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世瞬vol.1を読んで・その1「凧・北木鉄」

注文して楽しみにしていた、世瞬vol.1(フリーペーパー)が届きました。
洗濯機を回して待っている間や、絵を描いてちょっと休憩の時などに少しずつ読んでいます。

私は読書感想文がとても苦手(文章が下手、思ったことが上手く言葉に表現できない。)なのですが、とてもステキなフリーペーパーなので自分の感じたことなど、noteに感想と読んで頭に浮かんだ絵を書いてみたいと思います。


届いた世瞬vol.1(なんと、神谷京介さんのお手紙つき!わぉ!)
表紙がキレイ。大好きな空と水に浮かぶレモン(かな?)がホッと一息にピッタリ。薄くて程よい大きさなので家事の合間に読んだり、カバンにも入れて持ち歩けるのが嬉しい。
ツルツルの素材で、オッチョコチョイな私が何かこぼしてもサッと拭ける。(こぼさないように気をつけてはいるのですが。)

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「凧・北木鉄」を読んで。

東風。もうほとんどの毛が白くなったワンちゃん。

子供の頃飼っていた愛犬を思い出す。真っ白い犬だったが、歳とともに毛が茶色っぽくなっていた。
ふと横を見ると、我が家の18歳の猫娘が網戸の前でウトウト寝ている。

歳をとって鈍くなった行動、食べる意欲が減る、けれでも生きていることをはっきりと感じる濡れた鼻先、東風と愛する猫娘が重なる。
私(お話の中の私)と東風のいる時間が同じではないというのがとてもよく分かる。
ともに過ごした月日の中で変わりゆく姿が切なくなるけど、愛しさは増してゆく。そんな思いに共感した。
網戸の前にいる老いた猫娘の白濁した目には、見慣れた景色がどう映っているのだろう?
東風の目に映る凧は、モノクロ写真のように見えるのかな?と、読みながら想像してみた。
網戸のからふわりと吹いてくる風に、りーんりーん。という風鈴の音が、私の耳にも聞こえるような気がした。

「ああ、ヤモリが」田舎の古い家。家守り。ヤモリが姿を見せる家は良い家なんだよ、と昔祖母が言っていた。家の庭でもよく見かける。野菜の入った籠、縁側の雨戸、お話の中の景色が目の前に広がった。

緑多い地域で育ち、今も緑の中で暮らす私は、一瞬で引き込まれた。
洗濯機の回る音でせかされ、アレもコレもやらなきゃ!それなのに、動きが鈍い自分に苛立ち、焦る私の心を、お話の景色が落ち着かせてくれた。

海の堤防で上げる凧。

どうか凧の目が、前についていますように。どうか凧が、あの青を喜んでいますように。どうか東風が、前を向いてくれていますように。どうか東風が、あの青に上がっていくとき、前を向いてくれていますように。糸を手繰り寄せようとする私を、振り返ることがありませんように。私が一人であることを、振り返って知ることがありませんように。

凧に乗せた東風への思いが、猫娘への思いに重なり、ギュッと息が詰まり涙がポロポロと本に落ちた。

気がつくと、網戸の前でウトウトしていた猫娘がいつの間にか私の横で座っていた。
ビー玉のような目。濡れた鼻先。そうだね、東風と同じだね。
「凧」を読み終え、猫娘の頭を撫でると、5月の晴れた暖かい風が、優しく涙で濡れた頬を乾かしてくれた。

「凧」の中の春の初めに吹く風のように。

・・・

とてもステキなお話でした。
ついつい、自分の感情を重ねて思いを強く書いてしまったので「感想文」になっているのかな?と心配ですが。

作者の北木鉄さん、世瞬舎の神谷京介さん。
あわてんぼうでオッチョコチョイの私に優しい時間が流れました。猫娘もいつもより頭を撫でてもらい満足そうな顔で寝ています。

ありがとうございます。

百瀬七海さん、千青さん、七屋糸さん、神谷京介さんのお話も少しずつ読んで、読書感想文を書いてみたいと思います。

世瞬vol.1の注文はコチラから。

気になった方は、ぜひぜひ!

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東風と凧を描きました。
(私のイメージです。)



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