横浜

【横浜カジノ勉強会 前編】井上さくら市議 横浜市の動き報告 2019年8月28日

本記事は、2019年8月28日 18時30分からカジノ問題を考える集会世話人会の主催で港北公会堂で開催された「横浜にカジノはいらない勉強会」における井上さくら横浜市議の報告内容の一部を箇条書きで共有する。勉強会に参加した筆者が特に重要と感じた点の抜粋が中心。

*全体を知りたい方は、きむちゃん氏が当日撮影したツイキャス映像を視聴してください

市長発言の変遷

<レジュメ1枚目>

<レジュメ1枚目より抜粋>

2016/12/9 本会議市長答弁
「このカジノを含めたIR導入を視野に入れてます」

2017/6/6 市長選への出馬表明
「カジノは白紙」

2019/7/24 市長会見
「全く判断してない状況」「慎重に調査」

2019/8/22 市長会見
「IR(カジノ)実現に向けて」
「やらなければならないと決断した」
「場所は山下埠頭」
「裏切ったという気持ちはない」 

井上市議報告>

・IR法が通った翌年の2017年から市長は「白紙」と言い始め、何を質問しても「白紙」や依存症への心配を語るだけ。
・今年に入ってからも記者の質問に「白紙」を繰り返し、つい先月の7月24日の会見でも「全く判断してない状況」「慎重に調査」などと語っていたのに翌月の8月22日には「IR(カジノ)実現に向けて」というタイトルで記者会見を開き、誘致を表明した
・議会に対しても全く説明なしに8月22日の記者会見が行われ、市議たちは寝耳に水。9月からの議会に間に合うギリギリのタイミングを狙って、会見を開いたと思われる

IR推進事業 補正予算案の内訳

<概要(レジュメ1枚目より抜粋)>

「IR推進事業」補正予算案
今年度2.6億+後年度1.4億=計4億円

<内訳>
誘致コンサル契約:2億1700万円(3ヵ年一括契約)
インフラ交通アクセス検討:7500万円
依存症実態調査:3000万円
広報よこはま、市民説明会開催等:3000万円
その他

<井上市議報告>

・「誘致コンサル契約」は、自治体職員はカジノ誘致については専門外のため、どこの自治体でもコンサルタントと契約する。コンサルタントが横浜市の代理人となってIR事業者と交渉する。9月議会ではコンサル契約の補正予算案が提出される
・「インフラ交通アクセス検討7500万円」は、山下埠頭は陸地から見ると逆三角形のため、多くの車の出入りはできないため、その点の調査費用
・「依存症実態調査3000万円」は、市民3000人を抽出して依存症になる傾向があるかアンケート調査するという。質問内容は「カッとなりやすいか」「のめり込みやすいか」などで、どれくらいの人が依存症になりやすい体質を持っているか調べるという、全くもって意味不明の内容
・「広報よこはま、市民説明会 3000万円」の市民説明会は、横浜市の全18区での説明会などの費用。会見では林市長が行くと言っているが、担当者に確認したら返答に困っており、本当に行くのかは分からない。
・広報よこはまは、通常版とは別に特別版としてカジノ特集を組み、全戸配布する。会見の内容から判断して、カジノのメリットをアピールする内容が載ると見ている。さらに、動画も作るという。こんなことに税金を使っていいのか。
税収が年間820億~1200億円の増収になると記者会見で言っているが、その内訳や根拠は何度質問しても、まったく出てこない。出てくる答えは「IR事業者がそう言っている」だけ。横浜市として何も確かめていない経済効果を、広報よこはまに載せようとしている。本当に信じられない。

9月からの横浜市議会の日程

<レジュメ1枚目より抜粋>

9月3日10時〜 本会議 議案質問
9月6日10時〜 本会議 一般質問
9月11日、13日、17日 委員会審査(政策・総務・財政委員会)
9月20日14時〜 本会議 議決
その後 決算特別委員会
10月16日 閉会

<井上市議報告>

・井上市議は政策・総務・財政委員会に入っているので、9月11日、13日、17日の委員会審査に参加できる
・9月20日には本会議で採決されるが、こんな状態で採決できるのか
・その後の決算特別委員会でも市長への質問はできる見通し

