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4年 小数の倍 感覚から入る割合授業の提案【展開部】

 閲覧して頂きありがとうございます。
 倍のイメージって「増える。」「大きくなる。」そんなイメージをもっている子どもたちが、小数の倍で戸惑ってしまう「0.5倍」。
 前回は、その部分の提案と 授業実際【導入部】までを書きました。
 本日はその続きになります! まだ読んでいない方はこちらから


授業の実際



【展開部】①黄色は赤の何倍?

「じゃあ、まずは赤と黄色で比べるよ。」
「何㎝なのかが知りたい。!」
と男の子が呟きました。しかし、全体に広がっていかないことと、数値による操作で求めたくはなかったのでここでは取り上げませんでした。

「黄色は赤の何倍?」
「2倍。」
「2倍かなぁ。」
「1.6倍。」
と子どもたちがそれぞれ自分の考えをもって呟いていきます。
この時、「何倍と思うかノートに記してごらん。」として自分の感覚を把握するためにも、書かせてもよかったかもしれません。

2つのテープを黒板に並べると、
「あっ、2倍だ。」と声があがりました。
複数ある中での見方と、対象を取り出したときの見方は異なることを感じました。
「やっぱり2倍だよ。」
と黒板で2つの赤を並べて、黄色は赤の2つ分であることを確認しました。
2倍=赤のテープ2つ分 と板書をして、赤をもとに考えていることを共有。

【展開部】②青は赤の何倍?

 次は、赤と同じ長さの青のテープ。
倍=「増える。」「大きくなる。」と捉えている子どもたちにとって、同じ長さはどう捉えるのか。
 2つのテープを並べた時、
「あっ、同じだ。」
「変わらない。」
との声が聞こえました。

「青は赤の何倍ですか?」
「1倍かなぁ。」
「0倍だよ。」
「本当にそれでいいの?」
「変わらないから。うーん、わからない。」
「だって、同じ長さだし・・・。」

子どもの中で「差の見方」と「倍の増える見方」が混在していて、悩んでいることを感じました。
「さっき、変わらないと言ったでしょ。だったら、0倍でいいんじゃないの?」
あえて、誤答の方に寄り添い、子どもの言葉で倍の見方を捉え直そうと思い、問い返してみました。
「だったら、さっきやった黄色は赤の1倍になるんじゃないの?」
「えっ、どういうこと?」
「0倍は、スタート地点を数えないということだと思うから、そしたら黄色は赤を1個増やしたから1倍になるんじゃないの。でも、さっきのが2倍だから、これは1倍。」
「0倍は、何もなくなることだから1倍でないとおかしい。」

2つの見方を全体で共有し、同じ長さは1倍であることを確認しました。

【展開部】③残りどっちを先に比べる?

 残った2本のテープ、黄色よりは短いけれども青よりは長い白色のテープ。赤のテープより短い緑色のテープ。子どもたちはどっちを先に選んだか。

「どっちを先に比べたい?」
「えー、どっちもいやだ。」
「中途半端だもの。」
「でも、白がいい。だって倍で表せるから。」
「あっ、小数が使えるから1.5倍とかいけるんじゃない?」
やっぱり、倍って増えるイメージが強いのかな と思い、子どもたちに聞いてみました。

「みんなは倍ってどんなイメージをもっているの?」
「増やす。」「大きくなる。」「もとの長さより長くなる。」
「だから、緑は赤の何倍?じゃなくて、赤は緑の何倍がいいな。」
イメージを共有した後で、赤よりも長い白のテープを取り上げて一緒に考えていきました。

【展開部】④白は赤の何倍?

 2つのテープを取り上げて並べると子どもたちは
「小数が使いたい。」
「1.7倍ぐらいかな。」
「2倍ぐらいかなぁ。だって、赤のテープよりは長いわけだし・・・。」と教師がつぶやきました。2倍はないことを引き出したかったからです。

「先生。2倍は絶対おかしい。」
「だって、白いテープは黄色のテープより短かったでしょ。」
「黄色が赤の2倍だから、それより短い白は2倍ではない。」
「もしも2倍であったら、白のテープは黄色のテープと同じ長さになっちゃう。」

「全員立ちましょう。今の話をもう一度言う自信のある人座りましょう。」
話がごちゃごちゃになってきたので、どんな話をしていたのかを個々に確認するために立たせました。すると、案の定どんな話なのか分からない子どもがたくさんいました。座っている子どもを指名し、どんな話だったのかをゆっくりと話させました。

「もしも赤の長さが2倍だったら、黄色のテープと同じ長さになるから黄色と白は同じ長さになっちゃう。」
この話の中で、半分以上が座りましたが、まだ立っている子どもも何人かいました。
「今のお話難しかったよね。どんな話だったんだろう?」
すると、さっきまで立っていた子どもが
「先生。わかった。いえる。言えるよ。」
と黒板に出て来て説明を始めました。その説明で立っていた子どもが全員座りました。
子どもたちには「2倍はおかしい。」という理由をノートに書かせました。

「そうか。だから、みんなは小数を使いたいのか・・・。」
「先生。緑のテープを赤に足したら白のテープになるんじゃない?」
子どもの感覚ってするどいなと感じました。
長さがわからないので、子どもたちは白のテープは後に回して先に緑のテープを求めていくことに話が変わりました。


【展開部】⑤緑は赤の何倍?→白は赤の何倍?

 いよいよ0.5倍にチャレンジです。子どもたちは、赤と緑を取り上げ並べました。すると、緑をもう1枚足して赤と同じ長さにしました。
「緑の2倍が赤だよ。」
なかなか0.5倍の壁は難しいなと感じました。

「ということは、緑は赤の2倍ってこと?」
「ちがう。それだと黄色と同じ長さになるから、÷2をすれば緑になる。」
「緑の2倍が赤だから、赤の半分が緑。」
子どもたちが感覚的に2倍はおかしい話を言い出しました。

「緑は赤の何倍?」
「赤から見て、緑は赤の何倍?」
「赤から見たら÷2だよ。」
「緑から見たら2倍だけど、今は赤から見て考える。」
子どもたちは、÷2の説明を黒板に出て行いますが、中々伝わりずらい。
緑を増やしたことも原因の1つと考えられます。
やっぱり、倍=増える イメージにとっては難しいのかなと感じました。

「先生。赤緑物語を考えた。ちょっと、みんな聞いて。」
一人の男の子が言いました。横に貼ってあるテープを縦に使い、身長でを例に話し始めたのです。
「おう、みどり君久しぶり。身長比べをしようぜ。」
「赤から見ると、みどり君の身長は俺の÷2だな。半分の大きさだな。」
「あー。そういうことか。半分ってそういう事!」
子どもたちの表現力ってすごいと感じました。
また、例えを使えるとものの見え方って簡単になることを学びました。

「半分ってことは1÷2=0.5」
赤から見ると緑は0.5倍って表すことができると確認しました。
「だったら、緑の長さが0.5倍だとわかったら、白のテープは赤+緑だから1+0.5=1.5 1.5倍だ。」
白のテープの長さも自分たちで表すことができました。

【終わりに】

 長くなってしまったので、【終末部】と【成果と課題】については次回書きたいと思います。最後まで読んでくれてありがとうございます。


                     「てらす1期生 かずにぃ」

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