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県全体のパートナーシップ制度の導入が広がる動き。県庁まで行かなくてもよい自治体も。

福岡県がパートナーシップ制度の導入を決めたそうだ。2022年1月4日現在、日本の総人口におけるカバー率は43.7%。(「自治体にパートナーシップ制度を求める会」調べ)
日本の総人口の50%を超える日が、いよいよ近づいてきた。
もう、同性同士のカップルが、異性間の婚姻関係と同様の権利を求めることに、「国民意識の多数が同性婚等に肯定的になったのは,比較的近時のことと推認できる。(結婚の自由をすべての人に訴訟:2021年3月17日札幌地裁判決より)」と言えなくなる日が近づいている。

思い出したのが、大阪府に住む友人の話だ。
その友人は、地元の役所に「パートナーシップ制度の申請について聞きたい」と訪れたところ、「うちの市ではパートナーシップ制度をやっていないので、府庁に行ってください」と言われたのだ。

僕の友人の住む友人の自治体ではパートナーシップ制度が導入されていない。だから、大阪府全体でパートナーシップ制度が導入されていたとしても、府庁まで行かないとその手続きができない。

県全体でパートナーシップ制度が導入をされても、県庁の庁舎まで出向かなければ、パートナーシップ制度を申請できないのだ。

県庁所在地の都市に住む当事者カップルばかりではない事は言うまでもない。県によっては、東西や南北に広く、県庁所在地の都市に行くには非常に不便な自治体に住む当事者カップルもいるだろう。

無いよりは、まし。不便だとかわがままを言うな。そんな声が聞こえてきそうだが、異性間の婚姻届は、地元の地区町村の役所で手続きが可能だ。やはり、不便と不都合を押し付けられている、差別されていると感じてしまう。

そこで、県単位でのパートナーシップ制度を導入している自治体の担当部署に、県庁庁舎以外での手続きは可能なのかどうかを確認してみた。

2022年1月末現在、県単位でのパートナーシップ制度を導入しているのは、茨城県、群馬県、三重県、大阪府、佐賀県の5府県だ。

まずは、茨城県。
茨城県のホームページには以下のようにある。
【宣誓】
・日程調整を行った日時に、必要書類をお持ちの上、お二人で県が指定する場所に来所してください。宣誓時に本人確認を行い、受領証等の写し等の交付日時を決めます。

担当者に、「県が指定する場所とは」と尋ねてみた。
「茨城県は広いので、遠距離の方には地元の市町村の役所で手続きができるよう、希望に応じてアレンジをする」との事だった。
素晴らしい!

群馬県というと
【日程調整(事前予約)】
・事前に生活こども課までお電話にて御連絡ください。宣誓の日時、場所を調整します。また、併せてお持ちいただく必要書類を確認します。

群馬県の担当者も、茨城県同様に「宣誓の場所については、希望に応じて調整をするよう検討をしたい」という事だった。

三重県、佐賀県はどうかというと

三重県
【宣誓】
 ・日程調整の上、宣誓日当日に、必要書類と本人確認書類をお持ちのうえ、パートナーとお二人で県が指定する場所に来庁してください。

佐賀県においては、宣誓する場所についての具体的な記載はなかった。

三重県、佐賀県に質問をしたところ、いずれも同様の解答で
「今まで、県庁以外の場所でという問い合わせがなかったが、そういった要望があるようであれば、検討をしたい」との回答だった。

一方、大阪府においては、残念ながら、府庁以外の場所での実施については、現時点では考えていないとの事だった。

パートナーシップ制度の良い点の一つとして、自分の住む自治体での「自分達を認められている」という、存在の承認による満足感があると思っている。

その場合、県では認められているけれども、自分の住む自治体への帰属意識を考えると、「県ではパートナーシップ制度を認めているけど、自治体レベルでは知りません」というのでは、自分の住む自治体への帰属意識を満たすものとはなりづらく、自分達の住む自治体への貢献意識にも、当然影響を及ぼすであろう。

今まで、県全体で「パートナーシップ制度が導入されれば、その県に住む当事者は、みんなハッピー」と思っていた自分に、何かモヤモヤとする感情を抱いてしまった。

県全体で導入をするのであれば、その件の各市町村レベルまで、本当は「パートナーシップ制度」の意義、その意味を落とし込む必要があるだろう。

パートナーシップ制度を導入する自治体は、今後も増えていくであろう。

県全体で導入を検討している都道府県においては、県庁庁舎のみでなく、当事者の望む自治体での宣誓が可能なような仕組みづくりを考えてもらいたい。

それは、当事者の都合やわがままではなく、それ以上の意義をもたらすに違いない、と僕は考える。

以上

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