信号機写真_国会前_

【信号無視話法】福島みずほ議員vs内閣府 石川室長 2018年12月4日 参議院 厚生労働員会 (水道民営化)

これまで世界各国では水道民営化によって水道料金高騰や品質低下を招いている。結果、再公営化している自治体は2000年から2017年の間に267事例にも上る。つまり、水道民営化を進める法改正は完全に世界の潮流から逆行している。
特にフランス・パリ市では料金の高騰が大きな問題となり2010年に再公営化しており、重要な失敗事例として知られている。しかし、2016年の内閣府の海外視察においてパリ市は「ヒアリング依頼の回答がなかった」という不可解な理由で視察先から漏れている
✳︎この事実を明らかにした2018年7月4日の質疑はリンク先を参照

そして本法案が参議院で可決された12月4日、社民党・福島みずほ議員は、パリの視察に関する内閣府の不可解な動きを追及している。
本記事ではその答弁を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で視覚化する。


集計結果

上記グラフは、石川室長の答弁を分析した結果である。
一部、論点ずらしが見られたため赤信号があるが、7割程度は青信号が占めており、概ね質問には回答している。

2018年10月パリ視察の報告書の有無

今年7月4日の質疑でアポがとれなかったという不可解な理由で視察先から漏れていたことが明らかになったパリ市。その場で野党議員は「失敗事例であるパリ市をアポがとれなかったという理由で報告書に載せないのはおかしい」と厳しく指摘している。

これを受けてか、2018年10月に内閣府・福田 前補佐官(11月に突然辞任。詳細はリテラ記事参照)はパリを訪れている。だが、過去2回の視察と異なり、報告書が公開されていない。この事実を福島議員が指摘したところ、石川室長は典型的な論点ずらしを行っている。

質問:平成30年の出張報告書の有無

↓すり替え

答弁:平成28〜29年の出張報告書の有無

パリ副市長に水道民営化失敗の話を聞いたのか

今年10月の福田前補佐官のパリ出張では、パリ市水道公社総裁であるセリア・ブラール副市長と面会したことが明らかになる。そこでパリ市の水道民営化について、失敗の原因、ヴェオリア社とスエズ社からの訴訟、再公営化で水道料金が下がったことなどをヒアリングできたのか福島議員は質問。

この答弁は質問には答えており青信号としたが、実に示唆に富んでいる。
まず、石川室長は2回にわたる10秒程度の沈黙を経て、ようやく答弁を始めており、答えに窮しているように見える。
また、この時に後ろで控えている官僚と思われる男性が実に印象的な表情を見せる。(下画像の左から1人目。2人目は答弁に立つ石川室長)

福島議員の約20分の質疑の中で、この男性がここまで表情を崩したのはこの時だけである。
✳︎これらの様子は動画の5分47秒から視聴可能

福田前補佐官が辞任直前の2018年10月のパリ出張でセリア・ブラール副市長と面会した際に話した内容とは、本当はなんだったのか?

Twitterによるパリ市への事実確認の結果

いったん12月4日質疑の分析はここまでとし、7月4日の質疑に戻りたい。
「パリ市からヒアリング依頼の回答がなかった」という内閣府の答弁は本当なのか。12月3日19時過ぎ(日本時間)にTwitterでパリ市に直接確認を試みた。

この2つのツイートの日本語の意味は下記の通り。

日本の内閣府は2016年の水道民営化に関する海外視察の際、
「パリ市にヒアリング依頼状を大使館経由で送ったが、渡航日までに回答がなくヒアリングできなかった』
と主張しています。これは事実でしょうか?

さらに当日質疑の視覚化動画のフランス語版も添えて、パリ市からの回答を待った。
翌4日18時頃(日本時間)、パリ市の質問対応を担当する公式アカウントから以下の回答があった。

この2つのツイートの日本語訳は下記の通り。

今年、パリ市の下水処理の専門部署並びに環境と水問題担当の市長補佐であるCélia Blauelがパリ市の水道の運営に関連して、いくつかの日本からの公式の代表団をお迎えしました。
しかし2016年に面会の約束があったかどうか、そしてもしあったとしたらその後どうなったかについてはお答えできません。
良い一日を。

残念ながら、2016年の面会の件は答えられないという回答であった。
ちなみに、このツイートが来た2018年12月4日17:56というのは、本記事で分析してきた福島みずほ議員と石川室長の質疑のわずか数時間後である。
そして、2018年にCélia Blauel副市長と面会した件は、質問もしてないのに触れられている。数時間前に石川室長が答弁した内容としっかり整合がとれている

✳︎本記事は以上になります。内容にご満足頂けた方は下部の「サポート」ボタンからサポート(投げ銭)をお願いします。今後の情報発信の充実に活用させて頂きます。

✳︎答弁の映像と分析結果はYoutube動画「赤黄青で国会ウォッチ」に公開中
日本語版:
https://youtu.be/rgWTcZ54_pU
フランス語版:
https://youtu.be/B-7bO6OpO_w

更新履歴

2018/12/5 21:50
新規作成

2021年4月をもって、noteの更新を取りやめました。 現在はtheLetterで情報発信しているので、よろしければ登録をお願いします。 https://juninukai.theletter.jp/