伊藤蘭丸

広告ディレクター・編集者。出版社勤務を経て独立。今まで犬派(とくに柴犬好き)として生き…

伊藤蘭丸

広告ディレクター・編集者。出版社勤務を経て独立。今まで犬派(とくに柴犬好き)として生きてくるも、あるのらねこ軍団との出会いをきっかけにねこ派&ねこ活デビュー。のらねこさんたちの過酷な環境下でもたくましく生き抜く日々を追い続けている。曽祖父は昭和初期に活躍した講釈師の伊藤痴遊。

最近の記事

ちいちゃんの嫁入り支度

翌朝、神社に行くと朝の餌やり担当のS子さんと、 昼の餌さり担当のI子さんが待っていた。 境内を歩きながら、今までの経緯を聞く。 昼担当のI子さんは、約1年半前から神社ねこの 昼の餌やりをしていること。 餌やりを始めたきっかけはちいちゃんとの出会いで たまたま神社を参拝した際に出会い、一目ぼれ。 以降、ちいちゃんのお世話だけでなく ほかのねこたちにもごはんをあげてきたこと。 そして、昼の餌やり担当に就任したときから ゆくゆくはちいちゃんを引き取りたいと願い出ていたことも。 ちい

    • ねこ大将ちいちゃんの病

      ある日の朝、 神社ねこの餌やりさん(朝・昼・晩)のお三方が 神社駐車場で何やらいさかっていた。 しまいには「やんのかポーズ」を決め込み 盛大な取っ組み合いが始まる。 竜巻のような砂埃で本殿が見えなくなるという シュールな現場に遭遇…… 幸いなことに、ここで目が覚めた。 よかった、夢だったのか! 人生の大先輩である70を超えたお姉様方の 「やんのかポーズ」はさすがにシュールすぎだった。 が、昼前に朝の餌やり担当S子さんから、 その悪夢があながち夢ではないと聞かされ 寝坊したこと

      • 華麗なるのらねこ一族の掟

        神社に住む13匹のねこたちは、 それぞれが自分の領域で自由に暮らしている。 正門の大鳥居周辺には、 サビ猫のチャビ(♀)、同じくサビ猫のプリン(♂)、 白キジのプッチ(♂)、キジトラのマル(♂)、キジトラの楓(♀)と白キジの姫(♀)、黒猫のキキ(♂)。 社務所と本殿下を領域とする白キジの桜(♀)、 黒白ハチワレのポポ(♂)、 神楽殿と出世稲荷周辺を好む白キジのなっちゃん(♀)と ぽっちゃり体系白キジのマリン(♂)、 そして境内全域を掌握している白猫のハク(♂)と 猫大将のちい

        • 13びきの神社ねこ

          神社詣で出会ったねこは全部で13匹いた。 子どものころよく読んだ『11ぴきのねこ』のように、 ここにもねこ大将がおり、みんなを守っていた。 『11ぴきのねこ』との違いは、 このねこ大将が、非常に美しいということだ。 一見すると普通の「のら猫」かと思いきや 出会う人はなぜか彼女(ねこ大将)に心惹かれ、 その場からしばらく離れられない、 カシャカシャと撮影会が始まり 彼女との出会いに感謝する。 今日、神社に来て本当によかった、と。 ねこ大将の名前はちいちゃん。 白と茶色の模様に

        ちいちゃんの嫁入り支度

          朝ごはんは卯二つ時に

          はじめてのらねこ会議を見た日から 8年たった初夏の朝、ウォーキングがてら神社に詣でた。 八面玲瓏の空気が澄み渡る中、 神社正門の階段を登ると、 舌なめずりする数匹のねこが現れた。 誰かを待っているようだ。 還暦を越えた頃の女性が大荷物を抱えて道を渡り、 こちらに向かってくるのがわかると、 さらにねこの数は増える。一匹、二匹、三匹…… 大鳥居下はあっという間に大勢のねこらでにぎわった。 ねこの餌やり……その存在に、やや安心した。 飢えてはおらず、毎日十分な食事、神社境内という

          朝ごはんは卯二つ時に

          はじめて「のらねこ会議」を見た日

          この物語を13匹のねこたちに捧げる。 彼らがどこかの家に引き取られることになろうと、 このままお外で生活し続けることになろうと、 彼らの未来が、 温かい冬、涼しい夏を迎え、 毎日、心ゆくまでおいしい食事を堪能でき、 できる限り雨風をしのげるように、 そして毎日が幸せでありますように……。 彼らとの出会いは約12年前に遡る。 当時まだ幼い息子と一緒に、近所の神社へ詣でたときのことだ。 急いでいたわけではないが、 神社の裏門に面した自宅から最短距離で本殿に向かうため、 表門の存

          はじめて「のらねこ会議」を見た日