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夢から醒めてしまった話

「権威とは人間関係が作り上げた幻想だ」
と、最近読んだ小説に書いてあった。

その地位を認識した上で自然と人は傾聴するか否か判断している気がする。
夢を見ていることが悪いことではないし、そうやって人間界の規律は保たれてきたようなものだとも思っている。
しかしながら、社会に出て多くの人と出会い「〇〇さんもいつもおっしゃっているように私もそうしていくことを改めて徹底してまいります。」的な言葉をよく耳にするようになり辟易してしまった。
誰かを正解に祀りあげて自分の逃げ道を作っているように見える私の瞳は捻じ曲がっているのかもしれない。

幻想を解く手段の一つに「疑い」が有効だろうなと最近思い始めた。
闇雲に疑えばいいわけではなくて、その疑いは本人の誤魔化しが効かない行動から生まれる。

疑いたかったわけではなくて、口に出している言葉と行動が伴っていないのを発見したときにその違和感に気が付いただけ、と言った方が適切かもしれない。

そしてその不一致がどうしても気になって、その人の言葉が体に沁みてこなくなる。
周りの手放しにその人を評価する姿勢さえ無責任に思えてくる。

夢から醒めてしまったらしい。
初めから私は相手に期待していただけだしそれは裏切りでも騙しでもない。
幻想を見ていたのは私自身だったのだ。

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