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今年もヌーボー

ヌーボーと言えばボジョレ ヌーボー、今年もまた一渡りのお祭り騒ぎが見られるのでしょうか。知らないうちに自分がそのお先棒を担いでいた、ということにならないように、今ボジョレのおさらいをしておきましょうか。

ボジョレはブルゴーニュ地方(もちろんフランス)の南側にあるぶどう産地、歴史的にブルゴーニュも含めたこの地域ではシャルドネ、ピノ ノワール、ガメイの3つの品種を栽培していました。ところがどうしてもブルゴーニュの公爵がガメイの栽培を禁止してしまいます。14世紀末のことです。その結果、ボジョレ地方ではガメイ品種が優先的に造られるようになり、シャルドネとピノ ノワールの生産は激減してしまいます。

このガメイ品種とボジョレ地区の土壌、それから独特の発酵技術によって、酸味、渋味などが和らげられた特有の若いうちに飲むワインとなりました。この若いワインを収穫を祝う祝祭用のワインとして販売するように、マーケティング戦略を練り上げるという販売努力によって世間に認められるまでに育った、これがボジョレ ヌーボーです。

一方、ボジョレでは従来のシャルドネやピノ ノワールの上質なワインも作られているのですよ。だけど、あまりにもボジョレ ヌーボーの人気が高くなった結果、普通のワインには注目されないようになった、という悲しい話もあるのです。

というボジョレ ヌーボー、もともとあんまり難しいことは言わず、今年収穫された若いワインで祝いましょう、というというくらいのものなのです。第3木曜日に一斉に販売するということが決まったのもつい最近、1985年のことなんですよ。ワインというと伝統的な飲み物というイメージがありますが、ボジョレ ヌーボーはちょっと違いますね。あまり騒ぐほどのことはないし、かと言って、小難しいことを言って無視するのもおとなげない、ちょうどその中間、中くらいに喜んで祝ってあげればいいかな、という感じですかね。

日本は日付変更線が太平洋上に引かれたという偶然によって、そのお祭り行列の先端で踊る運命を負っているようなもので、世界で一番早くボジョレ ヌーボーが飲める国ということで、1985年に初めて輸入されますが、翌年のバブル景気に乗って一気にブレイクし、2004年にはピークに達して百万ケースを超えてしまいます。なんと、10人に1本ですよ。ただしそれから後は、付きものが落ちたように下降の道をたどっているようです。

公式な発表はまだですが、流れてくる情報によると産出量は例年よりも少なく、そのためにワインの原価は30%ほども高くなるようです。 それが市場に出るとなると消費者の反応を考慮しながら定価が決まるので、20%くらいの値上がりは覚悟しておかなければならないでしょう。さて、どうします?今年のボジョレ ヌーボー。^^

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