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旅館から見えた地域課題と解決策


お久しぶりです。
更新頻度を上げると言っておきながら全然やってない口だけ人間です。。
(今日からは本当に頑張ります!!)

さて、コロナウイルスで世の中はお出かけムードではないですが、そんな中東京近郊の人が集まっている場所があるのをご存知ですか?

それは、「箱根・湯河原・熱海エリア」

感染リスクが高い公共交通機関を使わずに、東京から車で2時間で行けることも相待ってまだまだ人が多い様子。

私も2月某日に、人生初めての「旅館」に行ってきました。
幼い子頃の家族旅行も洋室の「ホテル」がほとんどだったので、人生で初めての「旅館」

特に、古くからの旅館文化が色濃く残るこのエリアに実際に行ってきて感じたことを、noteに記します。

旅館って一体なんだろう?


皆さんは「旅館」と「ホテル」の違いをご存知ですか?
まずは整理を。

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<旅館業法に基づくと…>

■旅館:
おもに和室の部屋数が5室以上、1室あたりの広さが7㎡以上ある。

■ホテル:

おもに洋室の部屋数が10室以上、1室あたりの広さが9㎡以上ある。

※上記の定めに満たない宿泊施設を『民宿・ペンション』と呼びます。

正式にはこのように分類されますが、少し分かりやすくしてみます。

<噛み砕くと…>

■旅館:
・客室…おもに和室(部屋数少ない)
・寝具…布団やベッド
・宿泊スタイル…2名以上、基本的に食事付き/なし(施設によって1名の宿泊や素泊まりも可能)

おもてなし精神があふれるサービスがメイン。お部屋のお世話から各種手配、宴会の準備や会場のサポートなど、様々なサービスを取り仕切る。

 ■ホテル
・客室…おもに洋室(部屋数多い)
・寝具…ベッド
・宿泊スタイル…1名以上、基本的に朝食付き/なし(施設によって素泊まりも可能)

清潔で明るい館内に、コンパクトに整えられたお部屋が並んでいる。セキュリティを高めたり、プライバシーを保護するために防音対策が取られていたりなど、快適さに重きを置いた作り。

このように言えるかと。


旅館に初めて泊まって思った感想をここから書きますがあくまで主観です。
そしてきっと行く時の自分のマインドや環境によっても捉え方が変わると思ったので、あくまで個人的な見解として読んでみてください。


感じた特徴①:本物のフルサービス


ご飯を部屋まで持ってきてくれる、下げてくれる。
布団を引きに来てくれる、上げに来てくれる。

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こんなことまでサービスにあるんですね、恥ずかしながら知らなかった。。
(写真の女性はいません。。)

何が言いたいかというと、
このフルサービスとセルフサービスの概念は各業態にあるけれど、顕著に分かれるのが宿泊、つまりホテルと旅館だと感じました。

<各業態のフルサービスとセルフサービス>

喫茶店:

スターバックス…自分で注文、商品を受け取る。必要なものはセルフで。
純喫茶…おしぼりやお水をくれる。席まですべて持ってきてくれる。

宿泊施設:
ホテル…ご飯の手配など自ら動く。部屋の外に出ないと基本成り立たない。
旅館…ご飯や布団の手配から全て任せられる。部屋から出る必要がない。


まとめるとわかるように、これはどちらがいい悪いが単純にあるとかではなく、キャラクターやその時の自分にどちらがマッチするのかで選ばれるんだなと感じました。
事実、御籠りしたかった自分にとってはすごくいい体験だった。

つまり、施設からするとどんな人に来てもらいたいかでサービスの内容や立地などを変える必要がありますね。


ただし、そんな細かいところではなく、結局思ったことは「現代でもオフラインのサービスには大きな価値がある」ということ。


フルサービスとはつまり、「ブランド体験を提供される機会がとても多い」ということなので、旅館のことを五感で深く感じることができます。

その場所にまた行きたいと思うのは接客を含めた「体験価値」であるので、
ホテルよりも旅館に施設のリピーターが多い、という事実に納得しました。


感じた特徴②:ローカルだからこその人の繋がり


旅館の人とお話をする機会があったので、何人かにどうしてこの旅館にいらしたのですか?と聞いてみました。

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若い女性の方は、「父がこのエリアの調理師会にいたから、このエリアにいるんです」と。

若い学生の男性は、「春に入社する企業の会長が、ここの女将と知り合いで紹介いただいた」と。

地元の人と人との横のつながりがとても強いのも、きっと旅館の特徴かも。
田舎の一番の良さってなんやかんやこれな気がしています。


少しずれますが、熱海銀座でお酒を買おうと思い立ち寄った飲食店では、
「うちはテイクアウトできないけど、すぐそこの〇〇酒屋さんなら買えるよ!」と案内してくれたりしたので、旅館に限らずですが、古き良き観光地ではきっと旅館が中心になって、人と人をつないでいたんだな、と感じました。

