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【最近読んだ本】2024年:④

 面白いと感じた要素や、一部の表現や、お話の構成については書いているので、多少のネタバレも嫌で、作品を予備知識無しで読みたいという方は、見ない事をお勧めします。
 読んだ後の方や、多少の展開バレは気にしないし、『他者の感想はあくまで他者のモノ』と割り切れる方でしたらどうぞ。

◆漫画◆

『ダンジョン飯』⑫巻

『ダンジョン飯』⑫巻 九井諒子
 新たなる主の想いが迷宮を大きく変化させて行く中、各勢力が己の利益と理想、感情の赴くままに動き始める。
いつしか、対立と共闘の中心にライオス達のパーティが……
 物語りも終盤となり、マルシルの願望を利用する金獅子と、彼女の気持ちを大切にしようとするライオス達との駆け引きが面白い。
丁寧に描かれて来た、各登場人物の気持ちや理想がぶつかり、時に争いとなり、時に強固な絆へと変わる。
 ダンジョン内で展開されてきた、モンスターと食事のお話の形をそのままに、世界の運命を決める大きな物語へと展開して行く。
どの様大きなモノも、人と人とが争い、協力して紡ぎあって来た結果であると、納得させられる。
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『シュバードハウス・ホテル』①巻

『シュバードハウス・ホテル』①巻 原作:森数機 作画:はまぐり
 この世への未練や執着から幽霊となった者をもてなし、成仏へと導く特別な場所『羊飼いの宿(シュバードハウス・ホテル)』を舞台に、様々な想いを持つお客様(幽霊)と、それを案内する『羊飼い』やホテルのスタッフ達のドラマを描く作品。
 登場人物の感情描写が秀逸で、お話に引き込まれる。
生死感や人それぞれの価値観をリアルで丁寧に描いているが、絵が奇麗で重たくなり過ぎず、とても読み易い。

個人的には、殺し屋のオッサンの話がお気に入り。
ニヒルなオッサンの気掛かりは、こんな感じで良いと、心から思わせるリアリティが有る。
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『WATCH DOGS TOKYO』②巻

『WATCH DOGS TOKYO』②巻 原案:ユービーアイソフト 
原作:白土晴一 漫画:鴨修平
 市民を支配する『J-ctos 2.0』の導入を阻止すべく、不正の証拠を集める『YKOデットセック』。
刑事の剛田と協力して動く中、暴力団に依頼されたフィクサーが動き出す。
ハッキングやドローンを駆使した、緊迫感のあるスタイリッシュなアクションがワクワクさせる。
 ハッキング、白兵戦、社会戦が同時に進行する展開は、俺が最も好きな現代SFアクションのスタイル。
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『刷ったもんだ!』⑦巻

『刷ったもんだ!』⑦巻 染谷みのる
印刷屋さんを舞台にした漫画の⑦巻目。
 地域の広報誌の仕事で地元出身のスターへのインタビューや、生産管理部が社内のトラブル対応して行く話、印刷大会の始まりと、内容盛りだくさん。
各キャラクター間の人間関係にも少しずつ変化が起こり、仕事と人間ドラマの両方に新たなドラマが展開して行く。

 生産管理は印刷業界では【工務】と呼ばれ、会社によって様々なやり方が有る。
自分の仕事も【工務】なりで、この巻には色々と感じる部分が有った。
所々に『?』な部分も有るが、デジタル化が進んでも、いざとなると人間関係がモノを言う業界なのは確かで、知識・技術・人間関係のど真ん中に居る部署である事は間違いない。
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『終の退魔師』⑦巻

『終の退魔師』⑦巻 四方山貴史
悪魔の力を宿す【映画好き】の主人公が、退魔師として悪魔や怪物、他の組織と戦う物語。
ついに激突する老龍と東森店長。
二人の過去の因縁や、命懸けの駆け引きをしながらの戦闘。
東森流対人用封印格闘術は他に見ないコンセプトの魔法体術。
40年を掛けた漢の死闘が、クールな笑顔と共に激しく展開する。

ゴドーの登場と契約の経緯も面白い。
現代と過去のシーンを行き来して、テンポの良い進行ながら、キャラの個性を全開で魅せてくれる。
登場人物達の過去が、因縁や運命として繋がって行く展開は、スリーズ物ならではの醍醐味でワクワクさせる。
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『空挺ドラゴンズ』⑭巻

『空挺ドラゴンズ』⑭巻 桑原太矩
新生クィン・ザザ号の初陣。
屠龍船のリーダー船長、クルガの過去や因縁と戦う理由。
そして、雷を操るテュポーンとの戦い。
自然現象を操る伝説の龍との激闘の中、捕る者達と屠る者達の生き様と心情が交錯する。

クルガ船長がゼリーキャンディーを加えながらライフルを撃つシーンで胸が熱くなり、【龍取り】の何たるかを体現する様なミカの戦いに心が震える。
空と龍に命を掛ける者達の熱いドラマにワクワクする。
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◆小説・エッセイ・その他◆

『むかしの味』

『むかしの味』 池波正太郎
 池波先生が和・洋・中問わず思い出の味を語るエッセイ集。
 当時の写真も有り、文章と写真の両方を楽しめる。
今は無くなってしまったお店も幾つか有るのだろあけれど、美味しい物には必ずそれに関わる人々の真剣なドラマが有り、その時代ならではの文化や流行が有る。
 食べ物を通して、過去から現代への人々の文化や認識の移り変わりも感じられる。
一概にどちらが良いとは言えないが、料理人の心意気と、客の想いが近かった時代の素晴らしいお話が幾つも入った名作。
 最近では『行きつけの店』なんてのを持つ人も少なくなった様に思える。
季節に関係なく、世界中のメニューを安価で食べられる時代だが、クオリティや人情が皿の上に乗る事は少なくなった様に思う。
 [庶民の店]=[ファミレス]では寂しい気がするが、経済の低迷が続く日本の現実なのだろう。
 俺の世代は煌びやかな日本を知らず、低迷し続け、常識や品位が壊れて行く日本を見続けて来ただけに、池波先生のエッセイは何処か異国の事の様に思える事が有るのが、切ない所である。
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『ポケット製本図鑑』

『ポケット製本図鑑』 編:『デザインのひきだし』編集部
様々な種類の製本方法が実物の写真付きで90種類も説明されている図鑑。
更にコストや発注時の注意点、加工してくれる会社も紹介されているので、具体的に好きな本が作れる。
本だけでなく、ノートや手帳、メモやカレンダーの製本方法も紹介されている。
発想次第で無限の可能性を与えてくれる素敵な図鑑。
製本所は無くなって行く一方なので、興味のあ有る方は早めに自分の作品等に試してみる事をお勧めしますね。
技術は失われると、二度と復活しないモノも有りますからね。
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『ベルダイン熱狂!』

『ベルダイン熱狂!』ソードワールドRPGアドベンチャー 
山本弘/グループSNE
 ベルダインを舞台に、吟遊詩人のリュクティが仲間を集め、新しい音楽【ロック・ミュージック】を生み出そうと悪戦苦闘する物語。
 バードを主役にし、音楽をテーマの根幹に置きながら、ソードワールドRPGの魅力である冒険や組織等、素敵な世界観も見せてくれる。
読者の投稿したアイデアで物語が紡がれるのも面白い。
 当時も斬新なエンターテインメントの形だったろうけど、今でも面白そうな形式である。
メール等で簡単に投稿出来ると、投稿数が多すぎて、審査したりするのが大変になってしまうでしょうけどね……

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