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新型コロナ下でのボドゲ会を考える

注意

この記事は、誰かを非難する為のものではありません。ボドゲ会毎に様々な考え方があると思います。例えば、この記事ではボドゲ会中の食事を禁止としていますが、そうでない会を批判する意図はありませんし、そのような意図でこの記事が引用される事を望んではいません。考え方は人それぞれであり、何が正しいかは誰にもわかりません。各自が自分の判断と責任で対策を考えればよいと思います。この記事は、その一助となればと思い、書いたものです。

背景

新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な感染拡大により、ボードゲーマーの皆さんにとっては、なかなか集まってゲームを楽しめないという辛い状況が続いています。

最近はBoard Game Arena等のオンラインボードゲームサービスを使ってネット越しに楽しんだり、Zoomをしながら遊べる簡単なゲームで楽しんだりする向きもありますが、やはり、直接顔を合わせて遊びたいですよね。

6月に入ると、各地で自粛が少しずつ解除されていき、「そろそろゲーム会、開催しよう」という事も増えていくのではないかと思います。その際に、感染拡大防止の為にできる事はないかという事をいろいろ考えて、他の方からも色んなアドバイスを頂いたので、私なりに考えをまとめてみました。

尚、この記事はボードゲームカフェで遊ぶ際の事は考慮しておりません。あくまでも、貸会議室などを借りての個人でのオープンなボードゲーム会を想定しています。

何が「リスク」なのか

最初に、リスクについて再確認します。リスクとはもちろん、世界三大ボードゲームの一つ・・・ではなく、感染リスクの事に他なりませんが、あなたがゲーム会の開催者だった場合、参加者の中から感染者が出たと分かった場合の「責任」が発生します。自治体への報告や聞き取り調査、参加者全員への周知、等々…考えるだけでも大変そうですよね。そういう諸々のリスクが、感染そのもの以外にもあるということです。

もしあなたのゲーム会に「自覚無き感染者」が参加している事が後日分かり、そして、そのゲーム会で感染したと思われる他の参加者が出たら・・・考えるだけでもぞっとします。もちろん、開催者でなくとも、いち参加者の立場であっても、その責任の一端を担うことには変わりありません。

しかし、可能な限りの対処を行っておけば、そのリスクを減らす事は可能だと思いますし、参加者以外の部外者への「ちゃんとやっていますよアピール」にもなると思います(これは結構大事だったりします)。

ボードゲーム特有の感染リスク

ボードゲームは、テーブルを囲んで「顔と顔を合わせて」行うものです。どうしても人同士の距離は近くなり、顔同士が1m以内に向き合う事も多いでしょう。感染の多くは飛沫感染によるものと言われている為、顔同士の距離が近くなることは、感染リスクを大いに高めると思われます。

しかし、これについては、全員がマスク着用を徹底することで、大幅にリスクを下げる事が可能だと思います。マスクはウィルスが外部から侵入するのを防ぐ効果については懐疑的と言われていますが、口から外へ飛沫が飛ぶのを防ぐ効果は非常に高いそうです。であれば、例え同卓者が「自覚無き感染者」だったとしても、その人がマスクさえしていれば、飛沫が自分へと向かう可能性は低いと思われます。ですからこの記事は、「どうやってマスク着用を徹底するか」が考察の中心となります。

参考:[NHKスペシャル] マスクの効果 | 新型コロナウイルス“マイクロ飛沫(まつ)感染”からわかる予防 | NHK
https://www.youtube.com/watch?v=67vtPEU0Jqc

駒やカードを介した感染

全員が同じ駒やカードを使い回して遊ぶという点についても、感染リスクを高めていると思われます。もし同席者の一人が「自覚のない感染者」だった場合、その人がマスクをしていたとしても、手にはウィルスが付着していると考えた方が良く、その人が触ったカードや駒を触れば、自分の指にもウィルスが付着する可能性は高いでしょう。

但し、指にウィルスが付着したからといって、すぐに自分が感染するわけではありません。その指をなめたり、その指で顔や目や鼻の穴を触ったり、その指でお菓子をつまんで食べたりしなければ、体内にウィルスが入る可能性は低いと思われます。

