瀬戸 裕紀

1964年生まれ。東京理科大学 理工学部 応用生物科学科卒。数学と生物学の学際に住む研…

瀬戸 裕紀

1964年生まれ。東京理科大学 理工学部 応用生物科学科卒。数学と生物学の学際に住む研究者。 考えることが楽しい。書くことが楽しい。著書「対人弱者の生存戦略」

最近の記事

  • 固定された記事

【写真講座】画像を連結して遊ぶ

◆作例1 ボツ写真の供養冒頭からあんまりな項目で申し訳ありません。 マクロ撮影をしていると、ボツ写真が山ほどでます。 撮影ライフにボツはつきものです。 ボツ写真をパッチワークにすると、撮影生活の思い出の一枚になります。 並べ次第で「手工芸の妙」が加わることもあるかもしれません。 最終的に採用したのは、この1枚でした。 ◆作例2 比較写真(横並べ)ヒトの脳は差分検出が得意です。 差異の発見に、ある種の喜びを感じるといってもよいほどです。 僕はサイゼリヤに行くと必ず間違い探し

    • 【フォトアルバム】画像でお花見 vol.2 オオシマザクラ、エドヒガン

      写真の木の幹には「エドヒガン」というラベルが掛かっていました。 ここでは「エドヒガン系統」という同定に留めています。 インターネットにおいて、エドヒガンを吹聴する木の形質は多様です。 コヒガンザクラ(マメザクラ×エドヒガン)を思わせる写真も多いです。 エドヒガンは交雑しやすい(種子親になりやすい)ように見えます。 親木がエドヒガンであっても、交雑した実生苗を見本樹として継承すると、原種そのままの遺伝子を保持する木は減っていくでしょう。 この交雑を許容する性質がソメイヨシノ

      • 【フォトアルバム】画像でお花見 vol.1 ソメイヨシノ

        ソメイヨシノ以外の桜はまた後日(^^)/

        • イチジクとイチジクコバチの対応の謎

          沖縄の木シリーズで、Ficus属の他の木を推したかった人もいるでしょう。 「アコウは実がたくさん成るので目立つ」 「ハマイヌビワを推したい。赤い実が美しい」 「オオバイヌビワの葉が立派でよい。海洋博公園に見本樹もある」 「ベンガルボダイジュを推してほしい。東京に観葉植物を出荷している」 どの木も魅力的です。 しかし、属で一つとなると、ガジュマルの優位は揺らぎそうにないです。 Ficus属同士は遺伝的に近縁です。 観光客は、他の木を取り上げても特徴を見分けられない気がしま

        • 固定された記事

        【写真講座】画像を連結して遊ぶ

          【フォトアルバム】新しいレンズと沖縄で

          【フォトアルバム】新しいレンズと沖縄で

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 番外編3 ギンネム

          Leucaena leucocephala(ギンネム)マメ科初めてギンネムを見たのはグアム島でした。 僕「この木、たくさんありますね」 現地ガイド「米軍が空から種を散布した。ジャングルになってる」 史実を専門としない僕には、散布が事実かわかりません。 しかし、ギンネムの繁茂する力が強いのは本当です。 その場で茂るだけでなく、落ちた種子からも発芽します。 ギンネムの問題は、市街地荒らし、畑荒らしではないです。 人が立ち入らない林や放棄地でさかんに茂り、 アレロパシーをもっ

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 番外編3 ギンネム

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 番外編2 リュウキュウマツ

          Pinus luchuensis(リュウキュウマツ)マツ科リュウキュウマツの学名は「Pinus luchuensis」です。 種小名の語尾「ensis」は、現代では、ほぼ固有種に対して使います。 分類学の父、リンネが生まれたのはダーウィンの約100年前でした。 当時はまだ、種が分化していく経緯がわかっておらず、語尾ensisを 「その地方でよく見られる」程度の軽い感覚で使っていたようです。 広域には「地方」という呼称がしっくりきません。 大陸については、american

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 番外編2 リュウキュウマツ

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 番外編1 オオバギ

          Macaranga tanarius(オオバギ)トウダイグサ科首里城は領域全体が復元です。 建物はもちろん、石垣さえ復元されたものだとか。 城内の植栽も限られた情報をもとに復元したそうです。 管理者は、植物案内の筆頭にオオバギを掲げました。 古老へのヒアリングで裏づけがとれたのかもしれません。 参考資料 今回のランキングにおいて、オオバギはノミネートどまりでした。 南国らしくてよい木だと思いますが、見かける頻度が低すぎでした。 滞在中にオオバギを見つけられたらラッキー

