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古流小野派一刀流(木刀)と撃剣(竹刀)との違い(下)

④間合いのこと
    刀身も相手の頭上に当たる位置、このため相正眼のときは刀身が重なっても良いとしている。そもそも竹刀は太刀より長いので太刀の間合いで稽古しようとすれば、切っ先は重なってしまう。また、反りの有無によって相正眼も切っ先を付ける高さが違っている。
⑤構えのこと
 竹刀の場合、相手の面の位置から両ひじを張った構えとなる。両ひじを張るのは古流では禁じ手である。両ひじを張ってしまうと刀身に力がかからなくなるからである。竹刀使いでは相手を斬る太刀とはならないのである。古流のように構えると当りが遅くなるからであろう。
⑥運足のこと
 撃剣では相手を殺すことが目的ではないので、前後のスピードが早い方が有利だ、小手・面・突きをやりやすいように運足も変化したのだ。
さて、撃剣も最初は、足もひじも現代剣道のようなものではなかったと思う。初期の目的は、反射神経の鍛錬、実戦感覚を養うといった発想から作られたもの、と思う。大坪指方先生は「幕末期、撃剣出身の者は役に立たなかった。そこで道場の窓を閉めて、暗闇の中で防具を着けて実戦訓練をした。」と語っていた。

ところで、撃剣で有名だった千葉周作の神田お玉が池道場は、3~5年で目録を得られるので有名になった。古流なら10~15年かかるところ、半分以下で取れる。しかも、地方ではまだ誰も知らない流儀でこの技法を習得して、地方で先生になれるという。地方武士の次男三男坊に受けたのであろう。また、幕府も撃剣は実害がないものと、推奨したのである。

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