【エッセイ】 祖父母の足跡 ー本について思うことー
幼い頃から集団というものになかなか馴染めず、ことあるごとに孤立してしまう僕が、人恋しさに悶えるいくつもの夜を乗り越えてこられたのは、ひとえに本のおかげだ。
小説、エッセイ、紀行文、指南書、詩集。どのような様式であれ、本には書き手の最も純粋な本音がぎっしりと詰め込まれている。細やかな感情の息遣いが、しっかりと刻みつけられている。
僕は、「本」は「人」だと考えている。だから僕にとって、本を読むこととは、ニアリーイコール、時空を飛び越えて執筆時の書き手に会いに行くことなのだ。