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関口メンディーさんの卒業

 4月、いろいろあった。長谷部誠が引退を会見で報告し、野木亜紀子ユニバースの続編にUDIラボとMIU404メンツが絡むことが判明し、ユーリオンアイスの映画制作が正式に中止と発表された。それだけでも連日悲喜交々でわたしの情緒は三角関数のグラフみたいに上がったり下がったりだったが、4月30日のお知らせでわりとトドメを刺された気持ちだった。2024年4月の乱。後年振り返ってそう名付けても良い。推してるグループからメンバーが脱退する。これは規模はどうあれ一般的にグループを応援している身からするとかなりショッキングな出来事で、しかも状況としては青天の霹靂に近かった。
 分野外の方もこのブログをご覧になっているかもしれないので掻い摘んで説明するが、今回関口メンディーさんが脱退を表明し、その会見に同席したグループことGENERATIONSは、昨年をデビュー10周年と銘打ち、アニバーサリーイヤーとして年間50公演(実際には諸事情あって2公演を延期、年が変わった3月に振替公演を実施)を走り抜けたばかりのダンスボーカルグループである。年間50公演である。1年は365日しかないのに。単純計算で1週間に1度はステージに立っている計算になる。内訳としてのツアーは3本。もちろん規模も演出もセトリも全て異なる完全に独立した内容で、外部フェスへの出演やアリーナツアーとホールツアーの並走というわけわからないスケジュールにボーカルが当日まで公演内容を勘違いしていたという珍事件が実際に発生した(本人談)。かつこのグループは2023年の始めと終わりにフルアルバムとミニアルバムをリリースしており、メンバー個人でのドラマ出演は4クール通して誰かが地上波に出ていたという多忙ぶりだった。夏にはメンバー全員が本人役で出演した映画もあった。続編情報がもう出ている(※GENERATIONSは出ない)くらい当たったらしい。
 結論から言うと2023年のGENERATIONSはなんかもう、おかしかった。仕事しすぎだったし、ただただがむしゃらで、ファンだからもちろんついていくけど、社会人として冷静に観たら「休みなさすぎじゃない?パフォーマンスしてくれるのはありがたいけどよお、エンタメって出したら出しっぱなしじゃねえかんな!吟味する時間をくれよ!咀嚼する時間すらねえよ!ライブが終わったら?ライブがあるんだよぉ!」状態だった。改めてこの過密スケジュールに挑み、それを見事成し遂げた胆力、表現力、結束力、その他諸々のフィジカル・メンタル両側面を賞賛するほかない。メンバーもスタッフもさぞてんやわんやだっただろう。告知漏れや宣伝ミスなど、消費者目線でう〜ん…となるところは確かにないでもなかったが、トータルとしてGENERATIONSのファンをやっていてああ良かったなあ、これからもファンでいたいなあと思った2023年だった。それゆえに2024年以降のGENERATIONSが充電期らしきものに入るのはある程度致し方ないと思ったし、格段に露出や現場が減っているのも寂しいがやむなしかと思ったりもした。あと前年比で考えると感覚麻痺ってるからやめようと思った。そこに今回の卒業表明だったので、自分含めファンの受けた衝撃は大きかったことだろう。精力的に活動していたグループがスッとその勢いを緩めたとき、考えないようにしていても何かしら不穏なことが頭を掠めるのは至極当然のことである。最たる不穏が解散として、メンバーの変更はその次くらいに衝撃が大きい。特にGENERATIONSはわたしが見る限り、「この7人で」とか「7人だからこそ」とかの言葉が活動と共に多く散見されるグループだったから、おそらくはファンが想像する以上に7人が7人であることに意義を見出していただろうし、その頭数が変わること、そのうえでグループを存続することを結論づけるまで、我々が知るに及ばない議論と葛藤があったことは推測に難くない。

