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なつかしの味

新卒で入社した会社は某都銀でした。
今でいうメガバンク。当時はまだ「都市銀行」と言われ、短縮して「都銀」と呼ばれていました。

大学三年生の頃だったと思います。
日産自動車から「セフィーロ」というクルマが発売されました。
疾走するセフィーロ。
助手席のパワーウインドウが開き、井上陽水さんが「皆さんお元気ですか?失礼します」と語りかけてくるCM。
かなりのインパクトで、当時話題になりました。

「セフィーロは33歳の人をターゲットに開発しました。33歳というのは、社会人としての「オトナ」と「コドモ」の境目の年齢だと私たちは考えています。セフィーロは、これから社会人として「オトナ」になっていく人たちが少しだけ背伸びして選ぶクルマ。そんなクルマとして開発しました。」

ちょうど就活の時期に、雑誌で読んだセフィーロの開発ストーリーに、こんな事が書いてありました。

「そうか、33歳までは社会人としては「コドモ」なのか。じゃあ、とりあえず「コドモ」時代は世の中を広く見られそうな会社に行こう。」
「まず銀行で33歳まで仕事して、ずっと続けるのか?他の仕事するか?は後から決めよう。」
就職はそうやって決めました。

初めての異動は、社会人3年目の4月。
新しい配属先は、JR某駅前の支店でした。
着任の日。駅の南口の階段を降りると、ロータリーに面して、ハンバーガーチェーン店のドムドムがありました。

ドムドム。
ドムドムと言えば、¥100バーガー。
美味しくも、不味くもないバーガー。
パサパサのバンズに、ホントにビーフなのか疑わしいという噂もあったパティを挟んだバーガー。
高校時代は、部活の帰りに駅前のダイエーに入っていたドムドムで、この¥100バーガーを3つ食べて帰宅する毎日でした。

そして、社会人3年目のドムドム。
ハンバーガーは¥100ではなくなっていました。
でも、「コロッケバーガー」なるものが¥100で売られていました。
美味しくなったバンズに、揚げたてのコロッケ。ケチャップとマヨネーズだけのシンプルなバーガー。

美味しい♪

着任日の朝、緊張感とコロッケバーガーをコーヒーで胃袋に流し込み、新任地での仕事をスタートさせました。

その日から2年間。
33歳を待たずして転職するまでの間、出勤前にドムドムに立ち寄って、コロッケバーガーとコーヒーで朝食を済ませ仕事に向かっていました。

部活後の¥100バーガー。
出勤前の¥100コロッケバーガー。

なつかしの味。


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