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高校生の学びは地域で積み重ねてきた"対話と協働"の結晶だー『手話カフェ〜しゅわしゅわ〜』の文部科学大臣賞受賞によせて

福島県から、ついに文部科学大臣賞が生まれた全国高校生マイプロジェクトアワード2021。その福島の復興を、教育の立場から耕してきたはっせさんの振り返りを読んで返信を書いていたら、長くなってしまったので、noteにすることにした。

【実践型探究の全国大会、閉幕に寄せて】 全国高校生マイプロジェクトアワード全国summit2021が閉幕しました。 今年は69,912名(29,594プロジェクト)の高校生がマイプロジェクトを実行し、その中で16,822名(6,225プロ...

Posted by 長谷川 勇紀 on Monday, March 28, 2022

『しゅわしゅわ』が伝えたメッセージは
ふつう / ふつうじゃない
の二分法の限界を伝えるものだった。

障害を生むのは、ふつうとふつうじゃないの線を引いてしまう、この社会自身・わたしたち自身だ。ふつうじゃないほうを自分とは違うものとして、支援されるべきもの、困っているべき人にしてしまう。そのことに18歳の彼女は気がつくことができた。白ヒゲのおじさん(荒瀬克己さん)、どうして高校生でそのことに気がつくことができたのか、何度も彼女に尋ねていた。

その理由は
真の被災者 / 被災者 / 被災者じゃない
とか
避難区域/避難区域以外
とか

線を引く暴力に苦しんできた福島の大人たちが、それでもこの福島を諦めずに、肩書や立場を超えて対話と協働してきたから。

一度分断してしまった福島を諦めない、これ以上分断させない。白河で彼女と接してくれた人も、県Summitでサポーターを務めてくれた人も。いわきと郡山出身でマイプロ全国事務局で働くふたりの同世代も。高校生が緊張しないように支えてくれたゆかりの大学生たちも。みんな、相手が10代でも、立場が違っても、でも対話と協働を諦めない福島の人たちだったから。彼女が高校生活の最後の最後の3月27日に至るまで、まわりの人間は対話と協働を諦めない人たちだった。

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福島の復興はいつなんだろう、いまもまだ自分の家に入るために許可証が要る町と隣合わせの地域に暮らす私達。処理水の放出も予定されている。少子化で高校の統廃合もまだ続く。3月の地震で火力発電所も止まっている。復興はまだまだ終わったとは言えない。

それでもついに、岩手県・宮城県から出ていて、福島県で出ていなかった文部科学大臣賞が、9年越しで福島県から生まれた。彼女が全国の舞台で堂々と言い切ったメッセージは、彼女の努力と福島の努力の、結晶だったと思う。

双葉郡で高校生に学びの場を届ける、ふたば未来学園内にあるNPOカタリバのみらいラボ。復興支援の名目で、手厚い支援とメディアの注目が受けられる双葉郡が、個人的には羨ましくなかったと言えば嘘になる。嫉妬もあるくせに、そこで学びたい!という意欲を持った僕を快く受け入れてくれた。高校支援と探究学習の最先端を経験させてもらった。

双葉も浜通りも中通りも会津もわけ隔てない、お互いの違いから学ぶ。お互いがお互いがナナメの関係。その学びの在り方は、ふたば未来学園・双葉みらいラボに確かにある。

双葉の経験から学び、福島県の教育は復興する。それは、双葉だけが変革していく未来じゃない。子どもだけが変革していく未来でもない。子どもと子どもに伴走する大人、学校と地域等が垣根を越えて学び合い、多様性を力に変えていくことができる教育第7次福島県総合教育計画  「はじめに」)の在り方だ。

垣根の飛び越え方は、白河の高校生が体現して、言葉にしてみせた。文部科学大臣賞は双葉郡からじゃなかった。でもそれは復興した福島の体現だ。『しゅわしゅわ』の彼女を支えた『さくらタピオカ』の大学生の彼女は、富岡町出身だ。

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高校生を大学生が応援していいし、その逆もいい。双葉が中通りを応援してもいいし、その逆もいい。だって富岡町の現役高校生がチアってそういうことなんだって言ってたから。

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『しゅわしゅわ』が言葉にした「自分自身のあたりまえを更新しつづける学び」が、福島の、日本のあたりまえになる未来はそう遠くない。

そのとき『しゅわしゅわ』は、自分と相手の境界線を溶かして、多様性を力に変えていく合言葉にきっとなる。

I LOVE YOUの世界共通のハンドサイン🤟が、地域で積み重ねてきた"対話と協働"の結晶として堂々と、文部科学大臣賞授与の場で掲げられたことを誇りに思います。おめでとう!そしてはっせさん、本当にいつもありがとうございます!おめでとうございます!

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(桜の咲く夜の森に遊びに来たくなる写真を最後に挿れておく)


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