また、一度ウィルスが付着したゲームのコンポーネントについては、時間が経過すればウィルスは無毒化されるようです。その時間についてはまだ研究段階のようですが、通常は長くても9日間程度で、現在の研究結果では、段ボールならば24時間、紙幣ならば4日程度、という感じのようです。

参考:ウィルスはどれくらい長く物質上にいるのか

これらを前提に、どのような形での開催ならば比較的安全にボドゲ会を開催できるか考えてみます。

おやつも含め、食事は禁止が無難

ボードゲームを遊びながらの食事については、当面は避けた方が無難だと思います。新型コロナ感染の多くは、同席での食事が原因だと言われているからです。

ちょっとしたお菓子を食べながらぐらいは許されないか」というご意見も頂きました。個人的にはその気持ちはとても良くわかります。私自身、ゲーム中は(頭を酷使するから)とても甘いものが食べたくなります。

しかし、今想定しなくてはならないのは、「同卓者の中に無自覚な感染者がいた場合」についてです。それを前提に行動する必要があります(それを想定しないならば、そもそもこんな対策は不要です)。

もしそうだった場合、ゲームコンポーネントやテーブル、ドアノブ等を介して、自分の指にもウィルスが付着している可能性が高いと思われます。指についたウィルスを口の中に入れずに安全にお菓子を食べるのは、不可能とは言いませんが、難しいでしょう。

個包装のお菓子や、箸を使って食べるのならばいいのではないかと思われるかもしれません。実際個包装ならば多少安全性は高まると思いますが、指で包装を破ってそれを口の中へ入れる過程を想像すれば、危険な事に変わりがないのはお分かりいただけるかと思います。また、箸を使って食べる方法についても、結局のところ、「その場でマスクを外して、モノを口に入れる」という行為自体がリスクと考えます。

「ビニール手袋を着用して貰うのはどうか」という意見もありましたが、ビニール手袋自体にウィルスが付着してしまう為、あまり意味がないという話を聞いた事があります。また、手は何度でも洗えますが、手袋は洗えませんので、場合によってはより悪い結果を生みます。手にウィルスが付かないような手袋の正しい脱着の仕方を知っている人がほぼいないという話もあります。

ボドゲ会の開催時間を「昼食後から夕食前まで」の短い時間にしたり、午前中から開催する場合には、食事は部屋の外で各自食べて頂くようにし、部屋の中でみんなで集まって食べないようにした方が無難でしょう。

どうしても食事が必要な場合

もし、どうしてもイベント中に何かを食べる事になった場合には、開催者から、直前に石鹸を使っての入念な手洗いを指導する事が必要です。自分の指や顔の周辺、テーブルなど、至るところにウィルスが付着していると想定し、テーブルを除菌ペーパー等で良く拭いた後、人と対面で向かい合わず、2m以上の距離を取って食事を取ってもらうようにしましょう。拭いた後の除菌ペーパーは、ビニール袋に入れて口を縛り、適切な方法での処理が必要です。くれぐれも、口の空いたゴミ箱にポイ、としないようにしなければなりません。そこまで徹底してもなお、食事中にスマホ等を触るだけで、スマホの表面に付いたウィルスが指から口へと入ってきます。そのリスクは充分に承知した上で、食事を行った方が良いでしょう。

飲み物について

飲み物を飲む事を禁止すれば脱水症状を起こしますし、別の意味で危険ですから、現実的ではありません。ですから、可能な限り安全に水分を取って貰えるようにするにはどうすればいいか考える必要があります。

水分補給時には、2つの感染リスクがあると思います。1つは「飲み物や容器にウィルスが付着している場合にそれを口に入れてしまうリスク」です。これを防ぐためには、飲み物をテーブルから少し離して置くことが必要でしょう。ただ、指に付着したウィルスが飲み物に移る事はほぼ防ぎようがなく、「飲み口を手で触らない」「フタがある容器を使う」などが考えられると思います。

2つ目は「飲む際にマスクを外す事によるリスク」です。マスクを外している間、その人の口から飛沫が周囲に漏れる危険性が高まります。「パッと飲んでまたすぐマスクをすればよい」と考えるかもしれませんが、人は完璧な生き物ではありませんから、どうしても「飲んでる最中に会話に答えようとしてつい一言喋ってしまう」とかがあり得ますし、もっとあり得るのは「飲み物にむせてしまう」事です。むせるのはもう、生理的な現象ですから、注意していても防ぐことはできません。あなたがもし、マスクを外して飲み物を飲もうとして「げほっげほっ」とみんなの目の前でむせてしまったら・・・そして、もしあなたが「自覚無き感染者」で、後日他の人にも感染している事が判明したら・・・「あれが原因だ」と、他の人全員が思うことでしょう。そうでなくとも、非常に気まずい空気が流れるはずです。

