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「昭和40年男」12月号。「俺たちニューミュージック世代」特集のこと。

本日(11/11)発売「昭和40年男」12月号。特集は「俺たちニューミュージック世代」。たくさん書きました!

シティポップもいいけど、実際あの頃僕たち(昭和40年男世代)が熱くなって聴いてたのってそれよりもまずニューミュージックだったっしょ?! っていう思いはずっとあって、恐らくこの特集を企画した編集・竹部さんにもそんな思いがあって、だからいろいろ振ってもらえて嬉しかったし、楽しく書かせてもらいました。編集の人に自分の「好き」をわかっていてもらえるのは本当にありがたいこと。

まず今号の表紙でもあるアリスの独占インタビュー。巻頭8ページ!。中学の頃、僕はアリスが大好きで。自分でレコードを買うようになったわりと初期の頃のドーナツ盤のなかにアリスの「今はもうだれも」があって、それこそ擦り切れるまで聴いたのが1975年。もちろんチンペイさんの「セイ!ヤング」も毎週聴いて録音してたけど(そのテープ、まだけっこうとってある)、なんといっても決定的だったのが76年9月17日に母に連れていってもらった「さよなら神田共立講堂 アリス、バンバン、ジョイントコンサート」というもの。これは生まれて初めて観たコンサートで、世の中にはこんなに素晴らしいものがあるのかと大感動。それが僕の人生を変えたと言っても過言じゃなく、そこからいろんなライブを観るようになって未だライブバカの自分がい続けるという。初めてのライブにそこまで感動しなかったらこれほどライブ好きにはならなかっただろうと思うんです。で、76、77、78年くらいまでは部屋にアリスのポスターとそれぞれのソロポスターを張って、カードケースには雑誌「guts」から切り抜いて3人の写真をコラージュしたものを入れて、でもまだアリスのこと知ってる人なんてクラスにひとり女の子がいたくらいで(「冬の稲妻」でブレイクするだいぶ前なのでね)。って、その頃のこと書きだすととまらなくなるのでやめとくけど、とにかくそのくらい好きだったアリスに初めてインタビューすることができたんです。ソロじゃなくて、3人揃ってのアリスに!  さすがに始まる前は緊張したけど、終わってから「本当に詳しいねえ。今まででナンバー1!」とベーヤンに言ってもらえて感無量。中学の頃の自分に自慢したい! その夜呑んだお酒の美味しかったことといったら!

それから「吉田拓郎アイランド・コンサートin篠島」43年目のライブレポート。アリスの次に僕が夢中になったのが甲斐バンドと吉田拓郎で、初めて買った拓郎のシングルは「となりの町のお嬢さん」、アルバムは『明日に向って走れ』。篠島は79年7月26~27日に行なわれたオールナイトコンサートで、僕は高1か高2。電車と船を乗り継いで遠く愛知県三河湾に浮かぶ離島まで行って野外オールナイトライブを観るというのはもちろん初めての体験で、この時の感動が今のフェス好きである自分に繋がっているんだろうなと思ったりも。そういう意味ではこれも76年のアリスと同じくらい自分にとって重要なライブだったなと改めて。

因みに「昭和40年男」ではこれまでプリンスの初来日公演とかマドンナの初来日公演とかミック・ジャガーの初来日公演とか、ずいぶん昔に観た貴重なライブの検証記事も書かせてもらっていて。改めてそういう昔のライブに向き合うとそれに付随したいろんな記憶が甦ってくるし、再認識できることも多くて面白い。というのと、30~40年前のライブレポートをこのくらい熱く書いてる(書ける)自分が面白いというのもあるな。

ニューミュージック特集では、ほかに「名盤アルバムコレクション」(名盤レビュー)とか「テレビ探偵団 私だけが知っている!? ニューミュージック名場面」(「セブンスターショー」の拓郎とか、「ニューミュージックスペシャル」のチューリップとか)といったミニコラムも書きました。

ほかの筆者の方々の記事もどれも非常に興味深く&面白く、ニューミュージックから熱く音楽を聴くようになった自分にとっては永久保存版だなと。

大体、ニューミュージックってもうずっと軽視されてきたものであってね。ニューミュージックを好きだと言うのが何かこうダサいことのように捉えられてた時期があった…というか今もまだ完全にそうだと思うんだけど、あえて今「俺たちニューミュージック世代」と胸張って言い切る姿勢がむしろかっこいいというか、さすが「昭和40年男」だと思いますね。この号でスージー鈴木さんが「最近、歴史の改ざんが気になることが多い。代表的なのは“はっぴいえんど中心史観”のまん延だ。(中略) さらに気になるのが“70年代後半軽視史観”だ。音楽で言えばニューミュージックを軽んじ、お笑いで言えば、たとえば、せんだみつおやあのねのね、ずうとるびという平仮名表記の面々を軽んじる歴史観」と書いていらして、いたく共感。昭和歌謡やシティポップの捉え直し&再評価はもういい加減飽きちゃったし、これを機会にニューミュージックの再検証がもっと起こるといいなと僕は思ったりします。

それから今号の連載特集は「夢、あふれていた俺たちの時代 昭和55年」。昭和55年=1980年。つまりニューミュージックのブームが終わって、音楽ならRCみたいなロックやYMOらのテクノポップとかニューウェイブと言われるものが一気に台頭した年。この特集では「RCサクセション『RHAPSODY』リリース」についての記事を、当時キティでRCを担当されていた森川欣信さんと、観客のひとりとして久保講堂を観たあとEMIでRCの宣伝を担当されることになる高橋ROCK ME BABYさんに話を伺って記事にしました。とにかくおふたりのお話が面白くて興味深くて、79年4月からRCを追いかけ始めてあの日の久保講堂で感動した一人のRCファンである僕としてもいい検証記事になったんじゃないかと。


そんな「昭和40年男」12月号。自分のプロフィール欄にはこう書きました。

「1976年からアリスに夢中になり、77年から吉田拓郎にハマりだし、79年からRCサクセションを追いかけた。そんな自分にとって、この号は“俺の青春”の追憶と再定義」。

まさにこれ。たくさんの人に読んでもらいたいし、この思いを誰かと(あなたと)共有したい!





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