横浜市議会のパワーバランス

<レジュメ1枚目より抜粋>

総数86人(議長を除く過半数は43人)

自民36人、公明16人、立憲・国民20人、共産9人、ヨコハマ会1人、立憲民主1人、無所属(井上さくら市議)1人、豊田1人、神奈ネ1人

井上市議報告>

自民と公明を足しただけで52人いるため、過半数を超えている。このままでは可決されてしまう
・今年6月4日の「カジノ反対決議を求める請願」では、議長(自民)を除く自民、公明の51人が反対したため、不採択。
・この不採択の際、自民・公明は明確に「カジノ賛成」とは言わなかった。「市長は白紙と言ってるのに、ここで反対決議をあげるのは時期尚早である」という言い方で逃げる。つまり、自公は自らがカジノに賛成なのか反対なのかを明らかにしないまま、反対決議を潰した。

推進派が想定するスケジュール

<レジュメ2枚目 想定スケジュール>

井上市議報告>

・カジノ管理委員会の議案は本来は今年7月の参議院選挙前に出るものだったが、カジノが参議院選挙の争点になると与党にとって不都合なため、遅らせていた。秋の臨時国会でカジノ管理委員会の議案が出るはず。
・自民・萩生田光一氏は「参議院選挙の前にこの問題(カジノ)にふれたくないという政治的配慮があった」と悪びれもせず記者に語っている(詳細はしんぶん赤旗記事を参照)
・2019年度の国のスケジュールにある基本方針策定・公表が重要。ここで大枠が決められてしまう。遅くとも来年の春までには決めるはず
・国の基本方針を受けて、横浜市は2020年度に実施方針を策定・公表する。IR事業者はこの方針を受けて提案して、入札になる
・2021年6月の市議会での区域整備計画認定申請の議決を狙っていると思われる。これは次の市長選挙(2021年7月)の前月に駆け込みで、IR事業者との契約、国への申請を終わらせ、既成事実を積み上げようとしている。つまり、やり逃げ
・何の民意も問わずに、ここまで好き勝手に進める権利は市長には無い

対抗手段(2つの直接請求の違い)

<レジュメ3枚目 直接請求>

<井上市議報告>

<住民投票条例の制定の特徴>
・レジュメ3枚目の上段は住民投票条例をつくってくださいという直接請求。
・6万2446筆以上の署名が必要(先月の参議院選挙前の有権者数で市に確認済み)
・②受理の通知から③付議まで「20日以内」と定められているが、あくまで努力規定のため、ここで時間を延ばされる恐れあり
・③付議で市長の意見を付けられる。過去の例でも原発に対して、住民の思いとは違う市長の反対意見を付けられたことがある
・④で議会が可決しないと住民投票に進めない。市議会の過半数は自民、公明が占めているので否決される可能性は十分にある。
・④で議会が議決しなければならない期限が定められていないので、延々と「議論している」という時間稼ぎが可能になってしまう
住民投票の結果に法的拘束力はない。事実、今年の辺野古埋め立て反対の沖縄住民投票結果は国に無視され、埋め立て工事は続いている

<市長リコールの特徴>
・レジュメ3枚目の下段は市長をクビにしたいという直接請求。
・49万285筆以上の署名が必要(先月の参議院選挙前の有権者数で市に確認済み)
・署名の数が大きいだけあって、住民投票条例の制定よりも拘束力が強く、署名が集まった後は迅速に物事を進められる
・60日以内に選挙管理委員会が解職投票をしなければならない。議会や市長は関係ない
・④解職投票で賛成が上回れば、市長を即解職できる

<住民投票条例の制定、市長リコールに共通の特徴>
・署名を集める期間は2ヶ月

*勉強会後編の越智祥太医師(ことぶき共同診療所 精神科医)によるギャンブル依存症やカジノIRをめぐる問題、および前後編を合わせたQ&Aは、後編に掲載

*本記事は以上です。内容に価値を感じた方は、画面下部の「サポート」から投げ銭をお願いします。

更新履歴

2019/8/29 1:23 新規作成

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