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Clipping. - A Better Place (Live from "The Late Late Show")

アメリカの番組『The Late Late Show』にLAのヒップホップグループ:Clipping.が出演。9/9発売の3rdアルバム『Splendor & Misery』から「A Better Place」をプレイ。大型のモジュラーシンセやチューブラーベルを使用したステージは”ヒップホップ”のパフォームスタイルから大きく逸脱している。が、それが彼ららしい。

Clipping.はLA出身のラッパー:Daveed Diggsと2人のプロデューサー:Jonathan SnipesWilliam Hutsonからなる。それぞれ俳優、映画音楽におけるサウンドトラック、ミュージックコンクレートなどが根幹にあり、それらがClipping.の異質で不穏なサウンドコラージュを構築しているのも特徴。

デビューアルバム『midcity』(2013) は現在も彼らのBandcampにてname your priceで購入可。本能そのままのドメスティックなトラックと息つく暇もないラップは3年前のデビューから今も変わらない鮮度を保っています。

Diggsのライムのみで猛進しノイズの波へと飲み込まれる「Intro」、エフェクティブなビートと高周波が部分部分で脳内をかき乱す「get.it (ft. kill rogers & TIVO)」など変化自在な曲たちは2ndアルバム『CLPPNG』にてさらに鋭利さを増していきます。

電動カッターやサイン波をトラックに採用する思考はミュージックコンクレートの哲学に影響を受けているからでしょう。ラテンのリズムを基調とした「Work Work (feat. Cocc Pistol Cree)」はシングルカットされましたが、彼らにとってこれが精一杯のポップ表現なのかもしれません。ポップの定義は人それぞれですがClipping.の定義の中にあるポップは民族的なアプローチにあるのだと思います。それでも昨今、ラテンやレゲエはヒット曲に共通する要素になってますけどね。

今年3月には突如『midcity』のヴォーカル音源のみを収録した『midcity acapellas』、同じく『CLPPNG』のヴォーカル音源集『CLPPNG acapellas』、『CLPPNG』収録の「dream」を素材ごとにセパレートしたステム集『DREAM REMX』を同日にリリース。

さらに彼らの楽曲を多彩なトラックメイカーやリミキサーが料理した『REMXNG』もフリーダウンロードで発表。ただでさえ抑揚も転調も素材も異質なだけに、リミックスする側も相当クセのあるメンツがチョイスされたに違いない。

そして満を持してアルバム...の前に、今年はもう1枚EPを出してます。さらに速度を増すDiggsのラップと、そんなラップを追い越す勢いのキックが乱れ打つ「wriggle」をタイトルに冠した『Wriggle』。今までの彼らからするとメジャー志向な品性を持ち合わせているんですが、サウンドとリズムが絶妙なアンビバレント関係で続く中、やはり「Work Work」で得たメロウさが新たなエッセンスとして機能してます。

新作『Splendor & Misery』、とにかく楽しみです。以下、新作に収録される「Baby Don't Sleep」「Air 'Em Out」のMV。


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