からなければ、誤認を生じさせている問題点や解決策を考えるアウトプットまで導けません。

なので、インタビューで収集した意見がアウトプットにつながるインタビュー設計&フローが作れるようにしました。

一例として、インタビュー設計書に目的に加え、仮説とインタビュー終了後のアウトプットイメージまで記載するようにしました。当たり前のことのようですが、最初にこの2つがあるのとないのとではインタビューフローの内容や当日のインタビューで深ぼるタイミングが大きく変わります。

他にも利点があり、設計時からインタビュー終了後のアウトプットまで意識できるようになり、メンバー間でアウトプットの認識のズレもなくなります。


▷▷『誤った方向に導く回答を収集する』とは?

これはインタビューを実施する全ての人が一度は経験したことがあるであろう落とし穴です。

一例としては、バイアスをかけた質問をしてしまって誘導的な回答を引き出してしまうことです。

先ほどお話ししたバンドルカードの離脱要因の把握を目的としたインタビューを例にすると、離脱理由を聞く際の冒頭で「バンドルカードのアプリのお支払いで困ったことはありましたか?」といきなり支払いのことに限定して、かつ支払い面で困ったと決めつけて質問するとします。

その質問の後にはインタビュー対象者の頭の中では「支払い面で困ったシーンを思い出そう」という思考になり、そこから質問を変えて支払い面以外の離脱理由を聞いたとしても、結局は冒頭に聞いたアプリの支払い面に関わる回答になってしまう傾向がでます。

そ例外の例として、離脱理由を聞いた際のインタビュー対象者の回答が「バンドルカードを多く使う人にとっては○○だと思います」のような意見が出たとします。

これはユーザーの意見ではなく、インタビュー対象者が考える"ユーザーであろう人の意見"です。この答えをユーザーの声として扱い、プロダクトやプロモーションに反映すると誤った方向に進み失敗します。一般論の意見が発せられる場合も同じです。

インタビューで聞くものの軸はユーザー自身の体験や体験から感じた心情なのでそことは大きくずれてしまいます。

別の例で、新製品・新サービスの時のことを聞くときもユーザーであろう人の意見や本人の意見ではない回答を収集してしまう可能性があります。以下の著書の文章からもある通り、人は体験したことがあることでしか判断・意見が出ないので、その点を踏まえたインタビューフローにする必要があります。

顧客が声にするのはこれまでに経験したことや見たことがあるものであって、全く新しい製品やサービスに関しては実際に見て体験するまでは判断できない。

出典:アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40

上記のようなユーザー自身の経験から出される意見とは異なる回答を引き出さないようにするべく、インタビュー設計時、インタビューフロー作成時、そして当日でインタビューを避ける工夫を施しました。

一例としてインタビューフローにチェックリストを設けて、誤った意見を聞かないフローになっているかの確認を行うようにしました。

インタビューフローのチェックリスト(一部モザイク)


▷結果

22年10月から12月の3カ月間で、BizDevとデザイナー計4人が新たにユーザーインタビューを推進しました。

インタビュー後に毎度振り返りを行うのですが4名から出た意見の一部がこちら。

「インタビューを行うことでユーザーが抱えているプロダクトに関する課題について実態を掴めたのが良かった。施策立案に活きるはず!」

「インタビュー苦手意識があったのですが、誰でもできるフロー化されたことで最低水準以上はできるようになった感がある!」

「一連の流れのフロー化精度があがっていてすごい!フローとマニュアルが見やすく見て手順どおりにやれば誰でもできるようになっていた!」

「インタビューフローの質問項目の修正を何度かメンバーで実施し、最終的にかなり分かりやすくなったし、時間配分もちょうどよかった!」

インタビュー後の振り返り会での意見 by BizDev&デザイナー

誰もができるような仕組みにはなりつつあるのではと感じております。

私が言うのもおこがましいですが、4人全員が設計~インタビューまでの全工程を最初とは思えない高いレベルで進めていました。

ここまで高いレベルでやれたのは仕組みだけの要因ではなく、4人全員が常日頃から業務でユーザー起点で物事を考えられる方だったから、仕組みをベースに自身の中で工夫をして進められているというのがあると思っています。

とは言え、毎度一連のフローで問題点も出てくるので、ユーザーインタビューが終わった後には必ず改善を行っております。

『誤った方向に導く回答を収集するとは?』で掲載したインタビューフローのチェックリストも当初はなかったですが、振り返りの時にメンバーから意見をもらって作成した改善の一例です。

インタビューは100点満点の型というのはないですが改善しながら100点に近づく型を作りたいと思っています。

この記事を読んだ方で、「ユーザーインタビューでこういう形でやっていてオススメですよ!」みたいなものがあれば是非意見交換をさせてください!コメントやDM歓迎。連絡くれたら猫のようになつきます。


▷まとめ

・カンムではデータを裏付ける顧客の痛みを発見するスピードを上げるために誰もができるインタビューの仕組みづくりを実施した
・「誰でもすぐできる」「失敗せずできる」の2つの観点で仕組み作りを実施
・仕組みをつくった後4人がインタビュー設計から実施まで推進することができた
・とは言え仕組み運用後の問題点から改善することが大切


▷さいごに…自身のユーザーインタビューへの想い


前述の通り、これまでの自身のマーケティング業務の中でユーザーインタビューを行った経験人数で言うと国内外合わせて500人以上行ってきました。

数はかなり多い方だと思っていて、なぜここまで数が多くやってきたのかなと思い返すとカンムに入社する前まで属してきた生活消費財業界のマーケティング文化が理由と考えます。

「困ったときには現場に行って、お客様に聞く」という文化が生活消費財業界では根強く存在していました。その文化でガツガツ仕事できていたことに感謝しています。

一方で苦い経験もあり、業務の中でユーザーインタビューから仮説を出してプロダクトやプロモーションなどに落とし込むのですが、ユーザーインタビューが十分でなかったことに起因する失敗もしてきました。その失敗はユーザーの満足度を下げるだけではなく、会社の売上・利益にもマイナスになることもあります。

ユーザーインタビューは誰でもできると思われがちな行為なのですが本当に深くて難しいと感じており、モデレーターで言うとプロでも自身のモデレータースキルに100点をつける人はおらず改善を続けています。

なので、自身が携わるインタビューはプロならどうしているかを考えつつ、ユーザーに対して謙虚に丁寧にやり続けたいと強く思っております。


カンムでは決済履歴データから抽出される情報だけでなく、お問い合わせやインタビューなどユーザーから得られる情報を誰もが丁寧に扱いプロダクトや施策に落とし込む文化があります。

引き続き様々な職種で募集しておりますので、「もっとユーザー起点で業務を推進したい」や「カンムに興味ある」方はぜひチェックしてみてください!


▷仕組み作りに参考にした本



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