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アーシューラー~イランで最も大切な宗教行事~

10日ほど前。

街を移動していると
あちらこちらに黒い旗が掲げてあることに気が付きました。

近所の幼稚園にも。

工事現場にも。

イランは祝日が誰かの命日のことが多く、
その人を悼むために黒い旗を立てているのを
今までにも何度か目にしたことはありました。
なので、この日も祝日だったのかな?と思い
イラン人に
「今日は祝日なの?誰かが亡くなった日なの?」と聞くと、、、

「これはアーシューラーのはじまりだよ!」と教えてくれました。

アーシューラ???はじまり???何だろう???

イランはイスラム教の中でもシーア派がほどんどの国です。
そのイスラム教シーア派にとって最も大切な宗教行事が
「アーシューラー」。

その昔、預言者ムハンマドの寵愛した孫・第三代イマーム・フサインが
イラクで「殉教」したことを悼む行事だそう。

これまでの1日だけの祝日と違い、
10日ほど前から黒い旗が並び、
毎晩、何かしらのセレモニーが行われ、料理が無料で配られます。
この期間は夜に料理をもらい、翌日のランチにもして
10日間、料理をせずに過ごすのだとか。

そして、最終日が今年は8月8日(日本の日付で)でした。
この日と前日はスーパーやレストラン、おもちゃ屋さんなど
ほとんどすべてのお店が休みです。
(子どもの保育園はなんだかんだで5連休でした。。。)

お昼前から黒い服に身を包んで、みんな外へ。

悲しい雰囲気の歌に合わせて、
鎖で体を叩きながら練り歩く男性たち。
(殉教したイマーム・フサインのことを思い、悲しみの追体験をする、という意味があるようです。)

男の子も参加しています。

曲はマイクを持った男性が生で歌っていました。
ペルシャ語は相変わらず全然分かりませんでしたが、
時々、「フサイン ・・・」と言っているのが聞こえました。

なにやら思いものを担ぎながら歩く男性。
(相当重いらしく、少し歩いては別の人に交代しながら進んでしました。)

女性たちは服もヒジャブも真っ黒の恰好で
見守っています。
(中には手を合わせて祈っている人も。)


この日、日中の気温は42度。
暑すぎて熱中症にならないのか気になっていたら、
ちょうど水を持ってきて配る人がやってきました。

あらゆる場所で
レモンのジュースやチャイなどの飲み物も振舞われていました。

住宅街に戻ると、長蛇の列が!
先頭の方からはお弁当箱をもらって戻ってくる人たち。
この日も、料理は無料で振舞われています。

私もいただいてみました。
ペルシャ料理の「ゲイメ・ポロウ」。

レンズ豆と羊肉が入ったトマトベースの煮込みとご飯です。
フライドポテトと、ゼレシュクという赤い実とピスタチオものせられていて
無料で配られているものなのに盛り付けが美しい!!
お肉は柔らかくて臭みもなく、
ゼレシュクの甘酸っぱさが良いアクセントになっていてとっても美味しい!!
この料理を食べながら、
殉教したイマーム・フサインを悼み、祈りをささげているのでしょうか。

このアーシューラー、はじめに聞いた時には
「自分の体を痛めつけて、泣くセレモニーだ!」と教えられて
怖いものなのかなと思いましたが、そんなことはなく。
(鎖で体を叩くといっても、優しく打つ感じでした。)

悲しいや怖いとも違う、
でも日本のお祭りのように大盛り上がりで楽しい!とも違う、
かなり独特な雰囲気で、とても興味深かったです。

7歳の娘も「何をしているの?」「なんで体を叩くの?」と
たくさん質問をしながら
真剣に行事を見ていました。
1歳児は音楽に合わせて体を揺らしていました。(笑)

イランの皆さんがとても大切にしている日だという雰囲気を
感じられました。

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