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UKベース界隈でトラップに注目が集まるきっかけを作ったのはRuskoという仮説

ちょっと時間が空いてしまいましたが、先月、「Skreamがダブステップの伝説「Skream & Benga」の2021年復活を匂わせるという話」という記事を自分のブログで公開しました。

ブログでは、Skream & Bengaが以前、出演した2011年の"Ultraマイアミ"にも触れているのですが、当時、USでダブステップといえば、Skrillex的な”ブロステップ"がダブステップとして人気を獲得しつつあったにも関わらず、UKダブステップの2人がパリピをめっちゃロックしてるんですね。

その背景には2人と同郷のダブステッププロデューサー/DJのRuskoの成功があるのでは? という仮説をブログでも書いているのですが、当時、RuskoがDiloのレーベル「Maddicent」からリリースしたアルバム『O.M.G.!』(2010)の収録曲リストを改めて見返してみると"あること"に気がつきました。

その"あること"とはUKベース界隈でトラップに注目が集まるきっかけを作ったのはRuskoだったのでは? ということです。

Rusko『O.M.G.!』には「Got Da Groove」という曲が収録されているのですが、実は同曲にはトラップシーンを代表するラッパー、Gucci Maneがフィーチャーされています。

「Got Da Groove」では、例えば、現在、認知されているような典型的なトラップの特徴である808ベース要素は正直わかりづらいのですが、サブベースの鳴り自体はよく聴くとそんな感じがしなくもないです(気のせいか?)。ほかにもハイハットのチキチキ鳴る感じだったり、オートチューンのかかった声など近年のトラップ曲に見られる要素がいくつか見受けられることから、これはUKのダブステップ畑出身のRuskoからのアトランタへの回答的な曲なのでは? と思うようになりました。

また、『O.M.G.!』の2年後の2012年に"ハドモ"ことHudson MohawkeとLuniceが、グラスゴーのレーベル「LuckyMe」からTNGHTとして、トラップを取り入れた『TNGHT EP』をリリースしているのですが、先述のようなことを考えると、「UK界隈でトラップに注目が集まるきっかけを作ったのってRuskoじゃね?」説がより濃厚になるような気がしてなりません。

ハドモは、元々UKのDMCファイナリストに選出されるレベルのバトルDJ出身で、プロデューサーとしても「Wonky」、「Aquacrunk」と呼ばれたヒップホップビートを軸にエレクトロ、ジャズフュージョン、チップチューン、IDM、etcの要素を持つビートミュージックのプロデューサーなので、ヒップホップから強い影響を受けていることがうかがえます。また、「Wonky」自体がダブステップ、グライムからの派生ジャンル的なものであることから、Ruskoの音楽とも文脈的なつながりがあります。

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