摂取した糖質を脂肪組織にまわさずエネルギーとして蓄え使い切る

摂取した糖質がまるで全て体脂肪になるかの如く言う人がいますが決してそんなことはありません。

まずは血糖維持に使われながら、糖を使うときにはその組織に糖を供給してエネルギーとして使い、余ったらまずは肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄えられ、それでも余ったら体脂肪として蓄積されます。

だから、糖を体脂肪に蓄えたくなければエネルギーとして使い切るかグリコーゲンとして蓄えればいいわけです。

しかし一つ落とし穴が。

糖質は肝グリコーゲンが少ないときは肝グリコーゲンとして優先的に蓄積されやすい。

しかし、筋グリコーゲンが少ないときに糖を摂取したからといって、筋グリコーゲンとしてどんどん蓄えられるかというとそうではないんですね。

そのカギになるのが両者に糖質を取り込むための輸送担体です。

肝細胞への糖の取り込みは、GLUT2と呼ばれる輸送担体が担っています。このGLUT2はインスリンによる調節を受けないので、足りていなければ比較的自由に糖を取り込んで肝グリコーゲンとして蓄えられるわけですね(1)。

しかし、筋細胞への糖の取り込みは少し流れが異なります。筋細胞への糖の取り込みは、GLUT4と呼ばれる輸送担体が担っています。

このGLUT4は普段は細胞内で冬眠したような状態でいるわけですが、インスリンが分泌されたり、筋肉活動が行われたりすると冬眠から目覚め、細胞膜表面に移動して糖の取り込みを活発に行うわけです。この現象をGLUT4のトランスロケーションといいます。

したがって、筋肉に糖をたくさん取り込めるときというのは、このGLUT4が細胞膜表面上にたくさん移動してきている時に限定されます。

つまり、運動中から運動直後にかけてのタイミング。

このタイミングでの糖質摂取は、筋グリコーゲンとして糖を蓄えやすくなります。

だから、「食事を摂る前に運動する」。これは結構体脂肪を増やさないために有効な方法になります。

(1)井上啓.脳による肝臓糖代謝調節機構.肝臓53(6); 329-335(2012)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?