「NHKは変わったのか!?原発問題の捉え方」

 NHKは、先月「メルトダウン危機の88時間」というタイトルの放送をしていた。
 それは福島第一原発で2011年3月11日に何が起こったのかを再現するドラマを2回にわたって再放送だった。このドラマは震災後5年目の2016年に放送されていたものを今年(2024年)の3月13日に再放送したものだ。当時の原発事故現場に踏みとどまった吉田所長を始めとした職員たちの奮闘と壮絶な事故現場を再現したものだったが、2号炉の格納容器破壊を目前にして職員がつぶやく「東日本は壊滅だ」という想像が幸運にも配管や接合部の漏れによって格納容器破壊を免れた事実も明らかになる。実際、幸運が重なって被害があれくらいで済んだ重大事故だったのだということを明らかにしている。
 
以下は私の感じた思いを述べる。
 一号機に冷却水を緊急時に補給するイソコンという装置が正常に働いていたら、あれほどの重大事故にならずに済んでいたかもしれないとも感じた。  福島原発では訓練でそのイソコンを作動させたことはないので、イソコンの状態を明確に把握できる知見を現場のだれも有していなかったのだ。そのため、燃料棒の冷却をさせることができず一号機がメルトダウンして、その後水素爆発があった。2号炉に電源を敷いて冷却体制に入ろうとしているところの作業員が、あわやその爆発に巻き込まれるところまで追い詰められ、電源の敷設もさらに遅れ、そのため次々とメルトダウンしていくのだった。いずれにせよ、日本の原子力政策の中での危機対応があまりにもお粗末であったために起こった重大事故だったのだ。
 日本の原子力政策における危機管理が運任せのきわどいものだったという実態があったにもかかわらず、何の反省もなく、岸田政権下で原発の再稼働、新型原発開発に向けて前のめりに事業が進められている。
 この国は、失敗があっても何ら反省することなく、同じ失敗を繰り返すことを気にしない国民性があるとしか思えないのだ。
 

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