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DevRel/Japan CONFERENCE 2021のxRセッション担当で運営してみた話

こんにちは。じゅんです。
Scientist/Developer Relationsとして実験系の自然科学研究者とxR/ITのコミュニティの接続を促すことでの技術導入の橋渡しを続けています。
今回、ご縁がありましてDevRel/Japan CONFERENCE 2021という、Developer Relations職の知見共有の場でのパネルディスカッション運営サポートという役割でお手伝いしてきました。運営・登壇者・参加者の皆さんおつかれさまでした('ω')

xRセッションの関連ツイートはまとめて公開してあります。本編あたりからの様子を知りたい方はコチラからどうぞ。

1:14:16からxRセッション

 裏方として何してたかというお話を夜のLT&懇親会の場でお話ししました。今回の記事はその増補版という感じです。例によって備忘録ですのでストーリー上の盛り上がりとかはありません。

きっかけは主催のおさそい

夏にCall for Paperが募集開始になっていたのは知っていたのですが、「自分が出してもなー」と思いながらこの関連のツイートをスルーしていました。

秋に差し掛かり、DevRelのラジオにお便りだしたりして絡んでいたらお誘いが来たので7分で決定しました。登壇のお誘いだったら2分で決めたことがありますがセッションオーナーとのことだったので+5分かかりました。

 とはいえパネルセッションオーナーなんてやった事が無いので、特に明確な指針があるわけでもなく、まあ反応があればいいかなくらいの軽い気持ちでツイッターにゆる募をかけました(お誘いから30分後)。

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 上のとおり、案外たくさん反応がもらえました。なんだか需要がありそうなので真面目にやることにしました。反応を頂けた中で最速でメッセージを送ってくれた #AR_Fukuoka 吉永さんの活動と、他のXR勢の反応のアカウントを眺めてみて、全体のテーマは「領域へのオンボーディング」に決めました。他業種のエンジニア(または非エンジニア)であっても、xRの世界に関わるきっかけが得られるコミュニティをピックアップして声掛けを進めることにしました。

コンセプトの下でメンバーを決定する

↑のために考慮したい要素がいくつかあって、
・初心者でも何かしら発信ができる
・デバイス縛りが少ない
・なにかしらのユーザーグループである(企業との関連色がない) 
・できればアカデミックも巻き込みたい(←自分が研究者だから)
などの項目を検討しました。
 その結果、#AR_Fukuoka, #大阪駆動開発 , #HoloMagicians の3コミュニティが良さそうと思いました(DevRelっていうと多くは会社の役職で規定されている、自社の技術やコミュニティ文化を広める係みたいな感じです。一方今回ユーザーグループを選んでる時点でこれはコミュニティマネジャーの文脈だなと自覚しています。純粋にDevRel職でお願いというリクエストがあれば、何も考えずにUnityの石井さんとかMSの上田さんとかMLコミュニティの徳永さん、Epicのおかずさんとかに相談しに行ってたでしょう)。自分の選んだ3つには共通点があって、それぞれハンズオン・ハッカソン・情報発信の点などで他業種の人が勉強しに来る間口としてよいという実体験があります。技術のレベルが上がればUnity道場とかxRTechTokyoとかに行くといいと思います。

 声をかけてみた結果、すんなりと各代表の登壇の受諾を得られたので、#NT札幌、#おうちハック などの運営で知られる湯村さんに司会をお願いすることにしました。ソフトウェア開発のバックグラウンドがあり、Makers文化の知見を持って実際にイベント運営もしていて、なおかつサイエンティストでもあり、サイエンスコミュニケーターでもあるというチートスペックな方なので、北海道エリアでは他に適役が思い浮かびませんでした。直近の #NT札幌2020 の時は彼がパネルディスカッションのオーガナイザー兼司会でしたので、進行技術の素晴らしさも目の前で見たので安心ですね。民間企業所属でもないのでベンダー色ゼロになりました。
 あと余談ですが私がScientist Relations(#SciRel)を名乗っているので、だいたいの関与イベントに科学者をこっそり混ぜてるんですが、今回もそんな感じです。パネル関係者5人中3人もPh.Dがいました。

 29日の夜にメンバー集めが始まって、31日の夕方には登壇者用グループチャットに全員集めたので実質一日半で完了しました。速さは正義です。

ミーティングを全然しない運営設計

 一つのグループチャット(ついったー)に全員合流できたので、以降はそこに様々な連絡や情報を投げ込む形にしました。変更があればそこに書き込んでいって各自が好きな時に確認して把握してくれればOKです。チャット合流直後に、主催からの要求仕様と私が構想したセッションのコンセプトをまとめたペラ1企画書を共有しました。視聴者側のゴールを書いたものを作ったので、これを起点に情報の取捨選択が行われることになります。
 今回はオーナーとして工夫をいくつか入れていて、各コミュニティの直近のイベント情報およびそのまとめもこのチャットにどんどん投げ込むようにしました。チャット内にはDoMCN、NT、HoloMagicians、大阪駆動開発、DevRelJP、AR_Fukuokaの計6コミュニティが居て2か月程度協働するため、コミュ間の相互理解を深める事を施策の目的にしました。読むことは強制ではないですが、興味があれば読んでくれてたんじゃないかと思います。

