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11:水頭症

水頭症

2022年9月26日

「これは典型的な水頭症の症状ですね。CTで見ても脳室が拡大しています」と、病院で先生に告げられました。

水頭症とは、脳脊髄液(髄液)の循環障害によって拡大した脳室が、頭蓋骨内面に大脳半球を押しつけることにより、数々の脳の障害を引き起こす一連の病態を言います。

https://www.bbraun.jp/ja/patient/hydrocephalus/characteristic-and-symptom.html

水頭症の主な3つの症状は
・うまく歩けない「歩行障害」
・ぼーっとして口数が少なくなる「認知症」
・排尿に失敗する「尿失禁」

トイレは問題なかったけど、歩行障害と認知症は完全に当てはまっています。

ゾッとする内容の告知ですが、私はこの水頭症が一時的なものだと知っていたので、そんなに驚きませんでした。実は退院した時、先生から水頭症かもしれないということ、そしてその後の対処法について説明を受けていました。

その対処法は、VPシャント手術。VPシャント手術は、耳の裏あたりに髄液の流量を調整する機械を挿入し、頭部から腹部に貯まった髄液を排出する手術です。
詳しくはこちら

しかし、夫は血液をサラサラにする薬を服用しているため、すぐに手術を行うことはできません。手術予定は11月の後半から12月の初旬になりました。

問題は水頭症の症状です。残り2ヶ月、私は認知症状態の夫を面倒みることができるのだろうか…

介護生活スタート

水頭症と告知を受けるまでは、夫ひとりの時間も多少あったし、自分のことは自分でやらせるようにしていましたが、この日を境に本格的に介護生活がスタートしました。

トイレくらいなら一人で行けますが、それ以外は何をするにも24時間誰かがそばで見守らなければいけません。

朝起きるのも、寝るのも、お風呂も一緒、夜中のトイレにも付き添いをしました。というのも、我が家の間取りが2階にリビングとトイレ、1階に寝室とお風呂という変わった構造で、介護向きの住宅ではないんです。

夫は血液サラサラになる薬を飲んでいて怪我をさせてはいけないため、階段から落ちて流血なんかしたら大変ですから、かなり気をつけて生活しました。

ずっと家に閉じ込めておくのも可哀そうなので、私のテレワーク中の昼休みには散歩にも連れて行きました。きちんと歩けないので、半分私が抱きかかえているような感じでしたが。

認知症のような症状の方は、とにかくボーッとしていて、たまに変なことを言いますが、言い聞かせれば納得するし、暴れたりすることもありません。

介護生活は大変でしたが、大変だということを夫には見せないように過ごしました。実際、夫がそばにいてくれるだけで安心も出来たというのもあります。

ただ、時折、夫と一緒にいるのに、急に独りぼっちになったかのような、強烈な孤独を感じることがありました。
夫なのに、知らない人みたいに見えた時もあります。

このまま一生、介護生活が続くかもしれない。
夫ともう「会話」をすることができないかもしれない。

今振り返ると、このころが一番精神的にきつかったように思います。

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