ストローを使えば良い」というご意見を多くの方から頂きました。恐らく、マスクをしながらでも飲めるという事なのだと思いますが、さすがに少しマスクを浮かさないとストローで飲むのは難しいと思います(マスクと顔の間に隙間ができる顔の造形の方もいらっしゃるとは思いますが)。その際に、指でマスク表面をつまんでしまうのが普通で、それをやってしまうと、指に付着したウィルスがマスク表面に付き、そこから呼気としてウィルスを吸い込む事になってしまいます。

ですから、ストローを使っても使わなくても、飲み物を飲む際には、次のような「正しい方法」でマスクを外して飲む必要があります。ポイントは「マスク表面を触らず、ゴム部分を触って片側だけ外す」です。

マスクを顎の方へ少しずらすやり方もよく見かけますが、このやり方は、あごについたウィルスがマスク裏面に付着して口へ入る為、リスクが高いそうです。上の動画のやり方が安全です。

結局、重要なのはやはり、「人が近く(2m以内)にいる状態で、人の方向を向いて飲み物を飲まない」ことではないかと思います。それならば、万が一むせても大丈夫です。

案:飲み物専用テーブル

これは一つの案なのですが、壁際に長机をくっつけた状態で並べておき、飲み物を飲む際にはそこへいって、壁に向かって飲んで貰う、というのはどうでしょうか。最初、「飲み物は部屋の外へ出て飲んで貰う」と提案したのですが、やはりちょっと現実的ではない気がしましたので、これぐらいの折衷案でどうでしょう、というご提案でした。

それも難しい場合は、とりあえず「飲むときは、正しい方法でマスクを外し、人がいない方を向いて飲む」を周知徹底してもらうぐらいでしょうか。その際に、ちょっと席を立って後ろを向いて飲んで貰えればさらに良いと思います。ペットボトルや水筒などのフタがある容器、または紙パック+ストローなどの飲み物である事は必須だと思います。

お子さんの参加は難しいかも

お子さん(小学生、場合によっては中学生以下)の参加するゲーム会については、ボードゲームカフェ等、企業として責任が持てる場合には検討しても良いと思いますが、個人が主催するゲーム会では、まだ避けた方が無難かもしれません(いろんな事情や思いがあるでしょうから、絶対やるなと言うわけではありません)。

なぜなら、子供はまだまだ自分の行動を抑制できないからです。マスクは勝手に外すかもしれませんし、お腹は空くでしょうし、飲み物も自由に飲みたがるでしょう。様々な制限下で行われる必要のある現状では、なかなか厳しいと思います。

県内限定で、参加人数を抑える為、予約必須

オープン会の場合、事前に予約を募りましょう。通常なら4卓並ぶような会場ならば、机同士を離して2卓ぐらいから始めるのが良いと思います。そのような状況なので、人数が把握できる予約制が良いでしょう。

県をまたぐ移動はまだまだ様子見の段階ですから、参加は県内在住者限定とした方が無難だと思います。県外の人とも遊びたいのですけどね…。

また、可能ならば、各自に連絡先の電話番号と住所(〇〇市、までで良いと思います)、氏名を書いた紙を提出して貰った方が良いと思います。これは、万が一感染者が出た場合に、自治体から参加者リストを聞かれる為です。私は先日、近所のキャンプ場に友人家族同士でデイキャンプに行った(福井県は、県内の少人数の家族同士での日中の屋外レジャーは解禁されています)のですが、参加する全ての家族の住所・氏名・連絡先を書いた紙の提出を求められました。最低でも、緊急時連絡先としての電話番号は書いてもらった方が良いと思います。

一人暮らしの女性など、開催者に個人情報を渡したくないと思う人もいるとは思いますが、このような情勢下ですので、気になる場合は参加を見合わせるか、よく見知った友人同士でプライベートな会を開催するかを検討した方が良いかもしれません。