アイデア発散の場も非同期で設置して管理する

 どんな質問が良さそうか考えるのもパネルオーナーの仕事の一つです。司会ーパネラー間の相互理解が薄いと、浅い質問から深めの回答を引き出さなければならなくなって結構大変なので、コンテンツ要素をマップ化することにしました。
 ワークショップでよく使うpetari(ログイン不要ですぐ使えるオンライン付箋貼りスペース)を質問管理用に設置して、コンセプト置き場兼アンケート&雑談置き場としました。チャットからリンクを生やしました。
 運営側で数十枚の付箋を貼っている光景からスタートして、誰かの付箋が増えたのに気付くたびにスクショをチャット欄にはりつつありがとうと言ってるだけのお手軽管理で運用しました。(無からだと一枚も貼られない事を過去の体験で知っています。見た目がカオスになっていることが汚しやすさになっていていいのかもしれません。)
 私がつけた黄色い付箋のコメントに各メンバーの色付き付箋が追加されていくのを基本にしたところ、強制力を発動しなくてもコメントが増えました。雑談コーナーも意識的に作りました。あと使用済み雑談もあえて残してあります。消すとキレイになってしまうので、そういう整然さはアイデア出しには不向きかと思ってそのままです(キレイなのがアイデア出しに得意な人も世の中にいることは知っている)。

 数が増えてくると、付箋同士の距離が狭くなって追加するスペースがなくなるので、配置の雰囲気だけ残しつつ位置はちょっとずつ変えていました。最終的に↓のような感じにできたものを本番前にこちらでキレイに整えるつもりでしたが、サボりました。よく考えたら本質に影響がありませんでした。

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 時系列で管理するグループチャットと、二次元的な空間で管理するpetariを両方使いながらネタ出しを非同期で進めました。

情報ポータルみたいなドキュメントの必要性

 グループチャットの中の情報量が大きくなってくると、各ドキュメントのURLが探しにくくなっていきます。湯村さんからのリクエストで、それまでの重要なリンク・連絡事項などをひとまとめにした数ページ分のドキュメントを作ることにしました。「困った時にこれをみれば大丈夫」という状況を作って必要な事を各自書き込む形にしました。メンバーの必要性から始まった場所なので、ありがたいことに勝手に見た目が整備されていって見やすくなっていきました。仕事の参考になりました。この段階で、セッションメンバーに自分ゴト感を強く持ってかかわってもらえてる様に十分なったと思いました。

予告動画も非同期仕様にアレンジ

 運営会議の何回目かに突然知らされた任務があり、セッションのオーナーから司会へのインタビューを事前に収録・放映するというものでした。セッションの見どころを周知する目的の動画でしたが、スライドを使う方式にして収録し、動画の公開日にスライド資料も公開しました。これはメンバー向けの施策ではないですが、インタビュー動画が長くなってしまったので(私がトーク下手)、概要が2分くらいで目視できると延々動画観なくてすむかと思ったゆえの作戦です。再利用がしやすい利点がありました。​


xR要素をシレっと混ぜ込むためのMicrosoft Mesh枠の追加(ここだけ同期を強調しますよ)

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 本番の一コマです。通常のパネルセッションは司会+パネラー3人の構成で配信していましたが、ここはxRセッションなので一工夫入れることにしました。現実の空間に中村さんと山地さんのアバターを呼んで会議をできている風景を私の環境から配信しました。Meshの仕様がいつ変わるかわからないのでメインコンテンツにはせず、本番近くで試せそうならやってみようねと決めておいたものを、登壇30分前に準備しはじめてました。うまくいきそうだったのでそのまま配信にも乗せて、参加者のコメントをうまく引き出す仕掛けとして機能したようでした。
 いままで散々非同期でやれて来ているのでどうなのかなという気はしますが、xRの領域のエンジニアが日頃触れているアバターコミュニケーションの一端を非VRの方々にも少し感じていただけたのではないでしょうか。特に、この配信で、視線と手振りがちゃんと同期していることが見て取れます。さらに同時文字おこしも機能していました。QuestのHorizon Workroomsでも同様の雰囲気も出せそうではありますが、今回はHoloLens所持の方が多かったのでこっちにしてみました。このために自室も片付けておいてよかったです。

