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NO1

 ある日のいつものBarでのこと。

 常連独身男達で、いつものように「ここまできたら、俺たちは芸能人と結婚しよう」「そうだな。うんうん。柴咲コウとか長澤まさみとか独身だもんな」と、中二もびっくりのどうしようもない話をしていたところ、一見さんの若者が来客されたのです。

 凄くコミュニケーション能力の高い若者で、なんだか自然と話が始まったのですが、彼はこれから飲み会(いわゆる合コン)に行くと言うのです。開始時間までに時間があったから、気合を入れようと一杯の飲みに来たと.。

「気合って、飲み会に気合いるの?」

「いりますよ。僕は飲み会で常にNO1になりたいんです」

「NO1?」

「はい。人気NO1です。つまり、1番モテたいんです。スポーツでも仕事でもNO1にならなくても良いんですが、飲み会だけではNO1になりたくて。だって女の子から人気なかったら悔しいじゃないですか。僕、昔モテなくて、女の子が会話すらしてくれない時もあって。だから、もう絶対そうなりたくないんです」

「なるほど。No1になるためにはどんなことすれば良いの?」

「それが色々あるんですが結局、仕事もしっかりやって、色々会話ができるように勉強もして、周りに気を使えるようにして。つまり、良い男になるってことです」

 なるほどつまり、一つのことでNO1になるには、他の全てのことも頑張らなきゃいけないんだと、凄く貪欲な若者におじさん達は感心しきり。

 「ちなみに努力の結果はどうなの?」

 「まず間違いなく、連絡先は教えてくれるようになりましたし、お持ち帰り的なのも結構あって、彼女もできたりしましたよ」

「すげー」

 そして彼は颯爽とテキーラを二杯飲んで、飲み会に向かいました。ちなみに、彼は最初下戸だったそうで、お酒も鍛えたそうです。飲み会でNO1になるために。

 残されたおじさん達は、中二病の会話をすることもなく無言で自分達を見つめ直したのでした・・・

 モテるには、たゆまぬ努力と向上心が必要なのだと若者から学んだ一夜なのでした。

小節「中目黒の街角で」



  

僕は37歳のサラリーマンです。こらからnoteで小説を投稿していこうと考えています。 小説のテーマは音楽やスポーツや恋愛など様々ですが、自分が育った東京の城南地区(主に東横線や田園都市線沿い) を舞台に、2000年代に青春を過ごした同世代の人達に向けたものを書いていくつもりです。