「日本の少子化対策は間違っている」

 政府はこれまで19年から消費税引き上げで確保した1.5兆円から3~5歳児の保育料を無償化し、20年度からは大学授業料の負担軽減を図った。それでも出生数は減少の一途をたどった。そして、今国会で議論されているように新たな制度を始めようとしている。
 つまり政府は28年度までに少子化対策の強化のために年3.6兆円の財源を確保するために支援金制度という医療保険料に上乗せして金を集めるということだ。その使い道は児童手当の拡充や保育利用の枠の拡大や育児協業給付の引き上げなど現在子を持つ家庭を厚遇することを目指している。
 
 しかし、出生数は減り続けている。それは明らかに国の施策の方向性が間違っているのだ。
根本的に、子どもを作ろうという階層づくりが破綻していることが原因なのだ。
 昨年の婚姻数が50万組を下回ったということだ。10年前と比べても17万組減っている。婚姻数が50万組を割るのは90年ぶりということだ。90年前の1933年というと日本の人口は6700万人と今の人口のおよそ半分だ。
日本では、婚姻数と出生数は強い正の相関がある。特に2000年以降その傾向は顕著だ。つまり婚姻数を増やさない限り出生数も伸びないわけだ。
 男性の生涯未婚率が90年代に入り顕著に増加しだし、2020年の国勢調査の結果では28%を超えるようになっている。それを就労形態で見てみると2022年のデータでは、正規雇用の場合、男性の生涯未婚率は21%なのに、非正規雇用の場合は61%になっている。つまり収入の低い非正規では、結婚を実現することのできるものではなかったということの明確な表れなのだ。そしてこれは、現在50歳前後の日本人男性について言えることで、非正規層はさらに若い年代に亘って広汎に広がっているのだ。今後はもっと深刻にならざるを得ないのだ。
 とすれば、政府の少子化対策は、ここに焦点を当てるべきなのだ。非正規労働やフリーランスで働く人たちの収入を増やす手立てこそ、本当の意味での少子化対策なのだ。しかし、政府は、今年からインボイス制度を導入して、1千万人と言われるフリーランスからも消費税を取ることによって、さらにその生活を追い詰めることをしているのだ。
 
だから、今、世に現われた子どもたちへの対応だけではなく、これからの世代に対する対策こそ必要なのだ。
 まず非正規雇用と正規雇用の格差の修正を実現する必要があるが、日本の大企業の現在の業績アップは人件費を削減して内部留保を増やすという手法で進んできているので、決して、この仕組みは変更することはしないだろう。大企業から多額の献金を受け取っている今の自民党政府では、その圧力をはねのける力はないので、一層の少子化は進んでいくことだろう。
 メディアも日本の人口が減った将来図しか語っていないのは、それを物語っているのだろうと思う。

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