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ストリートスナップのカメラと「祝祭の装置」

1. ストリートスナップのためのカメラ

ストリートスナップを撮る写真家も目立たないカメラではなく、大きくて使いづらいカメラを選ぶのだそうだ。長いこと路上を撮っている人ほどその傾向にあると聞いた。今なら音がしないカメラもあるのに使おうとはしない。

渡部さとる 写真生活 2021-10-31 ブックフェアと「祝祭の装置」

これを読んでみっつの感想を持ちました。
・おもしろい着眼点だ
・それはあり得る
・そうなの?

それはあり得る

僕は、高機能・高性能なカメラや、個性的なレンズに素晴らしい写真を撮ってもらうのではなく、自分でコントロールして写真を撮っているという実感と楽しさが好きで、MFのレンズで絞り値もシャッタースピードもすべてマニュアルで撮っています。使いづらいカメラを選ぶのは、それに近い理由なのかなと思いました。
しかしプロの方には、きっともっと違う理由もあるのでしょう。それはなんなのでしょう。

そうなの?

どの写真家のメインカメラが何かにあまり関心がないので、具体的な名前をたくさん挙げられませんが、例えば森山大道氏のGRのように、ストリートフォトグラフィーの分野でGRistや他のコンパクトカメラを使われる方は、マジョリティーなのかマイノリティーなのかという疑問です。

僕自身は海外のストリートでGRistには一度も出会ったことがありません。実際にはマイノリティーなのか、みなさん巧みにカメラの存在を目立たなされているからなのかはわかりません。

余談

プロでない僕の撮影スタイルなんて参考にならないでしょうが、僕自身はカメラがバッグの中で間に合いそうにないなら、迷わず尻ポケットのスマートフォンで撮ります。
でも、一番よくつかうのはM型ライカです。これを大きいカメラと判断するのか、使いづらいカメラと思うかは人それぞれでしょう。

シチュエーションによってキャンディッドな撮り方もしますが、大抵はファインダーを覗いて撮っています。相手が撮られていることを意識する前に撮り終えるように心掛けていますが、撮っていること・撮ったことに気付かれることは気にしていません。むしろ気付いてもらった方が、後味がいいです。

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パリの人々は大抵はストリートスナップにとても寛容です

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撮っているのを見つかって乾杯されてしまった

撮ったことで文句を言われたら、謝るなり、撮った写真を消したりしますが経験上、それは1/1000以下の確率です(国や場所によります)。

これまでは、映り込みに気をつけて黒っぽい服装や黒いカメラ、レンズ、ストラップを使ってきましたが、もっと目立ってもいいかな、堂々と撮るために赤いストラップでも使ってみようかな、なんて最近思っています。

2. 「祝祭の装置」

写真家とは祝福を与える人たちのことなのだよ。そして時にそれは鎮魂であり、祈りとなる。決して対象を呪う装置としては用いない。

出典:同上

「祝祭の装置」とは素敵な言葉ですね。
撮影はその場所と時間を切り取るだけでなく、その場に存在した自分自身をも確認する行為だと思っています。
その機会と役割を、少しでもポジティブなものにしたいと心から思います。

しかしブルース・ギルデン氏のように、「呪」の側面を持つ写真もあり(僕の勝手な解釈で間違っていたらすみません)、人の心の中には、それを求める部分もあるようにも感じています。

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