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「ていねいにくらす」

移住してそろそろ4カ月が経つが、福岡はウワサ通りで誠に良いところだと思う。

グルメではラーメンやモツ鍋が有名だが、僕がハマったのはうどんである。小麦には中毒性があるというが知ったことではない。もはや「大地のうどん」の「肉ゴボ天」が僕の生命維持に欠かせなくなっている。スーパーやデパ地下における生鮮食品の品質の高さと価格のアンバランスは驚異的。天然ものの鯛だの鰤だのが信じ難い低価格で並べられているのは壮観。街を歩けばそこ彼処から食欲を刺激するスパイスカレーの香りが漂い、食後はどこでも美味しいコーヒーを楽しむことができる。江戸っ子の元遊び人には「夜の街」の充実ぶりもうれしい。九州最大の歓楽街・中洲は素敵だが、もう入り浸る歳ではないので、足元の警固(「けご」と読みます)エリアにたくさんある魅力的な店の開拓プランを練るのが今の楽しみだ。

大濠公園至近のエリアで住まいを見つけたのでランニングライフも満足している。1周5kmの皇居と違い、メッカの大濠公園は1周2kmと心がすぐに折れる身にはありがたい。どちらも大変走りやすいが、違いは大濠公園はあくまで「公園」なので、ランナーのみならず老若男女の憩いの場であること。NYCのセントラルパーク、香港のビクトリアパークに近い存在ではないか。大濠公園の他にも西公園、南公園、百道浜等々素晴らしいランコースはいくらでもある街だとわかった。トレイルも近くにあるのでワクワクしている。有難い御縁をいただき、メッカを走っている方々と知り合うこともできた。

と、なにひとつ悪いことはなく、そろそろ活動の幅と域を拡げようと思っている毎日だが、ひとつだけ心臓が止まるほど驚いたことがあった。福岡語で

「ていねいにくらす」

とは「念入りに殴打する」という意味だそうだ。

この事実を教えてくれた女性は、関東出身の男性からプロポーズを受けたとき「一緒にくらそう」と言われて一瞬

「誰を?」

と思ったと語った。このことを知って以来、世に出回っている「ていねいなくらし」関連本を見かける度に肝が縮み上がってしまうようになってしまった。西部ガスはかつてなんと恐ろしい冊子を配布していたのだろう。

不思議に思ったのは僕のルーツ山形でも殴ることを「くらすける」と言う。福岡とはずいぶん離れてるのに不思議だ。すると「方言の元になる昔は、都が京都であったため京都を中心に円形状に言葉が広がった。よって距離があるのに似た言葉になる」と教えてくれた賢者がいらっしゃった。疑問解決。だから鹿児島と青森はイントネーションが同じなんだなぁと納得した。

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