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【最近読んだ本】2023年:④

面白いと感じた要素や、一部の表現や、お話の構成については書いているので、多少のネタバレも嫌で、作品を予備知識無しで読みたいという方は、見ない事をお勧めします。
読んだ後の方や、多少の展開バレは気にしないし、『他者の感想はあくまで他者のモノ』と割り切れる方でしたらどうぞ。

◆漫画◆

『ACCA13区監察課 PS』①・②巻

『ACCA13区監察課 PS』①・②巻 オノ・ナツメ
『ACCA13区監察課』のスピンオフ短編集
 ①は五長官の就任迄の物語
 ②は課長(アーベント)の話を中心に、他の監察課員のスピンオフ。
 本編で主人公の周りを彩ったキャラ達の人生を掘り下げて行く。
 一人一人が物語の為の記号ではなく、人間として生きているからこそ、物語を深く鮮やかな物にして行くのだと感じた。
個人的には①のスペード長官と、②の副本部長の物語が渋くて好み。

『映像研には手を出すな!』③巻

『映像研には手を出すな!』③巻 大堂澄瞳
 アニメ制作を志す女子高生3人組を中心に、創作の喜びや楽しみ、それらに関わる人々や社会との関係を描く作品の③巻。
 音響部の百目鬼氏を仲間に加え、【音】を使えるようになった映像研は、同人即売会に参加する。
 音や演出に対する思い、創作に関する学校側と学生の価値観の相違。
 浅草氏・金森氏の出会いや、過去の経験も描かれる。
 己と向き合う素晴らしさを教えてくれる。

 今回も名台詞満載の内容、
『学習指導要領にはバカしか教師になれないと書いてあるようだな』
『宣伝なくして商売はなりたたない。良い店なら自然と客が来るなどという考えは甘い!!』等々。
個人的には、先生の『遊び方をコントロールするのが、良い管理者ってもんよ』てのが一番好き。

『ジョニーライデンの帰還』㉔巻

『ジョニーライデンの帰還』㉔巻 Ark Performance 
 ユーマとイングリットの戦場での再会は、10年の時を埋め、絆を呼び起こす。
イングリットを僚機と認めたヴァースキはヤザン・ゲーブルへと戻る。
彗星の襲来に、幻獣の群れが集結し、一体のキメラとして動き出す。
各陣営、一人一人の葛藤と判断が戦場を形作って行く。
ミナレットへの侵入も始まり、謎の解明と戦闘が同時進行の熱い展開。

『WATCH DOGS TOKYO』①巻

『WATCH DOGS TOKYO』①巻 原作:白土晴一 漫画:鴨修平
 都市管理OSを悪用する企業や政府に対し、監視者として暗躍するハッカー達の活躍を描いた、UBISOFTの名作ゲーム『WATCH DOGSシリーズの、日本版オリジナル設定での漫画化作品。
『WATCH DOGSのスタイリッシュなアクションと、独特のアートセンスを踏襲しつつも、日本独自の社会構造や価値観を物語に織り込み、テンポ良く魅せてくれる。
TYOデットセックがとにかくカッコいい。

 『終の退魔師』⑥巻

『終の退魔師』⑥巻 四方山貴史
 悪魔の力を宿す【映画好き】の主人公が、退魔師として悪魔や怪物、他の組織と戦う物語。
 大学のキャンパスと言う、完全に不利な状況での【人間使い】との戦い。
 魔煙の具現化能力を発揮し、操られた人々を突破して行く主人公だが、老龍の登場で事態は更に危機的状況に……
 様々な能力と設定を持ったキャラ達がバランス良く絡み合い、軽快な物語を味わい深いものにしている。
 パワーバランスやキャラ設定の【見(魅)せ方】が秀逸。

『刷ったもんだ』⑥巻

『刷ったもんだ』⑥巻 染谷みのる
印刷屋さんを舞台にした漫画の⑥巻目。
各部署に配属された新人達の努力と苦悩。
更には先輩達の苦労や葛藤、どちらも色々と思い出される部分が有って楽しいやら痛々しいやら……
後半の技能大会へ向けての話も先の展開を期待させる。
思いを形にするには技術が必要なのはどの業種も一緒だが、印刷の先には、その印刷物に思いを載せてくれる人が居る事を思い出させてくれる。
印刷関連の描写や説明は相変わらず詳しくて分かり易いが、それ以上に各キャラの織成す人間ドラマの面白さが、特殊な業界の背景を魅力的な物にしている。

『豊作でございる! メジロ殿』①巻 

『豊作でございる! メジロ殿』①巻  シナリオ:原恵一郎 漫画:ちさかあや
農業の視察や指導を通して、人々の生活を助ける、変わり者の郡奉行のお話。
全国の農書を集め、それらをまとめながら様々な土地を巡る。
土地柄により千差万別の人々の暮らしと、苦悩がそこにあり、
様々な立場の者が書いた数々の【農書】には、農業のノウハウだけでなく、その土地で生きる者達の魂のドラマも内包されている。
【農書】を話の根幹に置いて、人間ドラマを描く面白い作品。

◆小説・エッセイ・その他◆

『大日本帝国の銀河』⑤巻

『大日本帝国の銀河』⑤巻 林譲治
 第2次大戦前頃の世界を舞台とした、架空戦記+ファーストコンタクト物の最終巻。
 オリオン集団と人類の関係が急速に変化して行く。
 異星文明を受け入れ、学び、相手を知る。
 長い年月が経ち、体が変異し、新しい価値観や技術を習得しようとも、人類の持つ本質の幾つかは変化しない。
 地球人類と言う種族が、オリオン集団を理解した時、互いの未来を掛けた最後の駆け引きが始まる。

 最終巻でかなり時間が進み、文明と価値観の理解や変容がもたらされる部分は面白いが、少し駆け足の様に感じられる。
 もう1巻分位を掛けて、じっくりと楽しみたかった。


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