ドラえもんの最終回


子供のころに見ることが許されていた数少ないアニメの中にドラえもんがある。


あの頃の放送曜日は確か金曜日の19時台。エホバの証人の集会もないから、それはそれは毎週楽しみにしていた。


そんな国民的アニメのまさに代表格であるドラえもんの最終回。


皆さんご存じであろうか。実はオフィシャルなものから、都市伝説的なエピソードまで、いくつかの説があるのですよ。


誰もが一つくらいのエピソードは語れるのではないだろうか。


わたしが唯一知っていたエピソードは、「さようならドラえもん」のエピソードである。


突然22世紀に帰らなくてはならなくなったドラえもん。いつものようにジャイアンにいじめられてドラえもんに泣きついてくるのび太に、ドラえもんは珍しく一人でできないケンカならするな!と突き放す。戸惑うのび太に未来に帰ることを告げる。そんな事実をなかなか受け入れられずに大泣きするのび太。パパやママに説得されて、何とか受け入れるが、とうとう別れの夜がやってくる。残された時間を大切にしたい二人は朝まで話そうと言いながら夜の散歩へ向かう。のび太の今後が心配なドラえもんは「一人で宿題やれる?いじわるされても立ち向かえる?」と気遣う。するとのび太はたくましく、「馬鹿にするな。ひとりでちゃんとやれるよ、約束する」と答える。その姿に感動するも涙を見せたくないドラえもんは背を向けてのび太のもとをいったん離れる。一人空き地でドラえもんの帰りを待つのび太のもとに、寝ぼけて夜道をふらつくジャイアンが現れる。寝ぼけている姿を見られたくなかったジャイアンはのび太に絡んでくる。思わずドラえもんに助けを求めようとしたが、ドラえもんに頼らず自分で解決しようと決意する。何度も何度もぶっ飛ばされながらもそのたびに立ち上がり、ついにジャイアンを打ち負かすことに成功する。その姿をそっと見ていたドラえもん。涙ながらにのび太を連れ帰り、眠りについてる間に未来に帰っていく…というもの。


それ以外にもいくつかオフィシャルな最終回が存在するようだ。



・未来において時間旅行が可能となり、多くのマナーの悪いタイムトラベラーが横行したために、過去の人間に迷惑をかけないよう、時間旅行規制法が施行され、それに伴いドラえもんも未来に帰らなければならなくなったというもの。「机の引き出しは、ただの引き出しに戻りました。でも、僕は開けるたびにドラえもんを思い出すのです」というのび太のセリフで締めくくられるもの。


・ドラえもんに頼りきりののび太の将来を悲観したドラえもんが、故障というウソを理由に未来へ帰ることにする。のび太はその嘘を信じていなくなるのは嫌だけど我慢するから構わず帰ってほしいと言い、その言葉に感激したドラえもんは正直に帰る理由を告げると、それすらものび太は受け入れ、ドラえもんを未来へ送り出した。そして自転車に乗る練習を一人で頑張りぬき、何度も倒れても起き上がるのび太をやさしい眼差しで未来からタイムテレビでドラえもんが見守っているというもの。


・すでに未来に帰ってしまったドラえもん。心に大きな穴が開いたように過ごしていたのび太だが、ジャイアンにドラえもんを見かけたという情報を得る。その言葉を信じたのび太はおおはしゃぎだったが、この日は4/1。エイプリルフールのウソだったことが発覚する。ジャイアンたちに大笑いされて馬鹿にされたのび太は、部屋に帰り大泣きしていたが、「僕がいなくなった後、どうしても我慢できないことがあったらこれを開け」とドラえもんが残した箱を思い出す。そこで出てきたのがウソ800という薬だった。これを飲むとしゃべったことがすべてウソになり、逆の事柄が現実に起こるものであった。するとのび太はジャイアンたちに今日はいい天気と言って大雨を降らせたり、逆に激しい雨が降ってきたと言ってカンカン照りにさせたり大いに仕返しをするのであったが、むなしくなって家に帰るとママに、ドラちゃんはいたの?と聞かれる。そこでのび太は「ドラえもんは帰ってこないんだから。もう、二度と会えないんだから」と答えた。すると部屋に戻ると先ほどの言葉と逆の現象が起こり、ドラえもんが帰ってきていた。抱き合って大泣きしながら再会を喜ぶ2人。「うれしくない。ずっとドラえもんと暮らさない」という言葉が最後のセリフで終わるもの。ちなみにウソ800は(うそえいとおーおー)というのが正式な読み方だそう。


など、いずれも感動的な最終回なわけだが、ファンの中でも最も感動的なのではないか、と言われているエピソードが以下のものである。


ある日突然動かなくなってしまったドラえもん。未来からドラミを呼んで原因を探ってもらったところ、バッテリー切れだということが判明する。なんだそんなことかとバッテリー交換を求めるのび太。しかしドラミからは、ネコ型ロボットの記憶をつかさどるメモリーは耳に内蔵されており、すでに耳を取れてしまったドラえもんには、バッテリーを交換した時点でのび太との思い出がすべてなくなってしまうと告げる。その事実を知ったのび太は大泣きをして、部屋に閉じこもり受け入れられないでいたが、しばらくしてすっと立ち上がり、「僕が…」とつぶやく。
それから人が変わったように勉学に励み、出木杉君すらもかなわない秀才になっていくのび太。それから35年の月日が流れる。しずかちゃんと無事に結婚したのび太は、ロボット工学の世界的な博士になっていた。ひげを生やし体も大きくなってすっかり風貌も変わってしまったのび太だが、ついにドラえもんの内蔵メモリーを自らの手で開発することに成功する。耳が復活したドラえもん。バッテリーも無事に交換され再起動されると、ばたっと起き上がり開口一番に、「のび太君。宿題は終わったのかい?」子供の頃に戻った姿で描かれたのび太がドラえもんに抱きつくシーンで終わっている。

実はこのエピソードはオフィシャルなものではなく、一人のファンがいわゆる同人誌として発表したものであったが、原作とそっくりなタッチで描かれ、内容も素晴らしかったゆえに評判を呼び同人誌としては異例の1万部を超える大ヒット作となってしまった。あまりにもバズってしまったため、小学館が作者を著作権侵害で訴えるという事態にまで発展してしまった。

現在の小学館としての公式な見解としては、ドラえもんは完結しない。ということだそう。

これほどまでに日本国民に愛されているドラえもんを、思いが強いからと言って第三者が勝手に終わらせていいものではないよね、ということなのだろう。

他にものび太植物人間だった説。など都市伝説的なエピソードもいくつか存在する。

皆さんのお気に入りの最終回エピソードはどんなものだったでしょう?


個人的には同人誌の内容の中で、出木杉君が総理大臣になっているのがツボだった。


長々とありがとうございました。ちなみに今作は、わたしが愛聴しているポッドキャストからもかなり影響を受けた内容になりました。



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