蛍光色の若者

レコードや古書や四角い建造物や抽象画や
鋭い視線や各々に待ち受ける思いがけない末路や時計や電子機器や神々について語る人々の思念がそのまま埋まっていれば良い

私はそこに根を張り
じっと待つ
空気が振動するのも忘れるほど
透き通った養分を蓄える

青空に手を伸ばし
太陽に短い言葉を述べる
忘れかけた天使や母への想いは
青黒い海に沈めてきた

恥しい!
濡れた両手でかの女の肌に触れる
どくだみの花のような
白い二の腕をじっと見つめて
私はそこで動かなくなる

身に覚えのない土地で
知らない海から
聞いたことのない汽笛を聞く
脊椎は身を潜め
血の巡りは目を閉じ
深く息を吐く私を私が見つめる

漢数字の憤りは私の深い眠りを妨げ
蜃気楼の思いで言葉を連ねる
怒りは周囲を取り囲み
散る
機嫌を損ねた猫の鳴く声のごとき決壊 
最後から二番目の言葉で私は絶句する

蛍光灯が静かに割れる

#詩 #現代詩

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