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もう一度、会いたいひと

 さっき気づくまで思い出しもしなかったのですが、今日は35歳で人生の店じまいをして、あっけなくあの世にいってしまった、アホな弟の誕生日です。

 弟が亡くなってから今年で10年。彼が倒れたとき、私はすでにアメリカに移住していて、しかも次女を妊娠中でした。しかもその妊娠が「重度悪阻」の絶対絶命だったこともあり、帰国できず。だから彼の死に目にも会っていないし、お葬式にすらいけませんでした。そんなこともあり、未だに彼の死について、現実味を感じることが少ないです。

  弟は亡くなるちょっと前まで、六本木でブルース・ドッグカフェというバーをやっていました。仲の良い弁護士の先生がいらして、その方のお店なのですが、切り盛りを任せて頂くという形で。

 私も日本にいた時には、よくそのお店に遊びに行きました。当時は会社を複数やっていたので、人付き合いも多くお酒を飲む機会も多かったため、弟の所に行く際は決まって「胃の休憩」という感じで。行くと必ず飲んでいたのは、お酒ではなく「牛乳」でした。

 けさ朝食を準備している際、娘たちの飲む牛乳をコップに入れようとしたら、手がすべって牛乳パックが全破壊。床中が牛乳まみれになってしまった惨劇に見舞われたのですが、あれは今思うと「おい、お前。俺の誕生日くらい覚えていろよ、ボケ!」という、彼の仕業だったのかもしれない(汗)

 日々忙しくしていると、あまり過去のことを思い出すことは少ないのですが。一年に数回くらい「あいつ、なんであんなに早く死んだんだ?」ということが、頭の中をめぐることがあります。

 そんな時はたいてい、Googleアースとかで昔住んでいたところを探して遊んでいる時とか、ホント、くだらんことをしている瞬間が多いのですが。やっぱり、そんなノスタルジックな暇つぶしの時に「懐かしむ人」になってしまうんじゃなく、35歳って年齢なんかで死なず、母のためにもこの世にいてくれて、アメリカにも遊びに来てくれる機会があったほうがよかったなぁ、当然だけど。

 弟の所で飲む以外、今も牛乳をあえて飲むなんてことは少ないですが。
今日は彼を思って牛乳飲みます。

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