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オヤカク:就活の出口が「親ガチャ」なのか?

現在、学生が有利な「売り手市場」が続いており、多くの企業が内定辞退を防ぐために「オヤカク」と呼ばれる戦略を採用しています。
この戦略では、学生の親の意見を確認し、企業は親子参加の説明会を開催するなどして親の不安を解消しようと努めています。
例として、ソフトウェア商社「アシスト」が実施したオフィス見学ツアーや、就職情報会社「マイナビ」の調査結果が紹介されています。記事では、企業側が採用活動において親の影響を重視する現状を詳細に報告しています。

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オヤカク戦略:学生の親の力

近年、日本の企業は新卒採用で「オヤカク」と呼ばれる戦略に注目しています。これは、学生の親の意見や不安を重視し、内定辞退を防ぐための取り組みです。例えば、企業は親子参加の説明会を開催し、親の不安を解消することに力を入れています。

本音と建前の狭間

しかし、親の影響を重視するこの動きには疑問があります。学生が「親」を辞退理由として持ち出す場合、それは「本音」なのか、「建て前」なのか?

「親が反対しているので入社できません(私の力ではどうすることもできない力によって、私はこの会社に入ることができないのです)。」

「不可抗力」としての親を持ち出すのは、辞退理由としてはいいアイデアだと思います。
ですが、そこに透けて見えるのは「辞退理由を考えるのがめんどくさい」という学生側の心情ではないでしょうか?

人事担当者も売り手市場の中で採用に必死です。
中途半端な理由を掲げて学生が辞退しようものなら、人事側はあれやこれや理由をつけて「もう一度考えてみて」という風に丸め込むであろうことは想像に難くないです。

そこで「自分ではあらがうことができない存在」=「親」というのが内定辞退の理由として持ち出されれているのではないか?
こんな風に想像します。

いわゆるZ世代は「コスパ重視」の世代です。辞退理由として「親」を持ち出すのは、人事と余計な会話をしないための極めてコストパフォーマンスに優れた「もっともらしい理由」と考えることはできないでしょうか?

その辺の「本音」と「建て前」の見極めが重要です。
そして企業が「建前」に対して対策を講じているとすれば、それは極めて滑稽なことになります。こんなに意味のない活動はないですもの。

学生と親ガチャの矛盾

一方で、「親の反対」が実は「本音」であるとしたら?

それはそれで大変滑稽なことだと思います。

若者は自立を目指して大学に通い、(あまり好きではない言葉だが)「親ガチャ」に疑問を投げかけていたにも拘わらず、これから「4-50年続く社会人人生の入り口=学生の出口」の最終段階において親の判断に方向性を依存するのは、矛盾した滑稽さを感じます。

金銭面や条件面の問題

結局のところ、内定辞退の理由は多くの場合、金銭的なものや条件的なものに集約されます。

もし学生が初任給が低いことを理由に辞退してきたら?
人事担当者にはもうどうすることもできません。給与テーブルは「採用担当者ごとき」では勝手に変えることができない「不可抗力」です。
これを言われてしまったら採用担当的には「王手」「チェックメイト」なのです。

人事側が「給料は低いけどいい会社だよ」などと学生を説得することもないでしょう。
人事だって、本音ではもっと高い給料が欲しいし、待遇が改善されたらいいなと思っているし、なんだったらより好待遇な会社があったらほかの会社に行きたいとすら思っているかもしれません。

にも拘らず、中途半端に「親の反対が最たる理由」なんてことになると人事も困るのです。
経営者には「それならまだ人事側でできることがあるだろう」と言われ、しぶしぶ(自分では愚かなことだと思いながらも)「親のオフィスツアー」とかを企画する羽目になるのです。

しかし「辞退理由は賃金です」と学生がはっきり人事に伝え、この現実が上層部に伝われば、対策として「給料のアップ」のボールを持たされるのは経営者。

この不毛な新卒採用戦線において、そう素直に伝えたほうが、学生の皆さんも人事の皆さんもハッピーではないですか?

学生の視点:オヤカクの面倒

最後に、学生にとって、企業が「親の反対」を真に受けて、「オヤカク」をによるオフィス見学や親の意見を求められることについて。

これ有難迷惑ではないですか?

遠方に居る親を新幹線で呼び出してオフィスの見学

「経費くれてもやりたくねぇよ」が学生の本音ではないでしょうか?


「え?でも実際に参加した方のアンケートは大変好評で・・・」
繰り返しになりますが・・・そのアンケートは本音を書いたものなのか、それとも建前で書いたものなのか深堀することが重要です。

結局、このオヤカク戦略の背後にある矛盾や滑稽さを考えると、企業と学生双方にとってもっと適切なアプローチが必要と感じます。
企業は学生の本音に耳を傾け、学生は「親ガチャ」の呪いを解き放ち、自分のキャリアを主導する力を持つべきです。

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