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 番外編1 オオバギ

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(9位、10位)コバノナンヨウスギ、ユスラヤシ

          9位 Araucaria heterophylla コバノナンヨウスギ(ナンヨウスギ科)地面にヒモみたいな葉が落ちています。 なんだろうと見上げると、独特の樹形を持つ針葉樹が目に入ります。 コバノナンヨウスギは、マツ科やヒノキ科ではなく、ナンヨウスギ科です。 漢字で書くと南洋杉。熱帯・亜熱帯に生える針葉樹です。 高さは最大60mに達するといわれます。 通例、3m超えで高木扱いのところ、本種はひと桁違います。 遠くから見えるので、よいランドマークになるとか。 (注:世界一高

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(9位、10位)コバノナンヨウスギ、ユスラヤシ

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(7位、8位)モンパノキ、クサトベラ

          7位 Heliotropium arboreum モンパノキ(ムラサキ科)海岸から少し内側、日当たりのよいところに、モンパノキが生えています。 多肉質で大きい葉、豪快な樹形。インパクト大です。 今回、紹介する中で、もっとも目立つ木といってよいでしょう。 堂々とした風情が好まれ、リゾートホテルに植栽されることもあります。 葉は微毛に覆われ、全体として灰色がかってみえます。 南の島の植物なのに、ツヤツヤのワックス層は要らないのでしょうか。 ポイントは耐潮性(耐塩性)かもしれ

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(7位、8位)モンパノキ、クサトベラ

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(4位~6位)ガジュマル、モモタマナ、アカギ

          4位 Ficus microcarpa ガジュマル(クワ科)都内在住でガジュマルを育てている人は多いでしょう。 しゃれた陶器の鉢に植え、マンションの窓辺に飾る・・・。 現地のガジュマルは、鉢植えからは想像できないほどワイルドです。 木が暴れるといったらよいか。気根もたくさん出ます。 はるばる南国にきました。 屋外で大きく育ったガジュマルを見上げるとよいです。 立ち寄る先々で、大木を見ることができます。 名木に認定されているガジュマルもあります。 「おきなわの名木百選」に

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(4位~6位)ガジュマル、モモタマナ、アカギ

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(1位~3位)オキナワキョウチクトウ、フクギ、アダン

          はじめに南国の美しい花々は、観光の目玉の一つです。 一方、花の目立たない樹木となると・・・。 しかし、気になりませんか? 本土の街路樹とは種類が違うようです。 細かいことはわからなくても、独特の樹形が目を引きます。 沖縄版「この木、何の木、気になる木」 上位10種をまとめました。 1位 Cerbera manghas オキナワキョウチクトウ(キョウチクトウ科) 2位 Garcinia subelliptica フクギ(フクギ科) 3位 Pandanus odoratis

          沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(1位~3位)オキナワキョウチクトウ、フクギ、アダン

          【フォトアルバム】霜化粧

          雑談です ∫1 フィルムカメラは、霜の撮影が苦手 霜化粧は、フィルムカメラには難しい被写体です。 1)見たければ、息を止めるしかない対象 かつて、カメラはファインダーを覗く形でしか、 被写体の位置を決められませんでした。 フィルムカメラに接写レンズを装着し、霜のついた落ち葉に寄れば、 体温と吐息で霜が溶けてしまうでしょう。 気象条件により、美しい雪の結晶が降ることがあります。 視力が良い人は、肉眼でも観察できます。 どの結晶も同じでなく、どの結晶も精緻な工芸品のよう

          【フォトアルバム】霜化粧

          花の色は移りにけりなpHで -夏の色

          ∫1 アントシアニンの色を確かめる「アントシアニン系の色素は、pHで色が変わる」 教科書的な知識として、知っている人は多いでしょう。 実際のところ、どんな色になるのか、 家庭でできる方法で確かめてみましょう。 ∫2 実験準備◆用意するもの ・3種の溶液  ① A液: 市販のレモン調味料       (成分:レモン果汁10%、クエン酸、アスコルビン酸)       2倍希釈で使用。  ② B液: A液とC液を混合し、中性付近に調整  ③ C液: 炭酸水素ナトリウム(食品添

          花の色は移りにけりなpHで -夏の色

          コアジサイの黒葉

          Hydrangea hirta(コアジサイ)は、山野に生える小木です。 6月に山を訪れると、薄い青紫色の小さな花をみることができます。 アジサイらしく、花色に幅があります。こちらは白花の個体です。 (form. albiflora) よくみると、白花でも茎は紫色を呈しています。 青紫花同様、青紫系の色素を持っていることがわかります。 さて、このコアジサイ、秋になると、独特の葉色を示します。 まず、クロロフィルが分解され、カロチノイドの黄色が現われます。 葉が黄色くなる植

          コアジサイの黒葉

          謹賀新年 2024

          今年もよろしくお願いします

          謹賀新年 2024