～まえがき～
また変なこと始めます。NF＝謎のフィクション、です。シリーズ化しそうです。
ふっと思い浮かんだ謎の言葉を下敷きに、空想を広げていく様を、ただそのまま記述します。だから、基本フィクションだし、なんの脈絡もまとまりもない「何か」が誕生します。そういうシリーズになります。以下本文をどうぞ。
～まえがきおわり～

ぼくは３日後に消えます。そう、消えるんです。

ぼくは抹消されて、きれいさっぱり消えます。

きっと世間からもあっさり忘れ去られます。これは、社会からの「除籍」

幸福なことです。ぼくが消えたら、ぼく以外の「何か」が幸福を得ることができます。そう聞いています。

消え方が重要です。他を幸福にさせる消え方を模索します。

とりあえず裸にされてみます。なにか集まってきました。徐々に群衆と化してきます。でも、特段の盛り上がりはありません。

何かを投げられました。ぼくにぶつかります。ぼくの周囲を、徐々に笑顔が埋めていきます。みんなが、何かをぼくに投げつけます。

そうこうしていると、何人かがぼくに近寄ってきました。そして、僕を力いっぱい引っ張ります。徐々に引き裂かれるぼく。

笑顔の群衆から、なにか罵りが聞こえます。何と言っているかはわからないけれど、罵りであることは確かです。

なんだかみんな幸せそうです。幸せなのはいいことです。ぼくはいいことをしているみたいです。

誰かが大きなナイフを持ち出してきました。なにに使うんでしょう？

なんて。思っていたら、何の前触れもなくぼくを突き刺しました。

ゆったりと破裂するぼく。群衆がうねるようです。盛り上がりもひとしお。

群衆の罵りの中に、歓喜が混ざっています。

そのままの勢いで、今度はナイフを振り下ろされます。何度も何度も、ぼくめがけて振り下ろされます。

気づいたら、振り下ろされるナイフの量が増えています。１つが３つになり、今は１０は下らないようです。

笑顔の群衆はさらに数を増していきます。

あれ？

群衆の罵りが集まって集まって、実体のあるかたまりになっているみたいです、今気づきました。

よく観察してみましょう。

かたまりが集まって集まって。それはゆったりと鋭利な刃物へと、形を変えていきます。

ああそうか。振り下ろされるナイフが増えている理由がわかりました。

そして粉々になったぼく。群衆の歓喜と罵りはとどまることを知らないみたいです。

あれ。

なにか今までとちがう気配がします。

！！！

吸い込まれていきます。どんどん吸い込まれていきます。

なにも見えなくなり、聞こえなくなっていく。

真っ暗で無音のせかぃぅぅ..…

ねぇ。あの群衆ってなんだったの？ぼくを見て笑顔になる、あの群衆って、いったい何だったの？

あの光景が、群衆の幸せだったのかな？

あの群衆がぼくを消したの？ぼくを消すことが、群衆にとっての幸せだったの？

ねぇ。誰か教えてよ。