まさに、「地域中の人が心地よくつながっている」という感覚。
シビックプライドってことなのかも。

これがあると、その場所に何回も行きたくなるんですよね。

どこかの土地1カ所に行く旅行は1回で満足するが、
土地の人に会いに行く旅行は何回でも同じところへ行きたくなる。

これは、尊敬するコピーライターの方がおっしゃっていましたが、まさにそういうことだと思っています。

今までの旅行はやはり「どこに行くか」が決め手だったと思いますが、これからは「どの街に、そして誰に会いに行くか」が決め手になると思う。

その街に会いに行く感覚を一番作れるのは、接点が一番多い旅館なのかも。

人のつながりを大切にしている旅館だからこそ、
お客さんとのつながりがまた生まれて、人を目当てに人がやってくる好循環が生まれているのだと身にしみて感じました。


感じた特徴③:個の旅館ではなく、エリアの旅館


旅館に行って最も驚いたのは、
人だけでなく、このエリアの旅館が全体となって地域を盛り上げようとしていたこと。

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観光協会や旅館組合の名前で施設がまとめられたガイドブックがあったり、近隣の旅館の紹介をしていたり。

これには驚きました。

旅行代理店の全盛期は、代理店と宿泊組合がつながっており、まとめてエリアに呼んできた人を各旅館に差配していたため、エリアとしてのつながりが強かったと言われる宿泊業界。

OTA(=Online Travel Agent)と言われる、ネット上で施設がそれぞれ自分たちで予約受付できる時代になってからその様相は変わったと言います。
宿泊価格を自分たちで値下げし、隣の施設から人を奪ってくるという考え方が根づいてしまっているそう。
(ホテルが「ポイントカード」で顧客を囲うのもその一例ですね)

仕事柄、そんな話を聞いていたので、観光協会や旅館組合が音頭をとって、エリアが一丸になって盛り上げようとしていることがすごく素敵だなと。

OTAが普及したって、結局、エリアとして素敵なところは横の繋がりがあって成り立っている。

温泉手形とかスタンプラリーとか、エリアの中でどれだけ人の滞在時間を伸ばして、来訪回数を増やすのかを考えている。
老舗の中に新しい店ができても、地元の人がそこを受け入れるキャパシティがあるし、それを前向きに捉える風土がある。

そうすると、エリアを好きになるし、何回でも訪れるきっかけが生まれる。
実際、そのエリアには既にまた行きたくなりました!


旅館の価値のまとめ


長くなりましたが、旅館が持つ価値を改めて考えてみます。

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今まで出た3つをまとめると、

・フルサービスだからこその「体験価値」
・旅館のつながりが生み出す「人のつながり」
・地域全体がもたらす「エリア誘客」

大きくこの3つに旅館の価値が大きくあると感じました。


もちろん、これがポジティブかどうかは人それぞれだし、時と場合。

普段は「ホテルにいるより外で飲みたい!」というマインドの僕ですが、今回のような「おこもり旅」も使い分けてみようと改めて思いました。


旅館から学ぶ地域課題の解決策


古き良き地域に必ずある”旅館”から、地域の課題化帰結につながる要素を、抽出してみます。

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改めて考えてみると、この3つの価値を踏襲すれば旅館だけでなく自治体だってうまく回るはず。

その土地に来てくれた人をおもてなしするのは地方の特技。

そこでしか食べられない郷土料理などの「体験価値」を作り、
そのコトを好きになってもらう。

地方はヒトのつながりが強く、観光客もみんなが家族みたいになる。

オンラインに頼るだけでなく、いろんな「人のつながり」を提供することで、そのヒトを好きになってもらう。

そして、そんな人たちが集まって、近隣の自治体とも連携したりして。

個人の損得を考えるのではなく、地域全体として「エリア誘客」を意識することで、そのマチ全体をを好きになってもらうことができる。

(前提に、住民が街を好いている(≒シビックプライドが高い)必要あり)

ちょっと前に流行った“コト消費“ではない。

もっとその先の“ヒトに会いに行く消費“だったり、
更に大きくその“マチ全体に会いに行く消費“を作るべきだと思う。

またこれは、民間の立場ではなく自治体や観光協会といった行政側の立場から音頭を取らないときっと進まない。

だからこそ、ROOTsの立場で、自治体と一緒になって。
その地域のコトはもちろん、ヒトやマチ全体をもっともっと盛り上げていきたいと改めて思った、そんな初めての旅館でした!

最後まで読んでくださってありがとうございます!
長文ですみません。。

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