尚、個人情報を記入して貰う際に、他の参加者にそれが見えるようにしないやり方を取ってください。参加者一覧に記入して貰うなどはNGです。個別の紙に書いて提出、又はメールやDMなどを使った方法で個別に送って頂くやり方の方が、プライバシーを守れてよいと思います。

体調不良者は参加不可

熱は37.0未満である事が一つのボーダーラインのようですが、それだけでなく、せき、軽い頭痛、鼻水、めまい等、風邪の症状を感じた方の参加をお断りした方が良いと思います。

ここで単に「体調不調のある方はお断り」とだけ書くと、ゲームしたさの余り、勝手な判断で「ちょっと鼻水でるけど体調が悪いわけじゃないし」と言って参加してくる人が必ずいますので、症状を具体的に明記した方が良いと思います。

また、会場入り口で、体温計を使って体温を測って、参加者名簿に記入して貰った方が良いと思います。体温計は非接触型が望ましいです。

換気

可能ならば部屋の窓と入口を開けて風通しをよくしておいた方が良いと思います。常時開けておくことが難しい場合、1時間置きの換気などに主催者が気を配ってください。これから夏に向けて、冷房との兼ね合いもあると思いますので、この辺は適宜判断ですね…。

その他、主催者として用意すべきもの

除菌ペーパーや非接触型体温計以外に、予備のマスクがあると良いと思います。ゴムが切れてしまったので帰ってもらう、とか悲しすぎますしね(汗)

あと、どうでもいい事かもしれませんが、割と「ハンカチ」を持ち歩かない人がいます。この方々は、トイレで手を洗った後、濡れた手をズボン等で拭こうとするのですが、それでは手を洗った意味がありません。最近のトイレはウィルス騒ぎでジェットタオル等が使用不可になっていますので、必ずハンカチを持ってきて貰うように周知した方がいいかもしれません。

まとめ

以上、まとめるとこんな感じです。会場入り口に貼る注意書きのイメージでまとめています。こういうものを入口の外に大きめの文字で貼っておくと、施設管理者や通りすがりの人への「安心アピール」にもなるのでお勧めです。

・参加者を少なく制限する為に、事前予約した人限定です。
・入室前と退室後に、近くのトイレで必ずせっけんを使って手を洗ってください(30秒)。
・マスク着用必須です。無い方は入室できません。
・熱(37℃以上)、せき、頭痛、鼻水、めまいなどの風邪の諸症状のある方は参加できません。入口で検温して頂きます。
・会場での食事はおやつ含め全て厳禁です。
・飲み物はフタがついたもののみ、人から2m以上離れた場所で、人がいない方向を向いて飲む場合のみ許可します。
・お子さん(中学生以下)の参加はできません。

注意すべきはこれだけではないと思いますし、「これはやりすぎだ」と思う人もきっといると思います。この記事は「絶対にこうしろ」というものではもちろんなく、皆さんが安全にボドゲ会を開催するにあたってたたき台の一つに、参考になればと思って書いたものです。

はやく、このような心配なしに、のんびりまったりとボードゲームを楽しめる日常が戻ってくる事を願っています。

おまけ

フェイスシールド」を全員がつけてゲームをすれば、マスクより安全であるし、飲み物も飲みやすいのではないかというご意見を頂きました。フェイスシールドは意外と安価な値段(10枚3000円前後)で購入できたりするそうです。個人的には、さすがにものものすしすぎてゲームを楽しむ雰囲気どころではなくなるのではないかと思ってしまうのですが、そういうのが気にならない方には良いのではないかと思います。「せめてインスト者だけでもフェイスシールドを」というご意見もありました。(追記:「フェイスシールドは過剰だ」というツイートもありましたのでご参考までに)

また、入室前に靴底を次亜塩素酸ナトリウムで消毒する、というご意見もありました。入口に大きいタライなどを置いて薬剤を張ったり、薬剤をしみこませた大きめのタオルなどを敷いておけば、確かに可能かもしれません。ただ、その薬剤や道具の衛生的な後始末なども考えると、正直、公民館等での開催時にその方法が取れるかまでは私には判断がつきませんでした。ご参考までにどうぞ。(追記:次亜塩素酸ナトリウムの取り扱いはそれなりに危険を伴うようですので、充分にご注意ください。また、「効果が不明」という報告もあるようです)





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