FUJI ROCK FESTIVAL'19 (26日)

フジロック振り返り。7月26日(金曜日)。

初めて観たであろう若い人たちが気迫に満ちたパフォーマンスと音に反応してモッシュしまくり、激的な盛り上がりとなった前夜祭の亜無亜危異。その嬉しさも手伝って友達のソメちゃんと宿で焼酎ガブ飲みし、いつ寝たかもわからないまま迎えた金曜の朝。睡眠不足&二日酔い。頭がガンガンしてたが最初のアクトから観たかったので早めに会場へ。この日観たのは以下の通り。

中村佳穂→思い出野郎Aチーム(途中まで)→七尾旅人→サブリナ・クラウディオ(後半5曲くらい)→ROUTE17RRO→オリジナルラブ(なかに入れず外で音だけ数曲)→ジャネール・モネイ→チャラン・ポ・ランタン→TYCHO(中盤の数曲のみ)→ケミカルブラザーズ。約12時間。

当初はケミカルの途中からトム・ヨークへ移動するつもりだったのだが、睡眠不足がたたって疲労困憊し、断念。珍しく夜遊びもせずに、ケミカル観終えてからわりとすぐに帰宿した。まあ、そんな日もある。

中村佳穂。タイムテーブルが発表された段階でグリーンのチリパイパースをとるかヘヴンのこの人をとるかで悩んでたんだが、チリパイを前夜祭で観ることができたため、中村佳穂へ。ライブ観るのはグリーンルームフェスに続いて2度目。野外(ヘヴン)がたいそう似合う開放的な人と音楽。人間丸ごと音楽といった感じ。「出会ってくれてありがとう」とか、ほかの人が言ったらクサいこと言ってやがんなと感じてしまうような言葉も、この人が言うとなんだか素直に心に響いてくる。泣いてた女性多数。

思い出野郎Aチーム。朝霧に続いて観るのは2度目。アホな友達~という歌を自分にとってのアホな友達と一緒に笑いながら聴くことの楽しさよ。曲のなかにフジロックという言葉を何度か入れてくるヴォーカルのマコイチ。そういうのって嬉しくなるよね。9月に発売になるという新作からの初披露曲もよかった。取材したいなー。誰かふってー。

七尾旅人。この前のツアーに続いて、バンドセット。ドラムの山本達久はまだ足の怪我が治らず松葉杖をついて歩いていたが、プレイに支障はなし。彼のドラムとKanSanoの鍵盤は柔軟性も高くて実に良い。ライブ終わりに去り難くなった旅人が「なんか激しい感じの弾いて」と言えば音ですぐにそれに応え、「今度は優しい感じの弾いて」と言えばまたすぐに応えて音を鳴らすKanSanoは、ほかで観るときよりもバンドマンらしく見える。それはそうと、僕はと言えば「スロウ・スロウ・トレイン」「きみはうつくしい」あたりでもう目頭が熱くなってきて、「Memory Lane」で落涙。「サーカスナイト」ではイントロが鳴った瞬間にさらにブワーっと涙が溢れ出てきて、ヨメに「どうしちゃったの?」と。寝不足で情動コントロールが効かなくなってたのかもしれない。その「サーカスナイト」、旅人は客のなかに分け入って歌った。バンド編成でフジのホワイトに…と聞いたときから素晴らしいライブになることを確信してたが、想像以上。「バンドやりたくて高知から上京して、それから23年かかったけど、こんな最高のバンドでやれて嬉しい」というような言葉にもまたグッときてしまったのだった。ところで中村佳穂と旅人ってどっか共通するものを感じる。なんだろ? 歌の、あるいは心の純度みたいなところに通じるものがあるのかな。

サブリナ・クラウディオ。揺らめく感覚ありのジャジーR&Bだが、それにしてはバンド音がアグレッシブめ。で、主役のサブリナちゃんはめっちゃ色っぽい…んだが、昨年のフジのエロかった大賞カリ・ウチスと比較するなら官能的ななかにも気品あり。聴くよりも観て好きになる人っているけど、今年の彼女がまさにそれ。自分的にかなりツボでした。

ジャネール・モネイ。ダイバーシティ・ゼップの単独公演観てて「これはフジ映えしそう」と思った場面が見事に全部映えまくった、言うなれば“見せ場しかない”パーフェクトなライブ。単独は単独のよさ(アンコールで客のなかに入っていって歌うとか)があったが、長く記憶に残りそうなのはフジのグリーンのほう。いつかまたフジで観れる日が来るといいなぁ。

チャラン・ポ・ランタン。「脱走」ツアーのいいとこをギュッと凝縮させた完全フジロック仕様のライブ。「脱走」ツアーを人見記念講堂で観たあと、僕は「中盤までとアンコールを繋げて1時間程度に凝縮したライブをフェスで観たい」と感想書いたのだが、まさにそれだった。一切の無駄なく、アッパーな曲を次々に畳みかけてくる構成は「フジでやるならこうでしょ」と狙いを定めたもの。まさに(曲名通り)“最高”。自分の求めるチャランポのライブのひとつの理想形だった。

TYCHO。中盤の数曲のみしか観れなかったが、そこで迎えられたヴォーカルのセイント・シナーの透き通った歌声が天使的。サウンドと相まって白昼夢を見てる感覚に。背景の映像がそれを助長してた。改めて屋内で(座って)観てみたい。

ケミカル・ブラザーズ。新作聴いて惚れ直したので楽しみにしてたのです。で、期待通りというか、数年前のサマソニはなんだったんだろって思っちゃうくらい「フジで観るとこんなにいい」の典型的ライブ。昭和の日本のヒーローものみたいなアレなど新ネタ映像もさえまくり。バキバキ・ゴリゴリ感は前よりも薄まり、流れにある種のスマートさがあった。楽しみにしてた「Got To Keep On」に(意外にも)ソウルを感じたりも。

この日のベストアクトは……うーん、ひとつに絞れない。ごく個人的な感情としては七尾旅人、圧倒的な完成度という意味ではジャネール・モネイってことで。



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内本順一

音楽ライターを25年くらいやってます。 ノラ・ジョーンズ、プリンス、ホセ・ジェイムス、コリーヌ・ベイリー・レイ、アウスゲイル、Superfly、ザ・たこさんなんかのライナーノーツを書いたり、ウェブや雑誌でインタビュー記事やレビューやコラムを書いたりしております。

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