 昨日開かれた記者会見にて、メンバーそれぞれの立場から忌憚ない想いが語られたのはファンとしては非常にありがたかった。全員が一丸となって晴々しく門出をお祝いしていたりしたら、もしかしたら立ち直れなかったかもしれない。客観的な疑問も、主観的な怒りも、不安や思い出や自分自身の今後の展望に至るまで、それぞれの口で言語化してもらえることはそうあることではない。奇しくも事務所内外で昨年から相次ぐ脱退、独立、解散等の身を切られるような展望がさまざまなグループで見られたが、その多くは己の口で全てを詳らかにすることが叶わず、多くの疑念を残し、明らかな第三者の介入が示唆され、失意のうちに「愛されてきたもの」が終焉を迎えるのである。そう考えると金屏風を立て、1時間の枠の中で、これまでの活動に対する知識と理解のあるメディアを前に言葉を尽くすというのは、喜ばしくないこととはいえファンとして確かに誠意を感じるものではあった。どこかで言及があったが、このような形で記者会見の機会を持てるのもGENERATIONSというグループの持つ特筆すべき個性の一側面であろうと思う。同じことをできるグループが世界にいくつあるだろうか。
 この件に関してGENERATIONSのファンは、と主語を一本化して語れることは少ない。なんならメンバー7人ですら総意を一本化できていないし、一本化してませんよ、というのを正面から聞いた1時間だった。なのでファンとして見解をまとめるのは無意味であると思う。その上であくまで個人の所感として語るならば、GENERATIONSのファンに対して、メンバーから提示できる精一杯の誠意は示してもらえたなと感じた。同時にメンディーさんのハードルは上がってしまったし、現況を詳からにされることにより不安視される材料を潤沢に提供してしまったなという懸念がある。この会見はおそらくいま判明している最新の報告事項をわかりやすくまとめたものであり、故に具体性を帯びないエンターテイメントで商売をする難しさも提示したものになった。メンディーさんの語る夢を応援することに異存はないのだが、ではその夢が齎す具体的なエンターテイメントは、という言及が最後まで明瞭でなかったのは勿体なかったなと思う。少なくとも6人のGENERATIONSは現状の個人活動と秋からのツアーという2つの具体性を帯びたものに言及できた強みがあるわけで、中でもツアーは視聴していたファンの大半が冀求するものであり、エンターテイメントとしての価値が高い。現時点でそれだけ可視化された格差をひとりで、まだスタッフもいない状態で、ゼロからビルドアップしていくのはおそらく至難の業だと思う。果たして彼の言う「意志の弱い人間」が、不屈の闘志を持っていてもなお実現不可能なほどの挑戦をどこまで成し遂げられるのか。成し遂げたとして、それを顧客にアピールできるのか。己の味わった辛苦までもをエンタメとして、商売道具として切り売りできるのか。そうした点への懸念が今のところは勝ったかという印象で見ている。応援していますと口で言うのは容易い。だが正直に言うと、彼の追求したいエンターテイメントの内実がわからない以上、無責任に良し悪しを評価するわけにいかない。良いエンターテイメントを愛している。わたしが愛したGENERATIONSが呈するエンターテイメントは極上だった。そしてきっと6人になっても、少し質が変容し、新しいスタイルになっただけで大きく格を落とすことはないと断言できる。期待をかけ、欲を言うならば、昨日の会見でメンディーさんからそうしたものを感じ取りたかった。そう、応援したいのだ。だって応援してきたし。これまで2年間、たくさん楽しませてもらったから。メンバーでなくなったから応援しませんというのは本質ではないのだ。少なくともわたしと同じアプローチでグループを見ていた人はそうではないかと思う。

 とはいえ嫌悪したり、二度と見たくないと拒絶したりする気はない。もちろんそれほどの大罪を犯したわけではないし、メンディーさんのことが嫌いなわけでもない(直接自分と関与してるわけでもないし)。まだ30代で若いわけだし、やり直しはいくらでもきく。犯罪にさえ手を染めなければ何でもしたらいいと思う。日本を出たっていい。芸能の枠に縛られなくてもいい。語学が出来なくてもなんとかなる。言葉が不自由だと騙される率が5倍くらいにはなるし、感じるストレスも10倍ではきかないだろうけど。
 個人的にはGENERATIONSのメンバーに望むこととしては、メンディーさんのいたことをなかったことにしないでほしいなと思う。気まずいかもだけど、たまに話題にしてくれると嬉しい。玲於くんのインスタに見切れで映り込んでもいい。メンバー内でメンディーさんの活動に関する情報量に差があって、うわー昔の友達との関係性めちゃくちゃリアルやん、って苦笑させてほしい。それこそ清木場俊介さんや黒木啓司さんのことを事務所の誰かが語るときのように。そしてそれだけの活躍をメンディーさん自身が見せてくれることを、心のどこかで期待してもいる。

 とりあえず今年もちゃんと忙しくなりそうで安心した。皮切りは5月のNEXT VIRAL ARTIST(ウルフ)、6月のHEAT(サイフィ)。たぶんBOTも現場があれば行く。若手のパフォーマンスも素直にめちゃくちゃいいので…そして自分の生活もガラッと変わってるのでどれくらい実現可能かはわからないけど、GENERATIONSの秋からのツアーは可能な限り参加したい。だって一回きりの化学反応が多そうだから…円盤や配信を自宅で待ってても手に入らないものがあるなら動くしかない。そういう意味ではこの会見を通してより一層ファンとして気合が入った。楽しむためにはまず自分が前のめりに生きなければいけない。これは結構基本的で大事なことだ。

 改めて説明機会を設けてくれた関係者各位に感謝。これからも変わらずGENERATIONSを応援しています。そしてメンディーさんのことも、応援できたら良いなと思います。応援したくなるようなエンターテイメントを期待しています。烏滸がましい話ですが、こっちも目は肥えてるので…これから客になるかどうかはまだまだ未知数なんで…

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