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コンピュータによる完全な管理・・地球へ(竹宮恵子)

「地球へ」はアニメ映画(1980年、恩地日出夫監督)もありますが、竹宮恵子のマンガが有名です。主人公はジョミー・マーキス・シン、14才の成人検査の最中にミュウ(エスパー)仲間に救出されミュウとして覚醒します。ミュウは人類から派生した新人種ですが存在を許されておらず、発見されると抹殺されます。
 
西暦3XXX年の超未来、コンピュータによって完全に管理されるS.D.(スペリオール・ドミナンス)体制では、コンピュータが遺伝子を選択して試験管で受精させ養父母が育てます。成人検査で過去の記憶を消去して、社会を構成する管理対象として洗脳したうえでクラス分けします。ジョミーが育ったのはマザーコンピュータ「テラズ・ナンバー5」に管理される育成都市アタラクシアです。
 
アタラクシアの地下に隠れていたミュウはジェミーを長としてアタラクシアを脱出し、宇宙を放浪した後、人類との共存を求めて地球への侵攻を開始します。激しい戦いの末地球に到達し、人類を管理するコンピュータであるグランドマザーを破壊しますが、地球はマントルの制御ができなくなり滅亡する、というお話しです。

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エドワード・スノーデンの暴露により、US政府による電話やメールの通信傍受やMicrosoft、Google、Facebook等を介した個人情報収集が明らかになっています。
 
また、中国では街頭や公共施設など、あらゆる場所に監視カメラが設置されており、その多くがAIを搭載した顔認証システムと連動していると考えられています。
 
ジョージ・オーウェルが73年前に書いた「1984」の世界が現実となっています。「1984」ではあらゆる行動が盗聴・監視されます。スターリンを彷彿とさせるビッグブラザーが支配する息のつまる世界です。
 
私の自宅にも「ALEXA」がありますが、動作を停止している時でも住人の会話を聞いているのではないかと疑うことがあります。
 
ただ、監視と管理では大きく異なる。「地球へ」では子孫を残すという動物としての本能までコンピュータに依存する超管理社会です。そこでは、人類はマザーコンピュータを「母」として考えることを放棄して全てを受け入れてしまう。管理される日常に慣れてしまうのは怖いことです。諦めとも違う、状況を疑問にすら思わない、何となく今の日本と共通する点があると思いませんか?