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大往生

入院している義父の呼吸が浅くなっていてもう危ないという病院からの連絡を受け、私は慌てて病院へ駆けつけた。

夫も仕事を切り上げ、先に義父の病室に入っていた。間に合ってよかった。

義父の意識はもうほとんどない。

私が義父の病室に入ってから15分ぐらいしたところでベッドサイドモニターから黄色の警告音が鳴り響いた。

一瞬緊張が走る。しかししばらくするとランプが緑になり脈拍数が戻った。

それを何回か繰り返すうちに、突然今度は赤いランプが点滅し大きな警告音が鳴る。ナースセンターから看護師さんが慌ててやってくる。

脈拍数が0になったのだ。

しかし、また少し脈拍数が戻り黄色の警告音が鳴る。

もう少し様子を見ましょうと看護師さんが言う。

そして、火が消えるように義父は呼吸が無くなり、最後は赤い警告音がずっと鳴り響いたままになった。



義父の最期を夫と2人でしっかり見届けることが出来てよかった。


お義父さん、お疲れ様でした。
よく頑張りましたね。
もう大丈夫です。安心して次の世界へ旅立ってください。


私は心の中で義父にそう語りかけた。


夜勤の時間帯になり、若くてイケメンの看護師の男の子が病室に入ってきた。

「僕、しばらく休みをもらって北海道に旅行へ行ってたんですよぉ。
休む前は、○○さんともお話しさせてもらったりしてたんですが、、急に悪くなっちゃって、、残念ですぅ」

そう言って、彼は亡くなったばかりの義父の身体を綺麗に整えてくれた。

義父は病室でいつも1人で寂しかったのではないかと思っていたが、こんな人懐っこい看護師さんとの交流もあったんだなと少しホッとした。


92歳。大往生だった。


今年の投稿は、これで最後となりしばらく休みます。

noterの皆様。いつも記事を読みにきて下さりありがとうございました。

来年もまたマイペースで投稿していきます。どうぞよろしくお願いいたします🙇‍♀️

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