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沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 番外編3 ギンネム

Leucaena leucocephala(ギンネム)マメ科

初めてギンネムを見たのはグアム島でした。

僕「この木、たくさんありますね」
現地ガイド「米軍が空から種を散布した。ジャングルになってる」

史実を専門としない僕には、散布が事実かわかりません。
しかし、ギンネムの繁茂する力が強いのは本当です。
その場で茂るだけでなく、落ちた種子からも発芽します。

グアム島のギンネム
左:グアムのゲッコーとギンネムの落果  右:ギンネムの自然実生

ギンネムの問題は、市街地荒らし、畑荒らしではないです。
人が立ち入らない林や放棄地でさかんに茂り、
アレロパシーをもって原生種を圧迫するところです。
それらの土地は引き抜く人がいない場所だけにやっかいです。

国際自然保護連合(IUCN)は、ギンネムを
「世界の侵略的外来種ワースト100」に入れました。
100 OF THE WORLD'S WORST INVASIVE ALIEN SPECIES
https://portals.iucn.org/library/sites/library/files/documents/2000-126.pdf


沖縄旅行中、ギンネムの木を多数みかけました。
どれだけ見かけようと、この木にラベルがついていることはありません。
見本樹もありません。
図鑑でも収録対象から外していることが多い気がします。
かくいう僕もランクから外しています。

ギンネムが「この木、なんの木」になったときは、
現地の人に尋ねるしかないでしょう。
「ああ、それはギンネムといってね・・・」
微妙な表情で説明してくれるのではないでしょうか。

むやみに繁茂されると有害ですが・・・。

ギンネムは荒れた土地に耐え、炭素と窒素を固定します。
窒素固定の能力はとくに高く、年間500 kg/haともいわれます。
木の部分はパルプになるそうです。
葉は家畜の健康によくない成分を含んでいますが、
飼料にできないか、研究に取り組んでいる人もいます。

ノミネートされた中で、唯一、食用になる木です。
原産地メキシコでは若い鞘を食用にするそうです。
サヤエンドウみたいな感じでしょうか?
毒性は弱いので、彩りで食べる程度なら問題ないでしょう。

ギンネムを見つけたら、引っこ抜くなり、伐採するなりでOKです。
しかし、絶対悪とはしないでくれると嬉しいです。
SFみたいに地球が荒廃したとき、ギンネムは人類の希望かもしれません。

沖縄のギンネム  
立ち入るのが難しい茂みに生えていることが多いです。
海外ではroadside plants(雑木、雑草)扱いです。
ギンネムの鞘  撮影地:首里城公園
鞘ごと落ちることもあれば、二つに割れてタネだけ落とすこともあります。
2月はつぼみだけでした。
花にはスパイシーでグリーンなフルーツ香があります。

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