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アイスランド旅日誌 (3)

眠っている間にエアポート バスは市街に入ったようです。暗闇の中を後ろに向かって光が流れる。バスは真っ直ぐに高速で走っています。かと思えば、スピードを緩めてカーブを描き、何かを迂回しているようにゆっくりと。市内に近づくにつれてこうした迂回カーブはその頻度が多くなったようです。これは(後になってわかるのだけど)幹線が交差するところに、信号ではなくて交通が円環状に走るように設計されているのでした。イギリスなどに多く見られたと思うのですが、信号で止められることなく、早いもの順で交通が流れるという仕組みになっていて便利です。自分が周囲の状況を把握し、自分が判断し、自分の順番になったら迅速に行動するというドライバーの合意事項があって成り立つシステムですね。日本には適さないかな、日本は信号社会ですね。

こうしてレイキェヴィク市内に入りました。道路両側に建物が続いているものの、まだ外は真っ暗です。車道を走る車の数が増えていることで(これで市内に入ったな)と思うばかりです。やがてバスのターミナルに到着。ターミナルと言うには少し語弊があるくらいにこぢんまりとした建物に思えましたが、周囲の駐車場には乗用車がたくさん駐車しています。後になってわかるのですが、ここは BSI バス ターミナルといって、公共バスの始発点・終点で、ここが一つの交通の要でした。ここで次のバスに乗り換えです。それから15分ほども走ったところで「ホテルに着きましたよ」と促されて僕たち二人はやっとバスから解き放たれました。
しかしフロントでは、着いた時間が早すぎるために、部屋の準備がまだできていないと慇懃に言う、とこれは想定済みでした。とにかく荷物を預かってもらい、近場を観光ウォークしてくることにしていました。
問題は降り続く小雨です。傘を刺すほどではない、しかし長いこと歩けば濡れる。何よりもこの気温の中の雨で、歩くのは辛いかな。とは言うものの、果たして雨と言えるのかどうか、それくらいしとしとと陰気に落ちてくるばかりで、ひどくなりそうにも見えません。それに、首都とは言いながらも小さな街です、ガイドブックにも観光は歩いてでもできると書いてます。僕たちは結局は歩くことに決めて街の方へ向かうことにしました。

外へ出ると気温が低い。地面は小雨で濡れてところどころが凍っています。よほど用心して歩くので前屈み、背中は曲がるし視線はどうしても下向きになってしまい、周囲を見回す余裕が少ない。きっと観光客には見えなかったろうと思います。また、そういう場所でもなかったですし。僕たちが歩いていた歩道の右は片側3車線くらいの幹線車道が走り、左手には事務所ビルや自動車販売店のビルなどがあった以外では寂れた感じのする道路でした。
ホテルを出て5分ほど歩いたところ、左手に Appleアップルらしく全面ガラスで円弧を描いた新しいビルがあって、リンゴの白いロゴ マークが大きく3つくらい見えました。このビルだけが近代的な曲線を描いている。カリフォルニア州 Cupertinoクパティーノの本社ビルには星条旗とカリフォルニア州旗、それにアップル社の社旗が常に揚げられているのですがここには日の丸が一つ、それが不思議でした。(この理由は後になってわかることになります。)

ここまではいわばプロローグ、アイスランドらしい姿はほとんど出てきません。それでアップロードすべき写真もない。でも次回からは少しずつ。(つづく)

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