【89.水曜映画れびゅ～】"Marriage Story"~夫婦のリアルって…~
"Marriage Story"は、2019年公開の映画。
第92回アカデミー賞にて作品賞・脚本賞含む6部門にノミネートされた作品です。
簡単なあらすじ
女優のニコールと夫で舞台演出家のチャーリーが結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく姿を描いたヒューマンドラマ。結婚生活がうまくいかなくなり、円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、それまで溜め込んでいた積年の怒りがあらわになり、弁護士をたてて争うことになってしまう。
かつて愛した人との、最悪の戦い
ニコールの好きなところは…
チャーリーの好きなところは…
女優のニコールと舞台演出家のチャーリーは、お互いをリスペクトし合っている夫婦のはずでした。
”別れる”ことにはなりましたが、離婚協議は財産分与と息子ヘンリーの共同親権についての簡単な話し合いで終わらせようとしていました。
しかし…
二人の間に入った亀裂は、そんな小さなものではありませんでした。
離婚に納得していたつもりのニコールですが、友人に紹介された敏腕の離婚弁護士ノラとの出会いをきっかけに、長年溜まっていたチャーリーへの不満が露わになります。
「夫のためにドラマや映画の仕事を断り、夫のために住みたくもないNYに住み、夫のために自分を犠牲にしてきたのに…」
チャーリーへの怒りを爆発させたニコールは、弁護士を立てて争うことを決意します。
ニコールの突然の攻撃的な姿勢に戸惑うチャーリーでしたが、「ヘンリーの親権を完全に失う」とまで言われ、徹底抗戦に転じます。
親権を巡って一歩も引かないニコールとチャーリー。
かつて愛し合ったはずの二人は、お互いを貶し合う最悪な戦いを始めてしまうのです。
監督の実体験を基に
本作は『フランシス・ハ』(2012)などを手掛けたことでも知られるノア・バームバック監督作品。
『フランシス・ハ』にて共同脚本と主演を務め、現在は監督としても活躍するグレタ・ガーウィグのパートナーでもあります。
そんなノア・バームバックですが、過去に女優のジェニファー・ジェイソン・リーと離婚しています。
その離婚体験を基に作り上げたのが、この『マッリジ・ストーリー』。
LAでハリウッド一家に育ち、女優としての代表作はちょっとエッチな青春映画という設定のニコール。
それはジェニファー・ジェイソン・リーの生い立ちを完全にモデルにしていて、しかもリーの出演作『初体験/リッジモント・ハイ』(1982)をちゃっかりイジッちゃっているんですね。
そしてNYの舞台演出家であるチャーリーというのは、もちろんNY生まれNY育ちのノア・バームバックのこと。
チャーリーが思春期に家庭でつらい経験をしているという設定は、バームバックの出世作『イカとクジラ』(2005)の題材と重なる部分があります。
そんなバームバックとリーは、2010年に「離婚の申請が行われた」との報道があり、2013年に離婚が成立しました。
二人の間には一人の息子がいて、まさに『マリッジ・ストーリー』な離婚協議が行われていたのだろうと思いますね…。
夫婦のリアルって…
そんな監督の実体験を基にして作られた『マリッジ・ストーリー』にて描かれるのが、泥沼化する離婚協議にハマっていくニコールとチャーリー。
映画を観ればわかりますが、この二人って根はメッチャいい人なんですよね。
だけど、お互いにどうしても譲れない部分があって、メッチャ喧嘩するんです。
その譲れない部分というのは、夫婦として生活を共にしてきたからこそ分かり合えない部分なんですね。
結婚なんて経験したことのない若僧な私ですが、夫婦のリアルって案外そういうものなんじゃないかなって、この映画を観るたびに思います。
夫婦だから、なんでも分かり合える。
夫婦だから、話し合えば解決できる。
・・・
「いやいや、全然そんなことなかったよ！」と言って、バームバックは現実を描こうとしたんだと思いますね（笑）
だからこそ、本作の名場面として名高い”夫婦喧嘩のシーン”は大きく共感されているのかもしれません。
日本語字幕のない本編映像
"If you think this is exaggerated or unrealistic, I genuinely feel happy for you"
「このシーンをフィクションだと思うなら、あなたは幸せ者ですよ。」
あと、アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンの演技は凄すぎっ！
二人とも、私の大好きな俳優です。
ノア・バームバック最新作が続々と…
ということで今回は、夫婦のリアルを描いた離婚ヒューマンドラマ『マリッジ・ストーリー』を紹介させていただきました。
私自身すでに三回観たほど大好きな映画ですので、とてもオススメです。
（ラストシーンが泣けるんでよね～）
そして…
『マリッジ・ストーリー』以来3年ぶりのノア・バームバック監督作品『ホワイト・ノイズ』が、いよいよNetflixにて今月12月30日に配信解禁！
アダム・ドライバーとグレタ・ガーウィグが出演。
同名小説を原作としたSFチックなコメディ作品のようですが、出来栄えはどのようでしょうか？
楽しみで仕方ありませんっ！
また、グレタ・ガーウィグの最新作"Barbie"の映像も先日公開されました。
マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリング出演。
バービー人形でお馴染みバービーの物語で、バームバックもガーウィグと共同脚本を務めています。
どんな話かはまだ全くわかりませんが、来夏の公開が楽しみですっ！
前回記事と、次回記事
前回投稿した記事はこちらから！
これまでの【水曜映画れびゅ～】の記事はこちらから！
来週は、ついに先週から公開となった全世界待望の最新作"Avatar: The Way of Water"を紹介させていただきます。
お楽しみに！