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秘伝・合気道 堀川幸道口述 鶴山晃瑞編 20

一般に知られている禅の修行や呼吸法の訓練によっても気穴を充実させたり気放させたりできるようになりますが、これら精神的訓練のみでは習得に相当の時間と準備を要す、といわれております。大東流の合気術の中には静座法も禅も呼吸法も含まれており、より有効な訓練方法となっております。
また、合気之術と混同しやすいものに「心・気・力の一致」という三技一体の言葉があります。これは、精神力、技、力が合一されたものの意であります。現代のスポーツや柔道、剣道ではこのことが強調されています。
大東流では、この三技一体、気を一点に集中するということは柔術の基本理念となっております。大東流柔術は気合術(見世物のものとは異なる)、気合鍛錬法と称すべきものなのであります。大東流柔術は表技でありますから、外形に現われる技法形態が主たる内頸錬成となります。
一方、合気之術は大東流柔術の裏技にして、「神伝陰陽法」とされています。神伝は神道とは関係なく、内頸・外頸の心身を一致させたものもこと、であります。合気之術の外見は極めて不可思議にして、どこがどうなっているのか、何が極まっているのか、見た目には判らないものであります。これは、表技のスタミナ鍛錬法とも称すべき柔術のように、ある特定のパターンで極めるというものではなく、相手の体の堅さ柔らかさ、各関節部の強さなどによって微妙に変化しますから、見かけ上同じに見えないということになるのであります。
元々大東流の本体は「形があって形がなきもの」でありまして、大東流二千数百手といわれるものは、無形に至る短期上達法として、つくられたものであります。

解説 呼吸体操における意念法とは、簡単にいうとイメージトレーニングのことです。足裏から空気を吸って全身に満たす、右掌から吸って左掌から吐く、などといわれても実際の呼吸は鼻と口を利用しますから???ですね。かつて、先師にイメージの仕方を質問したところ、注射器を思い浮かべるといい、と教わりました。足裏から空気を吸うときは、注射液を吸い上げる、吐くときはピストンを押し下げる(注射する)ことをイメージしながら呼吸体操を行うのです。非常にわかりやすい方法です。武術では集中と分散の使い分けが重要ですが、一点に集中して、指先を意識してなどと言われてもなかなか出来ません。自分なりのイメージ操作法を見つけ活用するといいと思います。なお、物理的刺激、例えば指先をコンコン叩いて(痛いけどガマンしましょう。)そこに意識を持っていくことも有効です、お試しください。

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