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新陰流考1

鶴山先生は大東流の研究を終え本格的に新陰流を研究し始めていました。
その中の歴史研究編である「新陰流考」と題する論考やメモを紹介します。先生の研究は徹底していました、技法のみならずその歴史から周辺情報に到るまで調べ、分析し理解する。インターネットなどない時代よくぞここまで、という印象です。 

二天一流と新陰流
新陰流とは、上泉伊勢守秀綱(信綱)が創始者で、影目録第1巻に「諸流の奥源をきわめ、陰流において、別に奇妙を抽出して新陰流を号す」とある。一般的に新陰流のことを柳生新陰流といっているが、「柳生新陰流」という名称の流派は存在しない。柳生家では「新陰流兵法」というのが正式名称で、これは江戸柳生家の初代宗矩の剣法も同じである。現在、尾張柳生の正統と称している延春は自分の名前が柳生であるから柳生流(柳生新陰流)といっているが、これは「新陰流兵法」といっても一般人にはなじみがないからで、テレビや映画、小説で使われる柳生新陰流に乗っかっているだけである。民間会社が会社の名称をカタカナの商号に変更している最近の流行に乗ったようなものだ。新陰流兵法には江戸柳生家と尾張柳生家の二系統があり、宗矩が創始者となる江戸柳生のことを世間で「柳生新陰流」と呼んだのである。

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