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次の行先の明示

 セッションのエンディングにこれは入れたいとオーナーからしつこくリクエストさせてもらって、次のコミュニティイベントをそれぞれのパネラーに紹介していただきました。興味を持った瞬間に参加できる次のイベントがあるとアクションにつながりやすいですね。何名か参加登録があると嬉しいです。

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 (興味をもし持っていただけたとしたら、15日(明日)からの #XRKaigi のハッシュタグを追ってもらえればアレコレわかると思いますので、直近ではこれが一番おススメです('ω'))

登壇後アフターケアも非同期

 活動紹介のスライドは即時公開できるようにしておき、セッション終了直後には一般公開しました。並行してtogetterもまとめが完了していたので、こちらも #DevRelJP のタイムラインに投下していました。後から見てもらうこと前提で進めていました。

LT会の勧誘

セッションは奇跡的に無事終わりましたが(私がバックステージでミスったりしてたけど)、メインセッション以外にも登場してほしいコミュニティに声をかけさせてもらいました。

#KumaMCN のカジュアルなハッカソン(Live Connpassingという新概念)、
#バーチャル学会 の建付けの話、
#AR_Fukuoka のオンライン対応の詳細、
#DoMCN の私のこの記事の話 などがXR勢からの運営知見として共有されました。
突然誘いに行った方も居た中、対応していただけました。DevRel職の方々にxR勢のフットワークの軽さをここでも知ってもらえてよかったです。





やってみてどうだったか

 たぶん私が一番トクをしました。北海道で全国規模の大会の運営を行うことはほとんどなくてツール運用の方法が分からなかったですが、そのような大会の構築手法を運営Slackで約二か月間、間近に見ることができました(間近という表現が正しいかどうかはわからない)。Slack内でのやり取りで必要な情報がすべてそろう感覚は新鮮ですね。開催の舞台裏話を聴いて振り返るイベントが24日に行われますので、詳細はそちらに譲ることにします。

 よく考えたら私は現在のDevRel/Japan運営メンバー誰一人オフラインで会ったことがありません。なので(よくこの人たち私に1セッション任したな…)と内心思いながらも、結果的に運営の作業を通じて自分のキャラを知ってもらえたので、実はすごく効率がよかったです。
 運営メンバーへの対応としては自分のタスクが打ち合わせで決まったら最速で処理する事を多少心がけました。自分が任せる側な時に、特に理由もなく動いてないみたいな状況が目に入ると多少不安になるので、任される側の私がそう思われないように動くことを意識しました。最低でも動き始めたことは伝わるようにチャットに残していました。
 副産物として、公式サイトでxRセッションメンバーが一番上に来ていたり、希望のセッション開始時刻がいち早く押さえられたりといった有利な効果もありました。

 運営プロセスのワチャワチャ感は、去年の #盛夏音祭 のサポートをしたときの状況を思い出したりしました。あと、2019年11月以降開催をお休みしている札幌HoloLens Meetupの続きをもしオンラインで開催するとしたら今回みたいなメンバー(メイン・LT)になるなぁと途中から思っていたので、今回のXRセッションは実質札幌HoloLens Meetupです(乱暴な飛躍)。

 反省としては、フワッと決めてサクッと動いちゃうみたいな振る舞いが司会の湯村さんには負担になってたんじゃないかと思います。ハードウェア系&xR系双方のつなぎ役としてぜひDevRel界でも知ってもらえたらと考えていたので、懇親会にインターネットの都合で参加不能になってしまっていたのは残念で、事前チェックの気が回らなかったことがかなり申し訳なかったです。多忙ながらも、たくさん手伝っていただいたのでありがたかったです。
 また、今回はオーディエンスの質問をとにかくたくさん取り込みたいと主張していたくせに、私自身が質問投稿用のSli.doのリンクアドレスを間違えて投下していました(見る専な書き込めないほうをひたすらツイッターに流してた)。当日の時間の余裕をあまり作ってなかった私が悪いです。

まとめ

 いろいろなメンバーに助けていただいて、当初の頼まれごとは果たせたかなと思います。来年セッションを担当する人が準備を進めやすくなるように、セッションオーナーの知見として一部再利用してくれるといいなと思います。運営はなんだかんだ情報が集まってトクなので、ためしにやってみるといいですよ(私は本職DevRelでも何でもないし、なんならエンジニアですらない)。

 今回の記事は今年のAdvent Calendarのどっかにでも書こうかなと思っていましたが、12月もなんだかんだでやることありそうな気もしてきたので今日書いてしまいました。加筆修正はたぶんあると思いますがひとまずこの辺でおわります。

(2021/11/14 公開 240 min 5720字
 2021/11/14 追記 30 min 6369字)

おまけ LTの登壇資料(Docswellの開発者さんにも知り合うことができてラッキーでした)